ユニ・チャームのおむつ「ムーニー」がサイトで公開しているCM動画に注目が集まっている。
動画では、ある母親の日常が描かれている。赤ちゃんの夜泣きのたびに目を覚ます。抱っこして両手に買い物袋をさげて歩く。風呂上がりに濡れたまま赤ちゃんのもとに駆け寄り、あやす。散らかった部屋で茫然とする。
そんな育児の奮闘が描かれた後、初めて自分の指を握り返し、笑顔のような表情を見せるわが子を見て、母親は涙ぐむ。「その時間が、いつか宝物になる。」というコピーで終わる。
父親の登場は約4秒
BuzzFeed Newsが調べたところ、2分1秒の動画のうち、夫と思しき男性が登場するのは2回。誕生したときの病室での後ろ姿(約2.38秒)と、赤ちゃんを抱いてタクシーに乗る母親を横で心配そうに見守る姿(約1.71秒)だ。
タイトルの「はじめて子育てするママへ」からしても、ワンオペ育児(家事や育児を一人で担っている状態)をテーマにしているとみられる。
この動画に対し、Twitterなどではさまざまな反応がある。
「ワンオペ育児を美化しないで」
感動ムービーのつもりで作っているのだろうが、ワンオペ育児賛美にしか見えない。 おむつ会社なら、「母親は1人で頑張るべきだし、それが美しい」という社会的抑圧と戦うべきだ。 そういう抑圧が、産後鬱を生み、児童虐待を生み、少子化を生… https://t.co/7PtRlU82hj
— 駒崎弘樹@障害児のために働く看護師募集中 (@Hiroki_Komazaki)
「いや、これが現実」
ムーニーのCMが賛否両論みたいだ。酷い、あり得ない、女ばかりに押し付けて、という否定的な意見と、今の自分、過去の自分を見ているようで涙が出てきた、実際はもっと過酷だという意見。私も過去の自分と同じだと泣けてくる方だ。このCMは現実に近い。このCMみたいなお母さんはいっぱいいる。
— ちゃわんたけ (@chawantakegohan)
話題のムーニーのCM、ワンオペを賛美する内容だとかでぶっ叩いてる人もいるけど、わたしは両親が地方とかもういないとか、旦那が単身赴任だとか激務だとか、少なくとも今あのCMと同じ状況で全部一人で頑張らざるを得ない人にとって何らかの肯定と励ましになる内容だと思ったけどな。
— 肩こり (@tanukihige)
「宝物、でも今は…」
ムーニーのCMいろいろ話題だけどわたしは別にいいと思うんだ、現実に即してるという意味では。だけど最後の「その時間がいつか宝物になる」っていう一言に関してだけは異議申し立てをしたい。つらかったことはつらかった思い出にしかならないよ…思い出したくないしあるいは防衛本能で記憶に残らない
— ぽぬ (@negimisoMAX)
「辛かった頃がフラッシュバック」
「吐きそうになった」
例のムーニーのcmを見た母たちが「一番しんどい時を思い出して吐く」と口々に仰るので見てみたら私ももれなくゲロしそうになった。電気をつける事も忘れ薄暗くなった部屋でボロボロ涙を流しながら、ぐずりまくる乳児の娘を抱きしめていた日を思い出してしまった。 応援されてる気にはなれないなあ…
— つきこ (@tukino_tuki)
また、ユニ・チャームのサイトには「育児に役立つ情報」が掲載されており、新生児ママの代表的な1日の例がこのように挙げられている。
新生児ママの代表的な1日
パパは午前8時に出勤してから、帰宅した気配がありません。 ユニ・チャームサイト「ママの初めてのレッスン:育児編」より / Via unicharm.co.jp
育児の実態は
このCM動画やスケジュール例は、育児の実態を表している側面もある。
子どもが新生児の間は、共働き夫婦であっても育児休業を取るなどして、一方が働き、一方が自宅にいてワンオペで家事や育児をすることが多い。人によっては祖父母の力を借りることもあるが、孤立育児による問題が発生しやすい時期ではある。
NPO法人「ファザーリング・ジャパン」が2011年の総務省「社会生活基本調査」からまとめたデータによると、6歳未満児のいる世帯の1日の家事・育児関連時間は、夫は1時間7分(うち育児時間は39分)、妻は7時間41分(うち育児時間は3時間22分)となっている。
日本の父親の家事・育児時間は他国と比べて少ない。 NPO法人ファザーリング・ジャパン / Via fathering.jp