(英エコノミスト誌 2017年5月6日号)
米スナップが上場したニューヨーク証券取引所の取引フロアの様子(2017年3月3日撮影)。(c)AFP/Bryan R. Smith〔AFPBB News〕
「データ経済」では独占禁止法制に新しいアプローチが必要だ。
新しいコモディティーが利益の大きい高成長産業を生み出し、その流通を支配する事業者を規制するよう当局が促される――。1世紀前には、石油がそのコモディティーだった。しかし今日では、同様な懸念がデジタル時代の石油とも言うべき「データ」を扱う巨大企業により生じている。
アルファベット(グーグルの親会社)、アマゾン、アップル、フェイスブック、そしてマイクロソフトの5社は、今や止められないように見える。市場時価総額は世界ランキングの1位から5位までを独占している。利益は急増しており、2017年第1四半期にはこの5社の純利益の合計額が250億ドルを突破した。
米国で行われるオンラインショッピングの代金の半分はアマゾンに流れ込んでおり、米国の昨年におけるデジタル広告出稿額の増加幅は、そのほとんどがグーグルとフェイスブックによるものだった。
こうした市場支配力ゆえに、20世紀初めのスタンダード・オイルと同じようにインターネットの巨大企業も分割すべきだという声が上がっている。本誌(エコノミスト)は以前、そのような思い切った措置に反対したことがある。そのときの理屈はこうだった。
まず、規模が大きいだけでは犯罪にはならない。これらの巨大企業の成功は消費者に利益をもたらしている。今日では、グーグルの検索エンジン、アマゾンの当日配送、あるいはフェイスブックのニュースフィードがない暮らしをしたい人など、ほとんどいない。