鈴木邦男(「一水会」元顧問)
「燕雀(えんじゃく)安んぞ鴻鵠(こうこく)の志を知らんや」という諺がある。つばめやすずめのような小さい鳥には大鳥(おおとり)や白鳥の心がわかるはずがないということだ。まさに僕はすずめだった。その辺のすずめやつばめのことなら分かる。でも、余りに大きな鳥のことは分からない。なぜ、こんな大きな鳥がいるのか信じられない。また、何を考えているのかも分からない。
られた見事なバリトンを披露した=2015年8月26日
深見東州氏はまさに「鴻鵠」だった。その存在も、やっていることも信じられなかった。どう見たらいいのか、どう理解していいのか、分からなかった。
有名な人だから昔から名前は知っていた。ただ、変わった宗教の代表。というくらいの認識だった。僕の友人にワールドメイトに入っている人がいた。また、深見氏の本を愛読している人もいた。「これは面白い」「楽しい本だ」と言われても、正直、関心がなかった。「明るく楽しい宗教」というのが信じられなかったからだ。マスコミに大きく取り上げられるのも胡散臭いと思っていた。宗教家ならば、もっと深刻な顔をして山の中で苦行しているはずだ。「明るく楽しい」なんて、おかしい。そう思い込んでいた。
でも、新聞を見ても、電車に座っても深見氏の情報が目につく。こっちは関心がないのに、どこまでも追っかけてくる。そんな感じだった。宗教家だと思ったが、どうもそんな枠は飛び越えているようだ。絵を描き、書を描き、オペラまでやる。と思うと世界の大政治家たちを呼んで、一緒になって世界平和を論じている。一体、この人は何なんだと思った。僕の理解なんか、とっくに超えている。まあ、いいや。どうせ僕には理解できない人だ。遠い世界の人だと思っていた。どうせ接点などないんだし。と思っていた。
ところが、この小さなすずめが巨大な大鳥に出会ったのだ。今から6年前の2010年(平成22年)の1月14日、僕が属している一水会の勉強会(一水会フォーラム)に深見氏が来た。ワールドメイトリーダーの深見東州が講師で、演題は「中村武彦とワールドメイト。そして人生の本義」だった。これにはビックリした。一水会は新右翼と呼ばれることが多い。だから一水会フォーラムも講師は右翼的な先生や政治運動をしている人が多い。それなのに何故、ワールドメイトなのか。何故、深見氏なのか。