(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年5月9日付)
仏パリで大統領選の決選投票を終え、支持者らに演説する極右政党「国民戦線(FN)」のマリーヌ・ルペン氏(2017年5月7日撮影)。(c)AFP/bertrand GUAY〔AFPBB News〕
エマニュエル・マクロン氏に大敗を喫した今、マリーヌ・ルペン氏の望みは価値ある残念賞を手に入れることだ。つまり、フランスの正式な野党指導者になり、極右政党・国民戦線(FN)の過去最高の選挙結果を足掛かりに勢力を伸ばすことだ。
FNは今回、1100万近い票を獲得した。マリーヌ・ルペン氏の父親のジャンマリ・ルペン氏が2002年の大統領選挙の決選投票に進んだときに獲得した票数の2倍以上である。
だが、FNはそれよりずっと多くの得票を期待していた。マリーヌ・ルペン氏が結局、エリゼ宮(大統領府)を手に入れられず、期待に満たないパフォーマンスを見せたことから、極めて重要な意味を持つかもしれない来月の議会選挙を前に、FNは党の戦略と信頼性をめぐる年来の問題を解決せざるを得なくなっている。
党内では、自由貿易とグローバル化への反対姿勢を強めたがっている人と、アイデンティティーと移民という党の「中核」的争点に立ち返りたい人の間の亀裂が深まる公算が大きい。
ルペン氏は自身を、新大統領の任期5年間にわたり反マクロン勢力をつなぐパイプ役として位置付けたいと考えている。同氏が「愛国者」と定義する大勢の国民――基本的に、大統領選の第1回投票で、反欧州連合(EU)を掲げ、貿易に対する障壁を構築したいと考えている候補者を支持した49%の有権者のこと――の結集地になる、というわけだ。
「我々は今や最大野党だ」。ルペン氏は敗北を認めた後にこう語り、ほかの小規模政党との連携を模索していると付け加えた。同氏と数人の側近は、FNの「解毒」戦略を加速させ、党名を変更することさえ示唆している。
コンサルティング会社テネオ・インテリジェンスのアナリスト、アントニオ・バローゾ氏は、「極右政党」と見られている限り、FNは支持率の「天井にぶつかる」と指摘し、今回の結果を足掛かりに勢力を伸ばす力は、FNがより基盤の広い政治運動へ変貌を遂げることにかかっていると言う。