自分の強みを知ることができる「ストレングス・ファインダー」とは?
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分野に関係なく、自分の「強み」を伸ばす機会を持つことは、職種や肩書、そして給料の額よりも、成功するために重要なことなのである。能力重視の傾向が強まっている今日の社会で自分が何に適しているかを把握するためには、自分の「強み」を知り、それを伸ばしていく必要がある。(17ページより)
『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』(トム・ラス著、古屋博子訳、日本経済新聞出版社)内のI「まず、あなたの強みを見つけよう」には、こう書かれています。
そして著者は、自分の強みに専念する機会のない人が払う代償の大きさを指摘してもいます。1000人以上を対象とした調査において、「自分の最も得意とすることを行う機会を毎日持っているか」という質問に対して「まったくそう思わない」「そう思わない」と答えた人のうち、仕事に意欲的で生産的な人はひとりもいなかったというのです。
一方、毎日強みに取り組む機会がある人は、ない人よりも6倍も意欲的かつ生産的に仕事に打ち込む傾向があり、総じて「生活の質がとても高い」と述べる傾向が3倍以上にのぼったのだとか。こうした結果からも、強みに気づき、それを生かすことの重要性が推測できるのではないでしょうか?
ちなみに本書は、2001年に発行されて世界的なベストセラーとなった『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』の新版。原著では人々が持つ「34の資質」が明らかにされていましたが、今回はその応用編になっています。
具体的には、「その資質をどう使えば武器になるか」「どうすればその資質を持つ人たちを活かすことができるか」といった「強みの活かし方」にフォーカスしているのです。そしてその原点になっているのは、<ストレングス・ファインダー>というもの。
「人間の強み」に関する研究に基づいて、私たちは、人々に共通する34の資質を言語化し、それらを発見・説明するためのアセスメント<クリフトン・ストレングス・ファインダー>を開発した。(5ページより)
人の悩みに関する私たちの知識は過去10年で飛躍的に増えた。本書では、最新の知見とその活用例を新たに紹介している。34の資質とその名称は変わらないが、アセスメントはより精度が上がり、それぞれの強みをより深く掘り下げて分析している。(8ページより)
付属のアクセスコードを入力し、ストレングスファインダーのウェブテストを受けることで、あなたの強みを知ることができます。その上で、34種に分かれた資質を確認していくことによって、その強みの活かし方が理解できるようになるのです。
本書ではどのような資質が、どのように紹介されているのでしょうか? その点を探るために、II「あなたの強みを活用しようーー34の資質とアイデア」から、「信念」について書かれた項目をピックアップしてみたいと思います。
信念 Belief
<信念>という資質が高ければ、あなたは、何か核となる揺るぎない価値観を持っています。その価値観が何かは人によって異なりますが、一般的にこの<信念>の資質があなたを家族中心主義に、他人に対して献身的に、そして崇高さを持つようにさえします。さらに自分自身についても他人についても、責任感と倫理感が強いことを評価の指標にします。この核となる価値観は多くの面であなたの行動に影響を与えます。あなたの人生に意義と満足感をもたらします。
(中略)
この普遍的価値はあなたに方向性を与え、誘惑や心を乱すものがあっても一貫した優位順位を保ちながら進んで行けるようにあなたを導きます。この一貫性が、あなたのあらゆる人間関係の基盤です。
(中略)
あなたの<信念>という資質は、あなたを信頼されやすい人間にします。そしてそれは、あなたが自分の価値観と完全に一致する仕事を見つけることも要求します。あなたの仕事は意義があり、あなたにとって重要なものでなければなりません。そしてその仕事は、あなたの価値観を実現するチャンスを与えることができる場合のみ意味を持つのです。(134ページより)
行動アイデア
<信念>が高い人の行動アイデアとして、著者は次のような提案をしています。
・ 人生最高の日を思い浮かべて、あなたの価値観をはっきりと把握しましょう。あなたの価値観は、その日感じた充足感にどのような役割を果たしましたか。あの日を何度も再現するために、自分の人生をどう設計しますか。
・ あなたの価値観に合う職務を積極的に探してください。特に、社会貢献を目的に掲げている会社がよいでしょう。
・ あなたにとっての働くことの意味や目的が人々の指針となることもあるでしょう。なぜその仕事が重要なのか、それがその人とその人の人生にどんな影響を及ぼすのかを人々に気づかせましょう。
・ <信念>の資質は人々の心に訴えかけます。なぜそれをするのかという「動機」を突き詰めて、家族や友人、同僚と話しましょう。心のこもったあなたの訴えは彼らを、貢献したいという気持ちにさせるでしょう。
・ あなたが影響を与えた人たちから受け取った手紙や写真を並べたギャラリーをつくりましょう。落ち込んだとき、自分の価値観を思い出すことができます。あなた自身を元気づけるとともに、人を助けるというあなたの責務を思い起こさせてくれるでしょう。
・ 仕事で求められていることと私生活のバランスをとるための時間を蓄えておいてください。家族に対する大きな責任を代償にしてまで働くべきではありません。
・ 自分の価値観を口にすることを恐れてはいけません。それによってあなたがどんな人か、あなたとどうかかわればいいのかが皆にわかります。
・ 自分と同じ価値観を持つ友人を積極的に探しましょう。親友を思い浮かべてください。その人は、あなたと価値観を共有していますか。
・ <未来志向>の資質が高い人をパートナーにしましょう。あなたの価値観が導く未来を鮮やかに描き出し、あなたを元気にしてくれます。
・ あなたとは異なる価値観を持っている人たちもいることを受け入れましょう。断定的にならずに、あなたの信念を説明しましょう。
(136ページより)
<信念>が高い人との働き方
次に紹介されているのは、「<信念>が高い人との働き方」です。
・ この人は、関心のある事柄については非常に情熱的になります。この人が情熱的になることを見つけて、それを本人がこなさなければならない仕事や業務と結びつけられるようにしてあげましょう。
・ この人の家族やコミュニティについて知りましょう。この人はとても献身的に彼らに関与しているかもしれません。それを理解し、高く評価し、尊重すると、この人はあなたに敬意を払うでしょう。
・ 共有する必要はありませんが、この人が持っている一連の価値観の体系を理解し、尊重し、それにうまく合わせましょう。そうしないといずれ大きな衝突が起こります。(137ページより)
このように、それそれの資質についての特徴がわかりやすく解説されているのです。だから読者は、自分に見合った資質を無理なく探し出すことができるわけです。(134ページより)
本書には、自分自身の強みを活かすための多くの戦略やアイデア、ヒントが詰まっています。自分の強みを見つけ、それを強化していけば、ビジネススキルをより高めていけるかもしれません。
印南敦史