千葉県内で企業の休廃業・解散が再び増えつつある。帝国データバンク千葉支店によると、2016年度の千葉県内の企業・事業者の休廃業・解散件数は15年度比11.6%増の876件だった。14年度は777件と08年秋のリーマン・ショック後で最も少なかったが、最近は人手不足が顕著になり建設業を中心に事業継続をあきらめる事例が増えているという。
件数は2年連続で前年を上回り、休廃業・解散時の代表者の年齢は60歳以上が8割を超えた。中小・零細企業を中心に代表者の高齢化や後継者難が深刻になっており、事業継続をあきらめる動きが広がっている。
876件の内訳は休廃業が4.6%増の482件で、解散が21.6%増の394件だった。同社が調べた16年度の県内の倒産件数は266件で、計1142件の県内企業・事業者が事実上消滅したことになる。
代表者の年齢が分かっている企業数751社をベースにすると、70歳以上が全体の45.0%を占める338件だった。60歳代は同36.1%の271件で、60歳以上は8割を超えた。
県内企業の社長の平均年齢は16年12月末時点で59.8歳となっており、17年末には初めて60歳を超える見通しだ。全国の企業のうち、社長が60歳以上の企業の約6割で後継者が未定という。
17年から1947~49年生まれの団塊世代が70歳代に突入する。同支店は「団塊世代の経営者は今後、事業承継の決断を迫られる。先行きの見通しが立たず後継者もいない企業では、事業の継続を断念することも予想される」と話す。
業種別では建設業が29.8%増え344件と最も多く、全体の4割近くを占めた。人手不足により現場作業員の人件費が上昇していることなどから、個人経営者や小規模の企業では休廃業・解散せざるを得ない状況になっているという。
サービス業は5.0%増の169件、小売業は5.4%減の105件、卸売業は3.1%増の99件だった。大手との競争にさらされる零細企業で苦境が続いていることなどが背景にある。