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2017年05月12日

Mastodon(マストドン)の基礎を解説、Twitterとどう違う?インスタンスの仕組みとは

今、ブームになりつつある「Mastodon(マストドン)」。一言でいうとTwitterの類似サービスなのだが、特定の企業が運営するソーシャルネットワークサービス(SNS)とは異なり、個別にサーバを立ち上げることで成り立つ分散型のSNSと言われる。本稿ではマストドンの始め方/使い方とその仕組みを解説するとともに、Mastodonの向かう先について考えてみたい。

執筆:フリーライター/エディター 大内孝子


Mastodonとはいったい何か?

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Mustodonのエラーページで表示されるイメージイラスト。Mastodonは、ゾウ目マムート科マムート属に属する哺乳類で、姿形はゾウやマンモスに似ているという。

(イラスト:Dopatwo

 Mastodonとは、ドイツに住む24歳のEugen Rochko氏が開発したもので、Twitterのようなミニブログサービスだ。

 ツイッターとの違いは、1つの投稿の文字数制限が500文字で長いこと、そして投稿のことを「Toot(トゥート:笛を吹くの意)」といい、Twitterでいうリツイートに相当するものを「Boost(ブースト)」ということ。他のユーザーをフォローしたり、フォローされたり、お気に入りの登録であったりはほぼTwitterと同じである。

 Mastodon最大の特徴は、(1)プログラム自体がオープンソースソフトウェアでGitHubに公開されており、誰でもインスタンスを立ち上げることができること、(2)分散型、つまり特定の企業のサービスとしてではなく、各インスタンスが連携して成り立っていることが挙げられる。

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Mastodonの利用イメージ。ユーザーは中央集権サーバのもとではなく、インスタンスと呼ばれる分散サーバの下におり、インスタンス同士が連携している


 インスタンスとは、Mastodonを動作させるためのサーバのこと。Mastodon instancesによると、記事執筆時点では1770のインスタンスがあり、トータルで62万ユーザーがいるという。なお、ツイッターは国内MAUが4000万人なのでマストドンはまだまだこれからと言える。

 インスタンスは相互に連携しあっており、他のインスタンスに所属するユーザーであっても、基本的にはフォローすることができる(基本的には、と記載した理由は後述)。

Mastodonの始め方、どうやって使えばよいのか?

 「習うより慣れろ」ということで、まずは代表的なインスタンスであるmstdn.jpを例に、アカウントの登録方法からログイン後のメインページを元に、その基本的な機能を見ておこう。

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mstdn.jpのサイト


 所定の項目に必要事項を入力し「参加する」をクリックすると、登録したメールアドレス宛に確認メールが届く。メール本文に含まれる「Confirm my account」リンクにアクセスすれば、アカウント登録は完了する。

 というわけで、さっそくMastodonの画面だが、Twitterと大きく異るのがここで、画面は4つのカラムに分割されている。

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Mastodonのメインページ。縦に4つのカラムに分けられている


 左端が自分の表示(Twitterでいうプロフィール)となる。また、ここから500文字まで投稿できる。ハッシュタグ(#+文字)の使い方などもTwitterと同様だ。

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投稿範囲の指定。最初のうちは公開でよいだろう

 投稿には、「公開(Public)」「未収載(Unlisted)」「非公開(Private)」「ダイレクト(Direct)」という4種類の投稿範囲が用意されている。投稿範囲の指定によって、フォロワーのタイムライン、ローカルタイムライン(詳細後述)、連合タイムラインなどへの表示の有無が異なるが、最初のうちはあまり意識しないでいいだろう。

 また、投稿時に「CW(Contents Warning)」というものを付加することができる。これはブログのエントリーなどにもある「続きを読む」の機能で、中身を畳み込む機能に近い。内容に注意という警告となる。ドラマのネタバレ、スポーツの試合の勝ち負け、あるいは、長文になる場合の心遣い的な使い方が想定されている。

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投稿方法として「CW」「NSFW」などの設定が行える

 同様に「NSFW(Not Safe For Work:閲覧注意)」は画像をアップする際に付加できる。これは画像を指定すると現れる。

 プロフィールやトゥートを行うカラムの右が「ホーム」だ。ここでは自アカウントおよびフォローしているアカウントのアクティビティ(トゥート、ブースト)が流れる。さらにその右の「通知」では、新しいフォロワーやブースト、お気に入りされた通知、トゥートへの返信が表示される(表示/非表示はカラム右上のアイコンから設定できる)。

 そして、右端のカラムでは「ローカルタイムライン」「連合タイムライン」などを切り換えて表示できる。「ローカルタイムライン」は自分がアカウントを取得したインスタンスのユーザー全員のトゥート(公開設定のもの)が表示される。たとえば、「マンガ好き」向けインスタンスが立ち上がっていれば、そのクラスターに属する人たちのツイートが一気に閲覧できることになる。

 一方、「連合タイムライン」は、Mastodon特有のタイムラインだ。自分のいるインスタンスが“連合”している他のインスタンスのトゥート(公開設定のもの)が流れてくる。ここで流れるのは大きく3種類のトゥートだ。

  1. 自分のいるインスタンスにいるユーザー
  2. 1がフォローしている他インスタンスのユーザー
  3. 2がブーストしたその他のユーザー

 ちなみに、異なるインスタンスのアカウントであってもフォローすることもできる。「リモートフォロー」という機能で、フォロー時に「ユーザー名@所属インスタンス」を相手のインスタンスに送る必要がある。ただし、非公開設定のインスタンスのユーザーとはつながることができない。

 前述の通り「誰でもインスタンスを立ち上げられる」ので、インスタンスの数はいま山のように増え続けている。日本に特定して紹介している記事も最近ではよく見かける。すでに、ジャンルや目的ごとに細分化されているという状況で、ここここから興味のあるものを探してみてもよいだろう。

 なお、現在、日本のインスタンスで規模が大きいものは、
・mstdn.jp(運営:ぬるかる氏、ただしその後ドワンゴがぬるかる氏を雇用)
・pawoo.net(運営:pixiv)
・friends.nico(運営:ドワンゴ)
といったところ。

 この3つは、先に上げた「instances.mastodon.xyz/list」でも、ユーザー数でソートすると上位に表示されるインスタンスとなる。

 このうち、pawoo.net、friends.nicoはモバイル用の専用アプリもリリースしている。それぞれが施しているカスタマイズ機能に対応したものだ。なお、通常のMastodonのモバイルアプリも数多く出ている。アプリではインスタンスの検索機能があるものも多いので、そちらが手早いかもしれない。

 参加するには、自分のアカウント(メールアドレス)とパスワードをインスタンスの管理者に預けることになる。中には、不正にメールアドレスを収集するための悪意のサーバもあるとの見方もある。そのため、どのインスタンスに登録するにせよ、その点については留意しておくべきだろう。

【次ページ】Mastodonブームの背景にあるもの、企業活用も一部で開始

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