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大林組/水中インフラ点検ロボ開発/姿勢制御機能を搭載、鮮明な映像撮影可能  [2017年5月11日3面]

重量は約130kgで4人で持ち運びができる

 大林組は10日、地上や船上からの遠隔操作が可能な水中インフラ点検用の無人潜水機(ROV)を開発したと発表した。ジャイロ効果を利用した姿勢制御装置を搭載。水流による機体の揺れを抑え、ほぼ静止した状態で対象物を撮影できる。潜水士による点検では水深約40メートルが限界だったが、ROVは100メートルまでの潜水が可能で、水上からの電源供給により長時間の稼働も実現する。
 ダムや護岸など水中構造物の補修工事では、事前にひび割れの有無や程度などを調査する必要がある。従来は潜水士が水中に潜り、目視で点検して写真などを撮影していたが、作業時間の制限や潜水深度に限界があるため、連続して安全に点検ができるロボットへの期待が高まっている。
 開発した「ディアグ」は、幅780ミリ、奥行き1508ミリ、高さ711ミリで重量は約130キロ。ジャイロ効果を利用した独自の姿勢制御装置「アクアジャスター」のほか、カメラ、水中探査ソナー、ケレン装置、スラスターなどで構成する。
 地上や船上からコントローラーで機体を操作する。撮影画像を解析することにより、水中の白色浮遊物などを自動で除去した上でモニターに表示されるため、濁水の中でもリアルタイムに鮮明な映像を見ることができる。
 地上に設置した測量器と作業船に装備している無線中継器(トランスポンダー)により、機体の位置情報を常に把握でき、点検箇所に機体を短時間で到達させることが可能だ。
 機体からラインレーザーを照射し、ひび割れなどの寸法を計測すると同時に、機体の位置情報を活用してひび割れのある位置を記録することもできるという。
 国土交通省の「次世代社会インフラ用ロボット技術・ロボットシステム」の公募で採択され、実証を重ねた結果、最高ランクの評価を獲得した。
 同社は、ダム全体の構造体の状況を一目で確認できるモザイクマップの作成を視野に入れ、ディアグがダムの壁面を向いたままで平行移動し、記録ができるよう改良を進めている。ダムや護岸のほか、洋上風車の基礎部分など、さまざまな水中構造物の点検に積極的に活用していく。

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