2017年05月11日
「汗ってかかない方がいい?」皮膚科医に聞く幼児の肌の汗対策
これからの季節、やんちゃ盛りで活発な子どもは、汗をかく機会が多くなりますよね。そうなると悩ましいのが汗による肌トラブルです。今回は、なぜトラブルを招くのか、さらにはトラブルにならないようにするためにどんなことに気をつけたらいいのかを、皮膚科医の馬場先生に聞いてみました。
「あれ、うちの子、また汗かいている。もしかして汗かき?」と思ったことがあるママやパパは多いと思います。汗かきだと思うのは単なる感覚値なのでしょうか。馬場先生に教えてもらいました。
実は、汗腺(汗がでてくる腺)の数は
大人も子どもも一緒です。
つまり子どもは、大人に比べて体の表面積が小さいのに、そこに大人と同じ数だけ汗腺が集まっているのです。「いつも汗をかいている」状態になるのは、このせいです。
また、新陳代謝が活発で大人に比べて体温が高めなのも、汗かきの理由の1つといえます。
ママやパパの「うちの子、汗かきだな」という感覚は、「なんとなく」ではなく、きちんと根拠のあるものなのです。
かいた汗をそのままにしておくと、汗に含まれる細菌(表皮ブドウ球菌)がずっと肌に付着している状態になり、それが原因で肌トラブルを引き起こす可能性があります。
また、大人に比べて汗を出す管が細くてつまりやすいのも、トラブルの原因の1つです。
汗による肌トラブルで代表的なのが「あせも」です。大きく2種類にわかれます。
・かゆみのない白い小さなプツプツができる「白あせも(水晶様汗疹)」
・かゆみが強く赤いブツブツができる「赤あせも(紅色汗疹)」
どちらも、かゆいからといってもかきこわすと、化膿してしまったりとびひになったりすることも…。
汗トラブルを予防するためには、毎日の生活の中でどんなことに気をつけたらいいのでしょうか。
汗をかいたらそのまま放置せず、こまめに拭いた、着替えをしましょう。おでかけの時は着替えとタオルを持っていくようにしましょう。
拭くときは、ゴシゴシ拭くのはNG。
タオルをやさしく肌におしあてる感じがベターです。
着替えが難しい時は、汗取り代わりに背中にタオルを1枚入れておき、汗をかいたらタオルを引き抜く方法でもOKです。
肌着や衣類は通気性や吸湿性がいいものを選んでください。これだけで汗が肌に長時間付着することを防ぐことができます。
シャワーが使える時は、シャワーでざっと汗を流すだけでも、肌に汗が長時間付着することを防いでくれます。
1日1回はしっかりと泡立てた石鹸で汗や汚れをやさしく落としましょう。
特に頭、首の後ろや、腕のつけね、足のつけね、ひざの裏など、皮膚が重なりあっている部分は、汗がたまりやすいので念入りに。入浴後はきちんと保湿をしましょう。
エアコンなどを上手に活用して、なるべく汗をかかない環境を作るのもいいでしょう。
汗をなるべくかかせないことは、肌トラブルの予防にはつながります。かといってまったくかかないのは問題があるようです。
汗は、人間の体温を調節する機能も担っています。
「汗トラブルにしたくないから」と、汗をかかない環境にずっといると、体内に熱がこもってしまった時に汗をかけず、熱中症などを引き起こしてしまう可能性もあるそうです。適度に汗をかくことも大切、とのことです。
ブツブツはあるが、赤みがなくかゆみが無い場合は、自宅で様子をみてもかまわないそうです。こまめな着替えやシャワーを浴びるなどし
清潔と保湿を心がけましょう。
赤いブツブツでかゆみが強い場合は受診しましょう。また、かいてしまって患部がおできのように膨らんでいる、じくじくしている場合も同様です。
汗はトラブルの原因にもなりますが、体温調節などの役割も担っているので、適度にかくことは大切です。
ポイントは、
かいた汗をそのままにしないで、早めに肌から取り除いてあげることです。
これからの季節は、遊んだ後はもちろん、寝起きなども汗をたっぷりかくので、ママやパパが子どもの背中などに手を入れて汗のかき具合を確認してあげてください。
次回は虫刺され対策についてお届けします。
滋賀医科大学医学部卒業 。横浜市立大学皮膚科講師を経て、1994年より神奈川県立こども医療センター皮膚科医長、2002年より現職。 横浜市立大学皮膚科臨床教授を兼任。日本皮膚科学会、日本小児皮膚科学会 、日本臨床皮膚科学会会員。NHK「すくすく子育て」などにも出演。3人の子どもを育てた先輩ママでもある。
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