メルマガで一番手間がかかるのが、HTMLメール(※1)の準備ではないでしょうか?

ベビー服ネットショップ『べびちゅ』でも、2016年12月までのメルマガはHTMLメールが中心でした。
テキストメールは、HTMLメールを受信できない人や簡易な内容のメールを送る際に利用する補助的な位置づけでした。

しかし、2016年12月前半に配信した31回のメルマガでABテストを実施したところ、
平均クリック率(※2)がHTMLメール3.85%なのに対し、テキストメールは7.1%でした。

なんと、1.86倍です。
しかも、最も差が大きいメルマガで4倍以上の開きがありました。
みなさんも予想外だと思いますが、テキストメールのほうがHTMLメールよりクリック率が高いという結果が出たのです。

※1 HTMLメールとは、メール本文をHTML言語で記述した形式のメールのことです。
フォントサイズを変更したり、レイアウト、配色、本文中への画像の埋め込み、表の利用などができます。
※2 クリック率の計算式:クリック率 = メール本文中のURLをクリックした人数 / メールを配信した人数

何故このような結果が出たのでしょう?

べびちゅでは、テキストメールのクリック率が高い理由を
『メルマガの役割とテキストメールがもつ性質の相性がいい』
からだと考えています。

ネットショップがメルマガを配信するならテキストメールのほうがいい理由について、ご説明したいと思います。

それでもまだHTMLメールを送るのか

HTMLメールによるメルマガについては、テキストメールより反応がよい
このことを10年以上前からなぜか当然のように信じており、疑うことはありませんでした。

ですので、メルマガのクリック率の改善は、HTMLメールのクリック率をどうやって上げるか?ということに集中していました。

HTMLメールのほうがクリック率が良いと考えられていた理由は次のようなものでした。

  • 画像などを使うことで伝わりやすい
  • 画像などを使うので、きれい
  • フォントサイズや色などを変更できて、読みやすい。見やすい。
  • レイアウトや画像のおかげで読者側が次のアクションをイメージしやすい(クリックしてほしい場所がボタンになっているなど)
  • とにかく情報量が多い

上記の理由はほぼ正しいと思います。
しかし、メルマガの役割を考えるとミスマッチが起きていたのかもしれません。

ネットショップの場合、メルマガの役割は、商品ページへの誘導やネットショップへの誘導といった送客することがメインです。

なので、メルマガを見て『もっと見たい』と思ってもらうことがメルマガの役割になります。
つまりこれは、メルマガだけでお客様を満足させてしまってはいけないということなのです。

そういう意味では、HTMLメールは、画像などを使うことで読者が知りたい情報の多くをメルマガの中で伝えることが出来てしまいます。
メルマガを読んで、ある程度満足してしまう訳です。

メルマガ担当者がメルマガの中で、商品の良さを伝えたいと思えば思うほど、読者の満足度が上がり、結果クリック率が下がってしまうという現象が発生してしまうのです。

それに対し、テキストメールの場合、文字で表現できる情報量がHTMLメールと比べ少ないため、メルマガの本文ですべてを理解してもらうことが難しくなります。
そのため、メルマガ担当者は、送客することに集中することになります。

メルマガ担当者のベクトルとメルマガの役割のベクトルが一致するわけです。
これが、べびちゅが考えるテキストメールのクリック率が高くなる理由です。

あと2つ。別の仮説がありますので、こちらも説明します。

画像こそがイメージする力を奪う

映像を先に見てしまうとイメージが固定化されることがよくあります。
逆に文字だけだとイメージが膨らむということもよくあります。

好きな小説が映画化されたときに、イメージしていた主人公の容姿とキャストの容姿のギャップを残念に思った経験はありませんか?
逆に映画を見たあとに、小説を読むと、主人公や他の登場人物のイメージが映画でみた俳優や女優になっていることもよくある話ではないでしょうか?

このように、HTMLメールで先に画像を見てしまうことにより、イメージが固定され、それ以上の情報が想像できなくなるという仮説です。
HTMLメールで紹介された商品の画像を見ただけで「気になるものがないな」と思ってしまったら、ECサイトに行けば本当は他にも色んな商品があることが頭ではわかっていても、クリックしてまで進もうとしません。
一瞬でも興味を失わせてしまうと離脱を招くことになるのです。

上の画像は、べびちゅで実際に配信したメルマガです。
HTMLメールの画像は自信作だったのですが、テキストメールのクリック率5.64%に対し、HTMLメールは、1.71%でした。
画像に興味をもった人はクリックしてくれるのですが、紹介した商品に興味がなければ、先に進まないということが起きます。

最後は、よく聞く仮説です。

HTMLメール、もう見飽きました。。

『HTMLメールばっかりだから、もう見飽きてしまった説』です。
ネットショップに限らず企業のメルマガは、HTMLメールが中心です。
12年前であれば、まだ珍しかったんですが、今では陳腐化しているのかもしれません。

この説が正しいのであれば、あらゆるメルマガがテキストメールに変わったら、また成果が出るようになるかもしれませんね。

まとめ

  • べびちゅの場合、テキストメールは、HTMLメールの1.86倍クリック率が高い
  • べびちゅでは、テキストメールのクリック率が高い理由として次の3つの仮説を立てています
    • テキストメールは、流入先への誘導というメルマガの役割と相性がいい説
    • HTMLメールの中の画像は、イメージを限定化してしまう説
    • 読者はHTMLメールを見飽きてしまった説
  • 2016年12月より、徐々にHTMLメールの割合を下げていき、現在では、ほぼテキストメールでメルマガを配信しています(厳密にはテキストメール風を含む)