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大統領選 韓国
韓国新大統領・文在寅の「金正恩に対するスタンス」に国民動揺
ダブルスコアで勝利も就任後に波乱の予感

新しい韓国大統領が誕生した。盧武鉉政権の中心人物であり、2012年には保守与党の朴槿恵に僅か3.6%差で惜敗した文在寅が大統領選挙に再び挑戦、韓国第19代大統領に当選した。

出口調査によると得票率41%で、2位に18%以上の差をつけての余裕の勝利だ。勝因は何よりも20代から40代からの高い支持を得たこと、そして同じ左派系の安哲秀候補が優勢と言われていた全羅道地域でも安候補を上回る支持を得たことを挙げられる。

彼の当選に驚く人はいないだろう。1年前から数百回に渡って実施されてきた世論調査において、ただの1度も1位の座を譲らず、独走し続けてきたのだ。「大統領にならないのも難しい」という声が聞かれるほどで、2位の候補にダブルスコアの差でリードしてきた文氏の執権を疑う勢力は皆無に近かったのではないだろうか。

 

対日スタンスはこれまでと変わらず

韓国に新大統領、新政権が誕生すると、当然のことではあるが、日本社会はその人物の対日政策や日本に対するスタンスに注目する。

しかし、今回の選挙戦においては文氏のみならず、他の候補者たちもまた「慰安婦合意」以外に日本に対する政策や基本スタンスについては言及していない。主要候補者5名は皆、慰安婦合意については再協議、あるいは破棄すべきとしており、多少の温度差はあったものの朴槿恵政権が交わした合意を遵守する意志はないという点で一致していた。

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このため、日本に対する具体的な政策(公約)などから日韓関係の今後を予測することは難しい。ただ、彼のこれまでの言動から感じられるのは、歴代政権がそうであったように基本的には協力、友好関係を維持しつつ韓国国民が敏感に反応する問題、即ち、独島(日本名:竹島)、慰安婦、歴史問題についてはある程度強気の姿勢を国民の前では示すだろうということだ。

そして、日本が今注目すべきことは、日本について具体的にどのような発言をしてきたかという点ではなく、彼の対米、対北関係についてだ。日本とも密接に関わる問題であると同時に、同じ問題に対峙するとき日本政府が新政権とどの程度価値観を共有することができるのかを把握する事のできるポイントとなるからだ。