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【社会】杉並の小中一貫校工事 業者が反対住民訴える 「妨害」中止の仮処分申請
東京都杉並区が進める小中一貫校の整備に反対し、抗議活動をしている近隣住民に対し、工事を請け負った業者らが「工事妨害だ」として中止を求める仮処分を東京地裁に申し立てた。十一日、第一回の審尋が開かれ、住環境が損なわれると主張している住民側は「運動の萎縮をねらったスラップ訴訟(恫喝(どうかつ)訴訟)だ」と反発している。(柏崎智子) 申し立てたのは、区立高円寺中学校の校庭に新築される「仮称区立高円寺地域小中一貫教育校」の工事を請け負った白石建設(杉並区)など四社の共同企業体(JV)。申立書は四月二十七日付で、六十八〜七十一歳の近隣住民八人が訴えられた。 十一日の審尋は非公開で行われ、両者の代理人らによると、裁判官が業者側に妨害行為をさらに特定して資料を出すよう求めたという。 申立書によると、住民らがプラカードを掲げて作業員や工事車両の前に立ちはだかり、大声で抗議するなどしたため、プールの解体工事などに着手できず、工程が遅れたと主張。工事の妨害をしないよう命令を出すよう求めている。 住民側は「作業員らに、区との話し合いが終わるまで工事を待つよう要請しただけ。計画への反対を訴えるのは、憲法が定める表現の自由の範囲内だ」と反論している。 一貫校は、高円寺中と近隣の二つの小学校を統合。高円寺中の校舎は四階建てだが、新校舎は高さ約二八・六メートルの六階建てとなる。住民側は近隣への日照が遮られる上、幹線道路沿いで新たに通う小学生の教育環境としてふさわしくないなどと訴え、区と話し合いを続けてきた。しかし、区は「計画変更は微調整以外応じない」とし、住民と平行線をたどっている。 訴えられた女性の一人は「この申し立てを裁判所が認めるようであれば、物が言えなくなる」と憤った。 業者側の代理人弁護士は「不利益を被っているので申し立てた。萎縮効果をねらっているかは裁判所の判断だ」と話した。 <スラップ(SLAPP)訴訟> 「strategic lawsuit against public participation」の頭文字を取った略語。米国で生まれた考え方。直訳では「市民参加に対する戦略的訴訟」だが、「恫喝訴訟」などと訳される。大企業や公的機関などが市民運動を萎縮させたり、ジャーナリストによる批判を抑えたりする目的で、業務妨害や名誉毀損(きそん)などを理由に訴えることを指す。 PR情報
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