時子の父
酪農も手がけるなど、奥茨城村の農家としては成功している。谷田部家とは付き合いも古く、毎年、田植えや稲刈りを手伝っている。いつも君子の勢いに押されてしまうので、周りから尻に敷かれているように見られている。
奥茨城の小さな農家に生まれ育った高校3年生。おっとり、のんびりした性格だが、明るく働き者の母・美代子のような女性になりたいと思っている。奥茨城の暮らしが大好きで、卒業後は祖父や母を手伝って畑仕事を頑張るつもりだった。そんな矢先、東京に出稼ぎに行った父が行方不明になってしまったことから集団就職で上京することを決意。トランジスタラジオを作る工場で働き始める。
農業が大好きで、本当は故郷で田や畑仕事をしていたいのだが、不作の年に作った借金を返すため、一年のほとんどは東京の工事現場で懸命に働いている。離れてはいても、いつも家族のことを思っている心優しい父親。だが、稲刈りで帰郷したのを最後に、消息を絶ってしまう。
明るくおしゃべりで、ちょっとおちゃめ。農作業のかたわら、洋裁の内職にも精を出す働き者でもある。夫・実(みのる)が家にいないことで寂しい思いをしているが、子どもたちの前では気丈に明るくふるまっている。実が行方不明になったことに大きなショックを受けるが、無事を信じて待ち続ける。
口かずが少ないのに、たまにしゃべると毒舌。でも本当は家族のことをいちばんわかっていて、さりげなく優しい気遣いを見せて谷田部家を支えている。農業一筋で生きてきたため、跡取りの実(みのる)を出稼ぎに出さなくてはならない状況を心苦しく思っている。若いころはかなりモテたらしい。
実(みのる)の弟、みね子の叔父。少し離れた村に養子にいったが、父親不在の谷田部家をいつも気にかけていて、野菜などを持ってよく現れる。大きな声でよく笑い、その場を一瞬で明るくする。気持ちだけは世界に向いていて海外の話もよくするが、実は東京にすら行ったことがない。
みね子の妹。父・実の帰りを心待ちにしている。大人たちの会話に加わりたいと思いつつ、弟・進の面倒を見る。
みね子の弟で、三人きょうだいの末っ子。甘えん坊で、ちよ子とよく一緒にいる。8歳になるがおねしょ癖が直らない。
みね子の幼なじみで同級生。自他ともに認める村一番の美少女で、気も強い。みね子とは対照的な性格だが、お互いに欠かせない親友同士。卒業後は集団就職でトランジスタラジオの工場で働くことになるが、いつかは女優になるという夢を持っている。
美代子とは幼なじみで、たびたび農作業を手伝いに来ては、おしゃべりにも花を咲かす。2人は奥茨城村で1、2を争う美人同士だったらしい。時子には、堅実な道を歩んで幸せになってほしいと願っており、上京に反対している。
酪農も手がけるなど、奥茨城村の農家としては成功している。谷田部家とは付き合いも古く、毎年、田植えや稲刈りを手伝っている。いつも君子の勢いに押されてしまうので、周りから尻に敷かれているように見られている。
冷静沈着に仕事をこなし、家族が揉めていても、ひとり黙々とソロバンをはじいている。文学が好きで、高校の頃は作家志望だった。奥茨城村青年団の副団長。
みね子の幼なじみで同級生。時子に片思いをしている。みね子と同様、奥茨城が大好きなのだが、農家の三男坊なので継ぐこともできず、集団就職で日本橋の米屋で働くことが決まっている。上京後も3人の友情は続き、励まし合いながらそれぞれの道を歩んでいく。
みね子の家よりは大きな農家で、リンゴ栽培も手がけている。働き者で、とても愛情深い母親。東京で働くことになる三男に里心がつくことを心配して、あえて顔を見るたびに「さっさと手伝え」とつらくあたる。
奥茨城村では比較的大きな農家の家長。無口でおとなしい性格もあり、口うるさい妻・きよの陰に隠れがち。普段は厳しい父親であるが、聖火リレーでは走る三男を全力で応援する。
奥茨城村青年団の団長も務めるしっかり者。聖火リレーの提案が三男たちからあがった時は、一度は否定するものの、やると決めたらとことん熱く楽しく盛り上げる。青年団で身に付けた政治力を存分に発揮し、村全体を巻き込んで開催を主導する。
みね子たちが通学に使うバスの車掌。みね子たちの集落から町に出る唯一の交通手段がこのバスで、長年、子どもたちの成長や数々の出会いと別れの場を見てきた。ほとんどの村人と顔なじみで、乗客の会話にもたびたび加わる。
みね子たちが通う、常陸高校社会科の教師で3人の担任。長年生徒の就職を世話しているため顔が広く、毎年3年生を任されている。生徒思いで教育熱心。急きょ就職先を探すことになったみね子のために奔走する。上京当日は、東京まで引率してあたたかく見送った。
みね子の叔父・宗男の妻。宗男にとっては、とにかくおっかなくて怖い存在らしい。子どもの世話でなかなか谷田部家に顔を出せないと宗男は言うが、本当のところはわからない。宗男が冗談を言っても鼻で笑うような、気が強い女性なので、谷田部家のみんなが笑ってくれるのが宗男は嬉しいらしい。
赤坂にある洋食屋「すずふり亭」の店主。
赤坂生まれ、赤坂育ち。父が開いた洋食屋を、夫、息子とともに切り盛りしていたが、空襲で夫と店を失う。戦後、必死に働いて店を再建。「本格的な洋食を気軽に食べられる」と町の人から愛される繁盛店になった。東京に出稼ぎで来ていたみね子の父・実(みのる)が来店したことがきっかけで、谷田部家との交流が始まる。みね子が上京してからも何かと世話を焼き、みね子の大きな支えとなっていく。
「すずふり亭」の料理長で、鈴子の息子。
父亡きあと、母・鈴子と二人三脚で店を切り盛りし、その味を守ってきた。ドビソース(デミグラスソース)には、とくにこだわりがある。仕事には厳しいが心根は優しく、東京で父を探すみね子をそっと見守る。妻とは死別しており、はねっかえりの一人娘は突然結婚して家を出ていってしまった。まだ若い省吾には再婚してほしいと、鈴子は思っているのだが…。
「すずふり亭」のコック。
店の二番手だが、サボり癖があり、料理人としての腕を磨こうという気概も感じられない。後輩の秀俊にはやたら厳しく、仕込みなど面倒なことをすぐに押しつけようとする。一方で、感動屋さんで涙もろく、その単純さが憎めない男である。
「すずふり亭」のホール係。
仕事は出来るのだが愛想のいい方ではなく、とくに開店直後はなかなかスイッチが入らない。若い女性を勝手にライバル視する癖があり、「いい女」には厳しいらしい。みね子は優しくされて、うれしいがちょっと複雑。
「すずふり亭」の見習いコック。
仕込みから閉店後の後片づけまで、1日の大半を調理場で過ごす。夢は、いつか自分の店を持つこと。省吾から料理の技と心得を学ぼうと、日々、修業に精を出している。
みね子が働く向島電機・「乙女寮」の舎監。
40名ほどが暮らす女子寮で、工員たちの面倒をみている。中学や高校を卒業してすぐに上京してきた女子工員たちにとっては、母のようでもあり先生のようでもある存在。若いころは、みね子たちと同じく工場で働いていたが、不器用でとても苦労したらしい。おっちょこちょいで抜けていることも多いが、ここぞという時には頼りになる。恋人を戦争で亡くしていて、今も独身を守っている。
山形県出身。みね子たちの先輩。中学卒業後、向島電機で働きはじめた。「乙女寮」のことは愛子よりも詳しく、寮長を務めている。みんなに慕われる優等生で、みね子たち新人をあたたかく迎え入れる。課外活動のコーラスを指導しに来る雄大と婚約しているが、悩みも多く…。
秋田県出身。みね子たちの先輩で、幸子の同期。中学を卒業して上京した。体が弱いため寝込んでしまうことがあるが、本当なら工場でいちばんになるくらい仕事ができる。すぐにけんかになってしまう澄子と豊子をなだめるお姉さん的存在。可憐(かれん)でかわいらしい雰囲気は、みね子の憧れに。
福島県出身。家計を助けるために、中学を卒業してすぐに上京してきた。いつもマイペースで、何をするのも遅い。よくミスをして生産ラインを止めてしまうが、悪びれる様子もない。「乙女寮」では、課外活動のコーラスと食堂のカレーライスを楽しみにしており、それが大きな騒動を巻き起こす。
青森県出身。体育以外オール5という成績だったのに、家が貧しいため進学できず、中学を卒業して就職した。頭が良くて仕事もできるが、高校に行けなかった悔しさからついついとげのある言い方をしてしまう。とくに全くタイプの違う澄子とはそりが合わない。休日も勉強に励む努力家でもある。
乙女寮に通い、工員たちの食事を作る料理人。みね子たちの入寮日には、やりくりして肉たっぷりのカレーライスをふるまう。
トランジスタラジオ工場の主任。気弱な性格で、ミスをしないかビクビクしている。愛子に調子を狂わされ、困惑している。
赤坂警察署管内の五丁目派出所に勤務する警察官。茨城県出身。実の捜索願を出しに来た美代子が同郷と知り、少しでも役に立ちたいとの思いから捜索の手伝いを申し出る。本人はいたってまじめな性格だが、その爽やかなルックスからか、乙女寮の女子工員たちをとりこにしてしまう。
芝浦の大きな工場で働く勤労青年だが、音楽家を目指しており、働いたお金を音楽につぎ込んでいる。毎週、乙女寮にコーラスを教えに来ていて、寮長の幸子と婚約中。対照的な性格の綿引と不思議な友情を結ぶ。
第5週
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第2週
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