全国の12の火山に「噴火警報」や「火口周辺警報」

全国の12の火山に「噴火警報」や「火口周辺警報」
気象庁は11日、全国の活火山の4月以降の活動状況や警戒すべき点について発表しました。噴火が発生したり火山活動が高まったりして、全国の12の火山に「噴火警報」や「火口周辺警報」が発表されています。
今後の噴火によって火口周辺や居住地域の近くに影響がおよぶおそれがある「火口周辺警報」が発表されているのは、群馬県の草津白根山、群馬と長野の県境にある浅間山、長野と岐阜の県境にある御嶽山、宮崎県と鹿児島県にまたがる霧島連山の「新燃岳」と「えびの高原の硫黄山周辺」、鹿児島県の桜島と口永良部島、諏訪之瀬島、それに小笠原諸島の西之島と硫黄島の合わせて10の火山です。

火口周辺警報は10火山

今後の噴火によって火口周辺や居住地域の近くに影響がおよぶおそれがある「火口周辺警報」が発表されているのは、群馬県の草津白根山、群馬と長野の県境にある浅間山、長野と岐阜の県境にある御嶽山、宮崎県と鹿児島県にまたがる霧島連山の「新燃岳」と「えびの高原の硫黄山周辺」、鹿児島県の桜島と口永良部島、諏訪之瀬島、それに小笠原諸島の西之島と硫黄島の合わせて10の火山です。

噴火警戒レベル3は桜島、口永良部島

入山規制などが必要とされる「噴火警戒レベル3」は、鹿児島県の桜島と口永良部島に発表されています。

〈桜島〉桜島では、4月は昭和火口と南岳山頂火口で噴火が合わせて21回観測されました。このうち、28日には昭和火口で爆発的噴火が2回、観測され、噴煙が最大で3200メートルの高さまで上がりました。昭和火口で噴火が観測されたのは去年7月26日以来です。また、5月も活発な噴火活動が続いていて、2日に昭和火口で発生した噴火では噴煙が4000メートルの高さまで上がったのが確認されました。
鹿児島湾奥部の「姶良カルデラ」の地下深くにあるマグマだまりへのマグマの供給が続いていて、気象庁は今後も噴火活動が継続すると考えられるとして昭和火口と南岳山頂火口からおおむね2キロの範囲では大きな噴石や火砕流に警戒を呼びかけています。

〈口永良部島〉口永良部島では、新岳火口付近のごく浅いところを震源とする火山性地震の発生が4月は46回と、3月に続いて少なくなりました。一方、火山ガスの放出量は平成26年8月の噴火前よりやや多い状態が続いています。
気象庁は、おととし5月の爆発的噴火と同じ程度の噴火が発生する可能性は低くなっているものの、引き続き噴火の可能性があるとして、火口からおおむね2キロの範囲では大きな噴石や火砕流に、向江浜地区などでは火砕流に警戒するよう呼びかけています。

噴火警戒レベル2は6火山

火口周辺への立ち入りなどが規制される「噴火警戒レベル2」が発表されているのは、草津白根山、浅間山、御嶽山、霧島連山の「新燃岳」と「えびの高原の硫黄山周辺」、それに諏訪之瀬島の6つの火山です。

〈浅間山〉おととし6月にごく小規模な噴火が発生した浅間山では、山頂火口直下のごく浅いところを震源とする火山性地震の回数が4月は982回で、3月に比べておよそ850回減りましたが、地震活動は高まった状態が続いています。火山ガスの放出量は、6日に1500トン観測されるなど引き続き多くなっているほか、高温の火山ガスなどが夜間に雲などに映って赤く見える「火映現象」も時々観測されました。5月も火山性地震はやや多いほか、2日から4日にかけてと6日には地下の熱水や火山ガスの動きを示すと考えられる火山性微動が観測されています。地下のやや深いところにあるマグマだまりにマグマが供給されていることを示すと考えられる地殻変動も続いていて、気象庁は、火山活動がやや活発で、今後も小規模な噴火が発生する可能性があるとして、引き続き山頂火口からおおむね2キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石に警戒を呼びかけています。

〈御嶽山〉御嶽山では、平成26年10月10日以降、噴火は観測されておらず、火山活動は緩やかに低下しています。一方、火山性地震は続いていて火口からも噴気が出ていることから、気象庁は今後も小規模な噴火が発生する可能性があるとして、引き続き、火口からおおむね1キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石に警戒を呼びかけています。

〈草津白根山〉草津白根山では、火口湖の湯釜にたまった水の分析結果から、火山活動が活発な状態を示すデータが確認されていましたが、ことしに入ってデータが変化し、活動が徐々に低下する傾向を示しているということです。気象庁は、小規模な噴火が発生する可能性があるとして、引き続き火口からおおむね1キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石に警戒を呼びかけています。

〈霧島連山の新燃岳〉霧島連山の新燃岳では、火山性地震が時々発生しました。また、火口内や火口西側の斜面では弱い噴気が出て地面の温度が高い場所も確認されていることから、気象庁は今後の火山活動の推移に注意を呼びかけています。

〈霧島連山のえびの高原の硫黄山周辺〉霧島連山のえびの高原の硫黄山では、4月25日以降、山が隆起していることを示す地盤の変動が繰り返し観測され、監視カメラによる観測や気象台の現地調査では温度の高い領域の拡大や噴気の量の増加が確認されました。また、5月には火口内で土砂などがわずかに噴出した跡が確認されたため、気象庁は9日、火口周辺警報を発表して噴火警戒レベルをレベル2の「火口周辺規制」に引き上げました。
気象庁は、硫黄山からおおむね1キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。

〈諏訪之瀬島〉諏訪之瀬島の御岳火口では、4月は噴火が時々発生し、活発な火山活動が続いています。今後も火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生すると予想され、気象庁は引き続き、火口からおおむね1キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石に警戒を呼びかけています。

海底火山に「噴火警報」

〈福徳岡ノ場〉小笠原諸島の近海にある海底火山の福徳岡ノ場には、周辺の海域で警戒が必要な「噴火警報」が発表されています。

〈ベヨネース列岩〉伊豆諸島の青ヶ島の南にある海底火山、「ベヨネース列岩」の付近では3月に海面の変色が確認され、気象庁は小規模な海底噴火が発生する可能性があるとして「噴火警報」を発表しました。5月2日には「ベヨネース列岩」の一部の「明神礁」と呼ばれる浅い岩礁の付近で海面の変色や気泡が発生しているのが確認され火山活動が活発な状態が続いています。
気象庁は「噴火警報」を継続して周辺の海域では警戒するよう呼びかけています。

警報なし・レベル1の注意

全国の活火山の中には警報が発表されておらず、噴火警戒レベルがレベル1の火山がありますが、過去に噴火を繰り返してきた活火山であることに変わりはなく、気象庁や自治体が発表する情報に注意が必要です。

〈阿蘇山〉熊本県の阿蘇山では、火山ガスの放出量が4月28日以降、1600トンから1700トンとやや多い状態が続きました。また、火口の直下で起きる孤立型微動も4月27日から29日にかけて一時的に多くなったほか、火山性地震も28日に310回観測されて多くなっています。
しかし、5月8日と11日に行った観測では、火山ガスの放出量は700トンから1000トンとやや少なくなりました。地殻変動のデータにも特段の変化は認められておらず、気象庁は、火口周辺では火山ガスに注意するよう呼びかけています。

火山情報の確認を

各地の火山活動の状況や注意点などは、気象庁や各地の気象台、自治体のホームページなどで確認することができます。