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精霊のパラドックス ~異世界■■■、精霊■■■■■■少女~ 作者:緋色の雨
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エピソード 1ー3 咲夜を識る精霊――カティア

 本日、二度目の更新となっています。
 しおりの最新話から飛んできた方はご注意ください。
「……一希、熱は大丈夫?」
 おでこにひんやりとした感覚。ゆっくりと目を開くと、そこには咲夜がいた。だから俺は、これが子供の頃の夢だと思った。
 咲夜とは家が隣同士の幼なじみだったから、良くお互いの家を行き来していた。そうしてどちらかが病気になったりしたら、もう一人がこんな風に看病をしていた。
 子供の頃は当たり前だと思っていた――だけど、特別だった日々を思い出し、俺は懐かしさに泣きそうになった。

「……咲夜、ごめんな」
「どうして謝るの? 一希が謝ることなんて、一つもないのに」
 咲夜は不思議そうに小首をかしげた。
 ……本当に都合の良い夢だ。四年前、俺は連れ去られる咲夜を見殺しにした。もし再会できたとしても、こんな風に咲夜が俺に微笑んでくれるはずがないのだから。
 そんなことを考えながら、俺はかりそめの幸せに浸った。



「……ん」
 ゆっくりと意識が浮上する。ぼんやりと瞳を開くと、板張りの天井が視界に広がった。ここはどこだろうと見回すと、素朴な木製の家具が目に入った。
 どうやら木造家屋の一室。ベッドの上に寝かされているらしい。
「ここは……どこだ?」
「――――――?」

 問いかけに答えたのは穏やかな音色。俺を救ってくれた女の子かなと声の主を探す。
 そうして見つけたのは、部屋の隅にある木製の椅子に腰掛けるブルネット(褐色の肌や髪)の少女。年は十二、三歳くらいだろうか? 非常に愛らしい顔つきで……耳がモフモフしている。
 ……耳がモフモフ? あれ? 本当に耳がケモミミっぽいぞ。もしかしなくても獣人とか、そういう感じなのかな?

「――――――?」
 繰り返される言葉は相変わらず判らない。だけどその表情や仕草から、なんとなく俺を心配してくれているのだと予想できた。
 俺は自分が死にかけていたことを思いだし、恐る恐る脇腹に手を伸ばす。そこには包帯が巻かれていて、触れると鈍い痛みがあった。どうやらあの光景は夢ではなかったらしい。
 ――と、そんな風に考えていると、ケモミミの少女は俺の側に歩み寄ってきた。

「ダイ、ジョウ……ブ?」
「えっ? あっと……大丈夫みたいだ」
 びっくりした。いまの、日本語だったよな? この子も日本語がしゃべれるのか?
「ええっと……ここは、どこ、なんだ?」
 可能な限りゆっくりと問いかけるが、ケモミミ少女は小首をかしげた。
 うぅん、会話が出来るレベルじゃないのかな? どうしようかなと思っていたら、彼女は手のひらを俺の傷口に近づけてくる。
 なんだろう? 包帯を巻き直してくれるのかな――って、なにごと!? ケモミミ少女がなにか呟いたら、虚空に光りの文字が浮かび上がったぞ!?

「それは、なに?」
 俺が遺跡で出会った少女が使っていたのと同じような、虚空に浮かぶメッセージ。ケモミミ幼女はそのメッセージを読むように視線を動かし――ほっと小さな息を吐いた。
「ダイ、ジョウブ」
「ええっと……ありがとう?」
 なにをされたのかは不明だけど、傷を確認してくれたんだろうと、お礼を口にしておく。

「――――」
 ケモミミ少女がなんらかの言葉を発する。今度はなんだろう? 話の流れからして、痛いところはないか、とかかな? なんて思っていたら、彼女は自分を指さした。
「リスティス」
「お?」
「リスティス。――――?」
 自分を指さしてリスティスと言い、今度は俺を指さして首をかしげる。もしかしなくても、リスティスがケモミミ少女の名前で、俺の名前を聞いてるのだろう。
 俺は確認の意味を込めて、ケモミミ少女を指さして「リスティス」と呼んでみる。ケモミミ幼女はコクコクと頷いた。どうやら、リスティスは名前で正解のようだ。

 と言うか……目の前で可愛らしく頷くケモミミ少女。そのたびに揺れる耳が可愛い。むちゃくちゃモフモフしたい。と言うか、ここからは見えないけど尻尾もあるんだろうか?
 見たい。凄く見たい。……い、いや、我慢しよう。変なことをして敵対行動と誤解されたら困るし。と言うことで、俺は自分を指さして、「カズキ、俺は、織倉 一希」と名乗った。
「……カズ、キ?」
「そうそう、一希」
 頷いた瞬間、リスティスは俺の手を掴んで詰め寄ってくる。

「カズキ――、――――カズキ!?」
「そ、そうだけど……」
 な、なんなんだこの反応は。なんかむちゃくちゃ怒ってるような気がするけど、もしかしてこの世界の言葉で一希は、相手に対する悪口だったりするのか?
 なんか判らないけどやばい。遺跡での失敗を繰り返す訳にはいかない。
「ごめん、敵対するつもりは――っぁ!?」
 慌てて頭を下げようとして、脇腹に激痛が走ってうめき声を上げる。そのあまりの痛みに倒れかかったところを、リスティスが受け止めてくれた。

「……ダイジョウ、ブ?」
「あ、あぁ、だいじょうぶ……いや、ちょっと、痛いかも」
 実際、ちょっとどころじゃない。意識を持って行かれるかと思った。俺はリスティスに寄りかかるような体勢で痛みが引くのを待つ。
 ほどなく、部屋の外から別の女の子の声が聞こえた。誰だろうと視線を向けると、俺を獣から救ってくれた銀髪の少女が部屋に入ってくるところだった。
「良かった……目が覚めたみたいだね」
 ……良かった。やっぱりこの子は流暢に日本語がしゃべれるんだと安堵。ホッと息を吐いたのだけど……少女の瞳はジトッとしていた。

「それで、貴方はなにをしてるのかしら?」
「え、なにって?」
「私の可愛い妹を襲っているように見えるのだけど?」
 言われて気づく。ベッドの上、俺がリスティスに抱きつくような構図だ。
「ち、違うぞ? これはその、痛みで……というか、俺がリスティスを驚かせたみたいで」
「……ふぅん?」
 疑いの眼差し。なんか、すっごい誤解をされてる気がする!?

「ほ、ホントに誤解だからな? 自己紹介したら、なんか驚かせちゃったんだよ」
「……自己紹介? あぁ、それで」
 なにがそれでなのか、銀髪の少女は小さく微笑んだ。その吸い込まれそうな瞳が愁いを帯びているように見えるのは……気のせい、なんだろうか? なんて思っていたら、少女はリスティスに向かってなにかを伝え、俺の方へと歩み寄ってきた。
 そして――

「……え、ちょっと、あの?」
 唐突にぎゅっと、その豊かな胸に抱きしめられた。その謎の行動に驚きつつ、その柔らかさと、甘い匂いにドキドキさせられる。
「元気になって……良かった」
 理由は分からないけど、この子は俺のことを心配してくれていたらしい。それを理解した瞬間、俺の胸がとくんと高鳴る。
 ――って、いやいや。抱きしめられて動揺してるだけだ。俺には咲夜がいるのに、出会ったばかりの子にときめくとかあり得ないから。
 ……いや、咲夜がいるのに――って、別に付き合ってた訳じゃないけどさ。
 そもそもあの頃の俺はまだ子供で、恋心なんて理解してなかった。だから、ただ大切な存在だと思って……って、俺は誰に言い訳してるんだ。冷静に、冷静になるんだ俺。
 まずは深呼吸……って、なんか凄く良い匂いがするんですけど!?

「本当に……良かった。熱でずっとうなされてたから、凄く、凄く心配したんだよ」
 慌てふためく俺に投げかけられたのは、そんな安堵の言葉。本当に心配をかけていたのだと気づき、俺は冷静さを取り戻した。
「その……キミが助けて、くれたんだよな?」
「そうだね。偶然だったけど、私が通りかからなかったら危なかったと思うよ」
「ありがとう。俺を助けてくれて。それで……俺は一希、織倉 一希って言うんだけど、キミの名前は?」
「私は、私は……カティアだよ」
 少し言いよどんだ後、少女はそんな風に名乗った。なんだろう? 偽名だったり? よく分からないけど、命の恩人だし、胸が凄く柔らかいし、悪人ではないだろう。
 ……いや、胸は関係ないな。って言うか、いつまで抱きしめられてるんだ。

「えっと、その……カティア?」
「……うん?」
「ちょっと、恥ずかしい。出来れば離して欲しいんだけど」
「……え? あっ、ご、ごごっ、ごめんなさいっ!」
 カティアがはじかれたように俺から離れる。ぬくもりが消えてちょっと寂しい。と言うか、真っ赤になる姿がなんか凄く可愛いぞ――じゃなくて。
 俺はさっきから、なんでこんなに動揺してるんだ。

 咲夜と離ればなれになってからの四年間は女っ気のある生活とは言えなかった。良くしゃべる相手と言えば葵くらいだろう。……嫌われていたけど。
 でも、小さい頃はずっと咲夜と一緒だったし、咲夜はスキンシップが激しい方だった。それなのに、いくらなんでも動揺しすぎだ。もう少し免疫があったはずだ。
 取りあえず落ち着こう。落ち着いて深呼吸――はさっきやったな。ええっと……まずはそう、聞くべきことを聞かなきゃだ。

「カティアに聞きたいことがあるんだけど」
「その前に、なにか私に言うことはない?」
「え? ええっと……助けてくれてありがとう?」
「どういたしまして。でもその話じゃなくて、私を見てなにか思うことはない?」
「思うことと言われても……」
 期待するような目で見られ、俺はあらためてカティアを観察する。

 髪の一房に黒いリボンを巻き付けただけで、服装は極めて質素。
 だけど、長い銀髪は艶やかで、光を反射して天使のわっかを作り出している。そしてそんな髪に縁取られる小顔には、左右で光彩の異なる瞳が収められている。
 いわゆる虹彩異色症。左目はルビーのように紅い瞳で、右目は青みを帯びた夜色の瞳。どちらも吸い込まれそうに綺麗だけど、俺は取り分け右の瞳に惹きつけられた。
 咲夜と同じ夜色の瞳は大粒で、吸い込まれそうな深みがあったからだ。

「……綺麗だな」
「ふえぇぇぇっ!?」
 あ、思ってることを反射的に口にしてしまった。カティアの白い肌が、みるみる真っ赤に染まっていく。
「いや、ごめん。オッドアイが綺麗だなって思って」
「な、なんだ。そういう意味か。脅かさないでよね、もうもうっ!」
「いや、ホントごめん」
 瞳だけじゃなくて、顔も同じくらい綺麗だって思ったけど、さすがに自重しておく。なんて思っていたら、カティアはどこか寂しげに顔を伏せた。

「……分かるはずない、よね」
「ええっと……なにが?」
「うぅん、なんでもないよ」
 なんでもないと言いつつ、何故か寂しげに見える。なんなんだ、一体。もしかしたら、髪型とかが変わってるのかもしれないけど……幼なじみじゃあるまいし、分からないぞ?

「良く分からないけど、次は俺が質問しても良いか?」
「あ、待って。一つ聞かせて欲しいんだけど」
「ええっと……なんだ?」
「一希はどうして、あんな場所に倒れてたの?」
「あぁそれは……」
 俺は少し考え、冒険者風の連中に絡まれたところから、逃げた先でオオカミもどきに襲われたというところまでを話した。

「冒険者……それはたぶん、ウィラント伯爵の調査隊だね」
「遺跡の調査ってことか? どうしてウィラント伯爵の関係者だって分かるんだ?」
「あの遺跡を調べたがってるのがウィラント伯爵だから、だよ。それに、顔が認識できなかったって言ったでしょ?」
「あぁ……あれはなんなんだ?」
「認識を阻害する紋様魔術だね。ウィラント伯爵があの遺跡を表立って調査することは出来ないから、正体を隠すために、顔が認識されないようにしているんだと思う」
 カティアはそう言ってリスティスに視線を向けると、俺の知らない言葉でなにかを伝えた。それを聞いたリスティスは頷き、部屋を退出していく。

「なんて言ったんだ?」
「調査隊のこと、ギルドに報告してもらうように頼んだの」
「ギルド?」
「冒険者ギルドって言って、様々な仕事の斡旋所だよ」
「ふむ。ラノベとかで出てくるあれか。興味あるけど……まぁ今はいいや。そっちの質問が終わったのなら、こっちからも聞いて良いか?」
「うん、なにかな?」
「ここは――」
「ここはゼフィリア大陸にあるリーベルト国。ヴァン伯爵領の端にある街、ミレルだよ」
 俺が聞くよりも早く、カティアはそんな風に答えた。
 でも、それは俺が聞きたかったことじゃない。俺が本当に聞きたかったのは、ここが俺の住んでいる世界とは違うのかどうかと言うこと。
 だから――

「――一希から見れば、いわゆる異世界だね」

 続けられたカティアの言葉に、言いようのない動揺を覚えた。だって、俺が異世界から来たと認識していなければ、そんな答えが出てくるはずがない。
 なにより、カティアは日本語を流暢に操っている。
「もしかして……カティアは、咲夜を……知って、いるのか?」
 震える声で問いかける。それに対してカティアは……小さく頷いた。

「教えてくれ! 咲夜はどこに――っ」
 ベッドから勢いよく身体を起こし、傷の痛みに顔をしかめた。だけど、いまは痛みなんかよりも、咲夜の行方の方が重要だと、必死にカティアに手を伸ばす。
「教えて、くれっ、咲夜は、どこにいるんだ?」
 痛みを我慢して、必死の思いで問いかける。
 その瞬間にカティアが浮かべたのは――まるで親に捨てられた子供のような表情。その大粒の青い瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。

「カ、カティア?」
「……ごめん、なんでも、なんでもないから……」
「なんでもないって……」
 なにかに耐えるような表情で、左右で光彩の違う瞳からそれぞれぽろぽろと涙をこぼす。
 そんな姿を見せられて、なんでもないなんて納得できるはずがない。そして考えた俺は、カティアがそんな反応を示す理由を、一つだけ思いついた。
 思いついて……しまった。

「もしかして……咲夜は」
 死んでいるのか――と、声には出さずに尋ねる。声に出してしまえば、恐れていることが、すぐに現実になってしまうと思ったから。
 そして、声に出さなくても、現実はきっと変わらない。
 そう思っていたから――
「……咲夜は、咲夜はいまも生きている。私は……そう思ってる」
 ぽつりとこぼれ落ちた言葉を、俺は一瞬理解できなかった。だけど、すぐにその意味を理解して希望を抱く。

「咲夜は生きて……生きているのか?」
「少なくとも、私はそう思ってるよ」
 指で目元の涙をぬぐい、俺をまっすぐに見ながら告げた。少し寂しげで――だけど揺るぎないカティアの瞳は、嘘を言っているようには見えない。
 もちろん、本当とも限らない。少なくともカティアは、生きていると思うと言っているだけで、生きていると断言はしていないのだから。
 だけど――俺は咲夜が死んでいてもおかしくないと思っていたから、生きているかもしれないと言うことが分かっただけでも凄く嬉しい。

「生きているのなら、どこに行けば咲夜に会えるんだ?」
「……いまは、教えられないよ」
「どうして――っ」
 カティアに詰め寄ろうとした俺は、脇腹に激痛が走ってうめき声を上げた。そんな俺を見て、カティアは小さなため息をつく。

「分かったでしょ。一命を取り留めたけど、一希はまだ起き上がれるほどじゃない。私が契約しなきゃ、今頃は死んじゃってたんだからね?」
「……契約?」
 そう言えば……俺が意識を失う前、なんかそんなことを言ってたなと思い出す。

「私ね、こう見えて精霊なんだよ」
「……精霊? どこからどう見ても人間にしか見えないけど」
「見た目は人間とまったく同じだよ。どこが違うかは……長くなるから、またの機会ね。とにかく、私が精霊として一希と契約して、恩恵を捧げたの」
「……恩恵を捧げる? それが原因で俺が助かったってことか?」
「恩恵は生まれたときから持っている特殊な力のこと。私の恩恵は身体能力の強化だったから、その影響で一希の身体能力が上がって、一命を取り留めたんだよ」
「そう、だったのか……」
 知らないあいだに契約を結んでいたと聞くと、ちょっと怖いけど、あのままなら俺は間違いなく死んでた。助かったのが契約のおかげなら、俺は感謝するべきだろう。
 だから、ありがとう――と、俺は頭を下げた。

「良いよ、別に気にしなくても。契約と言っても、ちょいちょいと契約を結んだとか、そんな感じの軽いモノだから」
「……ちょいちょい? そんなに軽いモノなのか?」
「うんうん、そうだよ」
「そうなのか……」
 物語に出てくるような契約というと、命にかかわるような重要なイメージだったから、ちょっと――いや、かなり意外だ。

「ともかく、一命は取り留めたけど、しばらくは絶対安静。だから、咲夜のことを教えるのは、一希の身体がちゃんと治ってから、ね?」
「でも……」
「それに、いまの状態で咲夜のことを知っても、どうしようもないでしょ?」
「それはまぁ、そうだけど……」
 物凄く教えて欲しい。けど……聞くことすら我慢できなかったら、探しに行くのを我慢するのはもっと無理だ。今はベッドから降りるのも辛い感じだし……カティアの言うとおりにした方が良いだろう。

「……分かった。まずは傷を治すことに専念するよ」
「それが良いよ。そのあいだに、この大陸の言葉を教えてあげるね」
「この大陸の言葉?」
「リスティスも日本語はほとんどしゃべれないし、言葉が通じないと不便でしょ?」
「あぁそっか。そうだな」
 咲夜を見つけることしか考えてなかったけど……そうだよな。
 咲夜を保護できれば、日本に連れて帰りたい。けど、もとの世界に帰る手段があるか分からないし、もし戻る手段があったとしても、咲夜がすぐに見つかるか分からない。
 と言うか、すぐに会えるなら、今は教えられないなんて言わないだろう。だから、言葉を教えてくれるというのは嬉しいんだけど……

「今更だけどさ。俺はここでお世話になって良いのか?」
 豊かな日本でも、見ず知らずの人間を養うなんてかなりの負担になるはずだ。
 この世界の生活がどんな感じなのか分からないけど、家具とかを見る限り、とくに裕福な家には見えない。俺を養う余裕なんてあるんだろうか?
 まともに動けないから追い出されても困るけど、負担をかけるのは嫌だ――と、心配したんだけど、カティアは心配しないでと、包容力のある笑みを浮かべた。

「この世界にいる限り、一希のことは私が面倒見てあげる。だから、なんだってお願いしてくれて良いんだよ?」
「気持ちはありがたいけど……なんか大げさじゃないか?」
 まるで、一生面倒を見てあげると言わんばかりの口調。ちょっと過剰すぎだと思ったんだけど、カティアは穏やかな表情を浮かべたまま。俺の問いには答えなかった。
 ――だから、その言葉に特別な意味が込められていることに、いまの俺は気づかない。俺がそれに気づくのは、いまよりずっと未来、すべてを知った後だった。
 
 
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青い鳥症候群 完結

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