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07:00
3月までに決断⇒5月中に決断⇒「もういいやアイツ待たない」⇒「今決めました!」

ゴネ得ってのはわりとよく聞きます。ゴネてゴネてゴネると、一番最初の話よりちょっとくらいは相手の譲歩を引き出せるもの。あるんでしょう、ゴネ得。しかし、その真逆を行く人がいた。東京都知事・小池百合子氏。「とりあえず何でもゴネてみる」「ゴネるアテクシかっこいぃ!」というゴネ得狙いの政治スタイルで颯爽と都政に取り組んだ小池氏は、潮目が変わったことに気づいているでしょうか。ゴネ損トレンドに突入していることに。

11日、東京都の小池知事は懸案となっていた2020年東京五輪の都外会場の仮設整備費について都が全額負担することを表明しました。2月の時点で「組織委員会が負担することになっている仮設の整備については、ほかの自治体が所有する施設を含め、都も負担することを排除せず検討するよう事務方に指示した」として事実上の屈服をしていた案件を、正真正銘の屈服をするまで3ヶ月も引っ張るとは。見事なゴネ損、時間の無駄でした。

先だって「屈服」にてゴネ終わった五輪新設会場問題、そして11日に「屈服」にてようやくゴネ終わった五輪仮設整備費問題。ほかにもあった気がしますが、小池都知事がゴネたものは「ものすごく時間をかけて一番最初の状態に戻る」ということを繰り返しています。もういい加減、世間も気づいてしまったのではないでしょうか。「あ、この人、何か考えや勝算があるわけじゃなくただゴネてるだけだ!」と。

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五輪仮設整備費問題は、ゴネた瞬間からこうなることがわかっていた問題でした。五輪の開催にあたっては、ただ会場があればいいというわけではなく、フェンスやゲート、テントなどオーバーレイと称される仮設物の設置が必要となります。仮設スタンドや仮設トイレなども含めて「五輪会場」になるために必要なさまざまなもの、それらにかかる費用が仮設整備費です。

本来であれば、これは開催都市である東京都が全額を負担すべきもの。だって開催都市なんですから。そのことは招致ファイルにも明記してありますし、国際オリンピック委員会と結んだ開催都市契約にも記してあります。大会組織委員会が第一義に負担するという建前ではあるものの、東京大会のサイフを誰が持っているかと言えば東京都に決まっているわけですから、組織委員会の手銭だけでダメなら東京都が負担するのは当たり前。東京都がダメなら国が仕方なく出てくる、そういう順番です。

ただ、ちょっとケチろうと思った人が、小池氏より前にいた。その人はちょっとケチることに貪欲で、湯河原だかの自宅に帰るのに会社のクルマを使ったり、子どもにクレヨンしんちゃんを買ってやるのに会社のお金を使ったりするタイプの人だったのですが、「新規に会場を作るのケチりたいな。だって電車にちょっと乗ったらスーパーアリーナとかあるし絶対無駄じゃん」と開催会場を他県に移したのです。それはある意味で合理的節約だったのかもしれません。

その結果、東京都は「さいたまスーパーアリーナみたいなもの」や「幕張メッセみたいなもの」を新たに作る負担が軽減されました。その時点で得をしたのです。ただ、それで手離れするわけもなく、ヨソから借りた場所で東京五輪をやることに変わりはないのですから、建築費以外の費用を負担するのは依然として「当たり前の話」なのです。

ところが何を思ったか、小池氏は「ソチラでやるんだから、ソチラが払いますよね」という顔で、費用分担の話など持ち出した。この時点で勝算はないわけです。向こうは100%の納得が得られなければ、「じゃ、やっぱり会場は貸しません。東京都さんでご自由にどぞー」となるのです。そうなったとき困るのは東京都だけ。片方しか困らない交渉で勝てる見込みはそもそもないのです。

もっと早い時点で、「バスケどこでやろっかなー(チラチラ)」「さいたまかなー(チラチラ)」「千葉かなー(チラチラ)」みたいな天秤でもかければ、多少の費用分担も引き出せたのかもしれませんが、もはやそんなことをやっている段階でもありませんし、東京都の近郊に五輪会場になりうる場所がたくさんあるわけでもないのです。横浜アリーナという有名大規模アリーナでも、周辺用地の確保やサブアリーナの確保が難しいなどの理由で却下されるのです。「借りたくても、ちょうどいいのがナイ」ので「頭を下げて借りるしかない」のです。

そこまで先が見通せていれば、このゴネは最初からするべきでなかった。一度ゴネて、それが「屈服」という形で決着したことで、ここから先もすべて「屈服」というルートが規定路線になりました。まぁ、僕の言う「当たり前の話」と、小池氏の「屈服」は同じものなので、イライラしているのは小池氏だけだと思いますが。

↓「都の負担が増える」んじゃないぞ!「最初から負担すべきだったものを負担する」だけのこと!エラそうに言うことじゃない!


「このたびホームパーティーを開きます」
「が、その費用がかさんでおり」
「ちょっとケチりたい衝動にかられ」
「手伝ってくれている人からも」
「あなたも運営側じゃないですか、と」
「お金出してもらおうかなーなんて」
「ちょっと思ったりしたのですが」
「やっぱり、アテクシが、このアテクシが!」
「ホームパーティーの費用を!」
「全額負担することに!」
「決定いたしました!(ドヤァァァ)」

百合子カッコいいぃぃぃぃぃぃ!!

ってなるかな?

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3月までには決めたいという意向を示していた小池氏。ある意味で、まわりも待ってくれていたと思うのです。ホームパーティー代を自分で払うと言い出すのを。それは意地悪ではなく温情です。「会場貸しません」「どうぞご勝手に」の圧力をかけて屈服させることもできたでしょうが、それではあまりに無慈悲じゃないですか。「お前のホームパーティー代なんだからお前が払え!」と説教するのは気が引けるじゃないですか。

しかし、3月が4月になり、4月がすぎて5月になり、「5月中に決断」などと言い出したので、こりゃ待っていてもダメだなと周りが気づいた。一番熱心に主体者意識を持って東京大会の準備を進めなければいけないはずの東京都がゴネるだけで動かない車輪だと気づいた。「うわ、アイツ全然ホームパーティーの準備してない!」「これじゃ準備がまにわないぞ!」「買い物とか下ごしらえとかこれからなのに!」と、お手伝いの人のほうが先に焦ってしまったのです。

そこで、隣県がスクラムを組んで「早くしろ!」と圧力をかけ、国は「もうあの人のこと待たないでいいから」と勝手に進めることを決めた。ここまでされてようやく腰を上げ、「ゴールデンウィーク前から決まっていた会談です(キリッ)」と言いながら、圧力をかけられて屈服したのではなくリーダーとしての決断をあらかじめしていたアテクシを演出してみせた。

「アテクシが、このアテクシが!」「ホームパーティーの費用を!」「全額負担することに!」「決定いたしました!」という報告のカッコ悪さと遅さ。こんなことは3月でも4月でもできたはずです。額がいくらだろうが、アテクシが払うべき金なのですから、決断はもっともっと早くできたのです。いくらかかるかの精査など、してもしなくても結論は一緒。レジの前で「この費用を誰かと分担できないものか…」と悩まれたら、みんな迷惑なのです。

それでもまだこれは「半歩屈服」といったところ。今回アテクシが支払いを宣言したのは仮設整備費の話。大会開催にあたっては、警備やら運営やらの実務に紐づく大会運営費がかかってきます。おそらくアテクシはそこでもういっちょゴネるでしょう。しかし、そのゴネはやっぱりゴネ損なのです。ゴネたところで「じゃ、そっちで人を手配して勝手にやってくださいねー」となるのが関の山。時間だけ食って、何度目かの屈服をするのでしょうか。

ゴネるのではなく、頭を下げて、一番合理的な状態になるように努めるのが結局は得なのです。たとえば警備にあたっては地元の警察がやるのがどう考えても合理的であり、その活動にかかる費用は「管轄地域の安全を守るため」なのですから通常業務の範囲でしょう。ただ、下請けでアルソックやセコムに頼むものは、それは誰が払っても同じなのですから当然東京都が負担すべきでしょう。

お手伝いさんの実稼働は手弁当でお願いするが、お手伝いさんが買うパーティーの食材は頼んだヤツが支払う。当たり前で合理的じゃないですか。ゴネるのではなく、筋を通して、合理的な状態を作る。そうすることが、自分の負担を減らすのです。おそらく小池都知事は「合理的」ではなく「アテクシファースト」が行動原理なのでしょう。ファーストを言い出したら、決まるものも決まりません。結局はアテクシにとっても損です。

就任以来のゴネ損の連打で、株を下げつづけている小池氏には、「時間ファースト」で頑張っていってもらいたいもの。アテクシはどこかで適当に辞めて逃げれば東京五輪とは無縁になりますが、残った誰かが、削られに削られた時間のなかで実務をしないといけないのです。アテクシが無駄に使っていい時間などないのです。東京都は世界で有数の経済規模がある大都市ですが、時間は誰にとっても同じだけしかありません。時間を大切にしましょう。東京五輪開幕まで、残り1169日だそうです。


他人の時間はタダだと思う、ブラック企業のリーダーの思想!