牛乳と言えばその名の通り牛の乳だが、牛なしで牛乳ができるという。ビールのようにイースト菌で作れてしまうのだそうだ。
まあ本当はもう少し複雑なのだけれど、とにかくそれがパーフェクトデイ社による自社製品の説明だ。
ベジタリアンや乳糖不耐症の人々には、豆乳やアーモンドミルクといった別の選択肢もあるが、その味は牛乳とかなり違う。だがこの合成牛乳は味や栄養価はまったく牛乳と同じになるという。
スポンサードリンク
不可能にも思える挑戦だが、既存技術の応用で行えるという。
合成牛乳の開発を行っているのはパーフェクトデイ社で、医用生体工学者という経歴を持つライアン・パンドゥヤ氏とペルマル・ガンジー氏が設立したスタートアップ企業だ。
3年前はそれぞれボストンとニューヨークで次世代ワクチンの開発と組織エンジニアリングの仕事をしており、まったく面識のなかった2人であるが、「牛なしで牛乳を作る」という野望は同じだった。すぐに意気投合し、夢を実現するため協力しようという運びとなった。
3Dプリント技術でイースト菌を乳牛へ
「今日、無数の製品開発でタンパク質を作成する方法と同じものです。医薬品、マルチビタミン剤、洗剤、さらにはシミ落としなんかにもタンパク質が使われています。どれも同じ手法で作られているんです」とパンドゥヤ氏。
合成ミルクを作るにはイースト菌が使われる。しかし、そこらのイースト菌ではなく、3Dプリント技術で乳牛へと作り変えられたものである。牛のように働くことから、両氏は”バターカップ”という愛称で呼んでいる。
具体的には、牛のDNA情報から3Dプリンターで配列を再現し、そのDNA配列をイースト菌に注入。こうして作られたバターカップが通常のイースト菌のように糖を発酵させるとき牛のように機能し、本物の牛乳タンパク質(カゼインと乳清)が作られる。これを植物由来の脂肪と栄養に混ぜれば乳糖が入っていない牛乳が完成する。
味も舌触りも牛乳そのもの、賞味期限も長く栄養価も同じ
「重要な点はすべて同じですから、違いは分からないでしょう」とパンドゥヤ氏。味も舌触りもまさに牛乳そのものだという。乳糖が入っておらず、牛から搾り取ったわけでもない点だけが異なる。
こうして作られる「パーフェクトデイ」は、動物と環境に優しく、乳糖フリー、ホルモン剤・抗生物質・ステロイドフリー、コレステロールフリーで、しかも牛乳より賞味期限が長い。まさに次世代の牛乳であるわけだが、中には遺伝子組替え食品に抵抗を感じる人もいるだろう。だが、これについても心配無用だ。
遺伝子組み換え食品ではない
出荷される製品からはフィルターで遺伝子組替えイーストをきちんと除去してある。ミルクに含まれるタンパク質は牛乳のものと同じ普通のタンパク質であり、遺伝子組替え作物ではない。したがって本製品は遺伝子組換え食品ではない。このことをしっかり伝えることもパーフェクトデイ社の大切な仕事だ。
乳製品を今年中に販売予定
面白いことに、パーフェクトデイ社は最初の製品を合成ミルクにするつもりはないそうだ。彼らの考えでは、合成ミルクに興味を示しそうな人でもすでにお気に入りの代替品を見つけているはずだからである。
しかし、チーズ、ヨーグルト、アイスクリームといったものについてはあまり満足のいく商品が出回っていない。そこが狙い目だ。合成牛乳を加工してそれらの商品にして販売する予定なのである。
同社初の乳製品は2017年末に発売される予定である。
via:perfectdayfoods・munchies・odditycentralなど/ translated hiroching / edited by parumo
▼あわせて読みたい
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
「知る」カテゴリの最新記事
「サイエンス&テクノロジー」カテゴリの最新記事
この記事をシェア :
人気記事
最新週間ランキング
1位 2312 points | 額や腕に恥ずかしい紋様を入れられてしまう。江戸時代の「入墨刑」に関する事実 | |
2位 1658 points | トンボのメス、交尾したくないオスに対し「死んだふり」をする(スイス研究) | |
3位 1609 points | 死後冷凍保存された脳を新しい体に移植し死者をよみがえらせる計画が3年以内に実施予定(イタリア脳神経外科医) | |
4位 1403 points | 約2600年前にハレー彗星がもたらしたデブリ帯に地球が突入すると専門家 | |
5位 1322 points | ケンタッキーよ、なぜ作ったし。母の日のギフト用に無料配布中「カーネル・サンダース氏のロマンス小説」(アメリカ) |
スポンサードリンク
コメント
1. 匿名処理班
この調子であらゆる食物を作り出せたらいよいよSFの世界だわ…
食糧問題は解決しそうだけど、いずれ本物の食べ物は富裕層しか口に出来ない超高級品になり、一般庶民は合成された食物しか手に入らない世界になったりして
今でも欧米あたりだと金持ちほどオーガニック野菜で手作りのヘルシー志向、貧しいほど安価なレトルト食品だったりするし
2. 匿名処理班
でもお高いんでしょ?
3.
4. 匿名処理班
広大な牧場を必要とせず、都市部の工場なんかで安価に高効率で大量生産できるなら、将来牛乳の代替にもなるかもね
5. 匿名処理班
コスト次第では将来牧場から乳牛がいなくなるかもしれない
6. 匿名処理班
この前の透明コーヒーといい、驚きの飲料が次々と開発されているね
7. 匿名処理班
すごい…、近未来ですなあ
8. 匿名処理班
途中分かりにくかったけど、
つまりイースト菌を3Dプリンタ技術で、
牛乳製造機に変えてしまうってわけだな
こうやって作れば宇宙でも暮らせそうだな
9. 匿名処理班
分子構造は一緒かもしれんけど、肝心カナメのマナやスピリットのような核たるものは再現不可能。けっきょく中身はスカスカの、ただの分子構造再現でしかないだろうね。
10. 匿名処理班
乳糖フリーか素晴らしい
11. 匿名処理班
これでバター不足は解消されるのか