一面2人一緒にベルト、エアバッグ圧迫か 一宮、助手席の女性と2歳児死亡
愛知県一宮市の県道で9日、同市の無職女性(72)の軽乗用車がガードレールの支柱にぶつかり、同乗していたひ孫の男児(2)と友人女性(78)が死亡した事故で、運転していた女性が一宮署の調べに「男児は事故当時、助手席の友人女性のひざの上にいた。シートベルトは2人で一緒に着けていた」と話していることが、捜査関係者への取材で分かった。 同署は二人が一緒に助手席へ座ったため、エアバッグやシートベルトが正しく機能せず、過度な衝撃や圧力が加わった可能性もあるとみている。安全策が不十分として運転女性を自動車運転処罰法違反(過失致死)の疑いで調べる方針。 事故は九日午後二時三十五分ごろ、発生。車は中央線を越え、対向車線のガードレールの支柱へぶつかった。運転席と助手席のエアバッグは、事故の衝撃で作動した。 署によると、男児は肝臓損傷、友人女性は心臓破裂が死因で、いずれも胸や腹に強い衝撃を受けたことが原因とみられる。外部の出血はなく、ガラスなどに衝突した形跡もなかった。運転女性は、あばら骨を折る重傷で入院中。チャイルドシートは車内になく、非着用だったとみられる。 事故直後の目撃者によると、運転していた女性は対向車線にはみ出した理由を「覚えてない」と話していたという。 ◆安全装備、正しく使って事故の際に命を守るシートベルトやエアバッグだが、正しく使わなければ、凶器になる場合もある。 国土交通省自動車局などによると、シートベルトは本来、腰や胸など骨がある部位に沿って着用する。助手席に幼児を抱え、その上からシートベルトを着けると、ベルトが幼児の腹部にかかるため、事故時は必要以上の圧力で幼児の内臓を締め付け、危険という。 今回の事故で死亡した男児には外傷がほぼなかった。同局審査・リコール課の田辺剛敏ユーザー情報企画調整官は、「男児がシートベルトに過度に圧迫された可能性はある」と話す。 日本自動車連盟(JAF)愛知支部(名古屋市昭和区)で事故分析などをする風岡里弥(さとみ)さんは、二人で座っていたため、双方がエアバッグに圧迫された可能性も指摘。「衝突時は一秒に満たないスピードで膨らむ。適切にシートベルトで体を固定していなければ、かえって危険」と話す。「シートベルトもエアバッグも大人の利用を想定している。幼児は絶対に後部座席で、チャイルドシートに座らせてあげて」と呼び掛けている。 (植木創太、写真も) PR情報
|
|
Search | 検索