揖保川下流域(兵庫県たつの市)のウナギ保護区で、地元漁協が捕獲作戦を続けていた巨大外来魚「アリゲーターガー」がついに釣り上げられた。アリゲーター(ワニ)の名の通り、鋭い歯を持つどう猛な肉食魚。漁協はひとまず胸をなで下ろしつつ、「複数個体の目撃情報もある。まだ安心できない」と“終結宣言”には慎重姿勢だ。(木村信行)
釣り上げたのは姫路市白国の男性会社員(32)。釣り歴25年。休日にブラックバスなどをよく釣りに行くという。
きっかけは、揖保川漁協(宍粟市)とガーのバトルを取り上げた今月1日の本紙夕刊だった。「地元漁協が困っているなら」とインターネットで生態を調べ、翌2日夜、揖保川支流の中川へ。釣り禁止区域も調べ、ウナギ保護区の外でサンマの切り身を付けた仕掛けを投げた。
約40分後、小さな当たり。しばらく待ち、一気に釣りざおを立てた。長いあごを振って激しく抵抗するガー。格闘の末、10分ほどで護岸に引き寄せ、最後は川へ入って抱き上げた。
「まさか本当に釣れるとは。僕が一番驚いています」と興奮気味に話した。
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同漁協が保管しているガーは近く、姫路市立水族館が解剖する予定だ。胃の内容物にアユやウナギが含まれていないかを調べる。
漁協が昨年11月、水中に電気を流す捕獲作戦をした際、ガーが餌にしそうな20センチ前後の魚は全く取れず、漁業被害が危ぐされた。
同水族館の三木徹課長補佐は「肉食魚は消化が早いが、2日以内に食べたものなら分かる可能性がある」と話す。
同水族館では18年にわたりガーを飼育してきたが、いまだに雌雄の見分け方や繁殖方法が分からず、生態は不明な点が多いという。「生態系を壊す外来生物について考える機会にしてほしい」としている。