五月病に苦しんでいる新社会人のみんな!
先輩社会人の壮絶な奮闘っぷりを見て元気出してくれよな!
3ヶ月の戦いの末に完成した企画(後半に完全版が出てきます)
1)仕事の依頼が来る
広告代理店の仕事は企業からの依頼で始まる。
仕事の構造を簡単に図解するとこんな感じ。
*簡単な図解です。
今回の場合こんな依頼だった。
どん兵衛担当者
「どん兵衛の素晴らしさを、ベルばらで表現してください」
「企画はインパクト重視で、適当にバズらせてください」
*ベルばら…漫画「ベルサイユのばら」のこと。
*適当に…「絶対に」の意味。
*バズる…とっても話題になるという意味。
広告代理店の営業(以下営業)
「了解です!僕くん、企画ちゃちゃっと頼むわ」
*ちゃちゃっと…急いで、という意味。頑張るみたいな意味もたまに含む。
【社会人の心得その①】
あとの事を考えずに返事をするのは危険。
僕(プランナー)
「え…なんでどん兵衛とベルばらのコラボなんですか? 相性悪くないですか?(困惑)」
営業
「わかるわかる」
*わかるわかる…聞いていない、あるいは聞きたく無いときの返事。
僕
「どん兵衛の素晴らしさをベルばらで訴求するんですか?(困惑)」
営業
「わかるわかる」
僕
「しかもインパクト重視でバズらなきゃなんですか?(超困惑)」
営業
「わかるわかる」
僕
「こいつ…」
どん兵衛担当者
「はやくはやく」
2)社内でアイデアを出す
とりあえず依頼に合わせてアイデアを考えます。
今回の場合
どん兵衛の素晴らしさをベルばらで表現、かつインパクトがあってバズる。
です。
社内打ち合わせ。
僕
「まずインパクト重視なので、違和感やビジュアルの強さを意識しましょう!」
営業
「いいね!」
僕
「どん兵衛のストレート麺を表現してべルばらのキャラクターをストレートヘアにするというのはどうでしょう?」
営業
「面白そう!」
オスカルをストレートヘアにします。
しかしオスカルクソイケメンだな。
デザイナー
「できた」
とりあえず目標は見た目の違和感によるインパクトです。
誰だよ。
これはこれで意外としっくりきてるな…。
*池田先生とファンの皆さんごめんなさい。
*池田先生・・・池田理代子先生(「ベルサイユのばら」の作者)
営業
「最高!!ただ事務所の確認がとれるかなあ…」
*事務所の確認…コンテンツやタレントを使う場合、企画の中身へのOKがもらえないと実施できない。
僕とデザイナー
「わかるわかる」
池田理代子プロダクション
「OKです」(なんで!?)
*池田理代子プロダクション…ベルサイユのばらを扱う池田理代子先生の事務所。
【社会人の心得その②】
絶対無理だと思った事でも大丈夫な時がある。
3)プレゼンをする
いざプレゼン
僕
「……というわけです!ストレート麺の訴求に加えて
インパクトもあるので話題になるかと。スケジュールも危ないのでなるはやでFIXしたく」
*なるはや…できるだけ早くの意味
*FIX…企画が決定すること
だから誰だよ。
どん兵衛担当者
「確かにインパクトがありますね。ただもう少しどん兵衛らしさを出したいですね。
あともっと面白くしてください」
営業
「調整します!」
*調整する…要望に合わせて手直しする。またはやり直す。頑張ります程度の意味の時もある。
僕
「な…なるほどですね(どん兵衛らしさ?)」
*なるほどですね…え~うわ、困ったやばいなー、本気ですか?の丁寧語
4)プレゼンをする(決まるまで)
僕
「ではベルばらの世界をどん兵衛の色で染めてしまうのはどうでしょう?」
この色です。
営業
「最高!」
デザイナー
「その説あるね」
*説ある…わかる、共感できる
どん兵衛らしさを出すというのがオーダーです。
ありだろ。
なぜか普通に華やかさもあるな。
*池田先生とファンのみなさん本当にごめんなさいごめんなさい。
営業
「どん兵衛っぽい!色がどん兵衛っぽい!ただ事務所の確認がな〜」
僕とデザイナー
「わかるわかる」
池田理代子プロダクション
「OKです」(なんで?)
いざプレゼン
僕
「…というように、あえてどん兵衛らしさ全開に染めてみました」
かっこよくない?
どん兵衛担当者
「確かにどん兵衛色ですね。ただちょっとこれだとどん兵衛のだしの美味しさが伝わらないかなと。
あともっと面白くしてください」
営業
「調整します!」
僕
「ぐぬぬ…ではどん兵衛の和風だしとかけ算して浮世絵風でどうでしょう?
ほっこりとするどん兵衛のだしの美味しさも伝わるかと」
*かけ算する…組み合わせてとか取っ掛かりにしての意味
営業
「爆笑!」
デザイナー
「ワロタ」
*ワロタ…笑いました。の意味。
和風だしのほっこりとした美味しさを伝えます。
マジで誰だ。
かっこつけてる感がちょっと面白いな。
*池田先生とファンのみなさん本当に本当にごめんなさい。
営業
「事務所行ってくる…(無理だ、面白いけどさすがにこれは無理だ)」
僕とデザイナー
「わかるわかる」
池田理代子プロダクション
「OKです」(奇跡?)
いざプレゼン
僕
「…というわけで、和風だしを表現すると同時に大きなインパクトも手に入れました」
なんでかっこつけてんだ。
浮世絵と金髪の相性悪すぎる…。
どん兵衛担当者
「確かにすごく和風ですね。(笑ってる人もいる)ただ、これだとどん兵衛のシズルが伝わりません。
美味しそうに見えないですね。(笑ってる人もいるんだよ?)あともっと面白くしてください」
*シズル…美味しそうな様子。魅力くらいの意味でも使う。
営業
「調整…します…。」(面白いってなんだ?面白いってなんだ?)
どん兵衛担当者
「あと、社長にも確認します」
営業
「え…あ…はい。」(社長まだ見てないのか?あと面白いってなんだ?)
社長
「東西どん兵衛のだしの違いを表現したいです。
あともっと面白くしてください」
営業
「調整わっしょい!!」(東西どん兵衛!?)
僕
「え!?東西どん兵衛のだしの違い!?(って何!?)」
【社会人の心得その③】
上の人から突然違うことを
追加オーダーされることがある。
営業
「わかるわかる(思考停止)」
僕
「わかるわかる(超絶混乱)」
僕
「じゃあ美味しそうなどん兵衛のだしに、お風呂みたいに浸かっている、
っていうのでどうでしょう?面白くないですか?
(面白いってなんだ?面白いってなんだ?)あ、お風呂だからオスカル(女)じゃなくてアンドレ(男)に変えてください」
営業
「ちょっと何言ってるかわからない」
デザイナー
「私もお風呂入りたい」
僕
「更に東西どん兵衛はつゆの濃さが違うので、関東の濃いつゆのどん兵衛に浸かっているバージョンと、関西の薄いつゆのどん兵衛に浸かっているバージョンの2種類作りましょう(悟り)」
デザイナー
「ちょっと何言ってるかわからない」
僕
「いいから作って」
シズル感と東西だしの違いを伝えます。
なんだこれ。(ちなみに関西バージョン)
もはやオスカルとかアンドレとかの次元じゃない。
*池田先生とファンのみなさん…泣
営業
「あ…あ…じ、事務所…確認…。(泡吹いてる)」
*泡吹く…あまりに無理そうな案件を前に泡を吹くさま。
僕とデザイナー
「わかるわかる」(確認というかもはやベルばらじゃないよね?)
池田理代子プロダクション
「OKです。でも一点だけ。アンドレ(らしき者)の頭のてぬぐい、おあげにした方が美味しそうじゃないですか?」(神提案)
いざプレゼン
僕
「すっ…(無言で差し出す)」
面白いってなんだ?(おあげになってる)
僕
「そしてこっちが関東バージョンです」
面白いってなんだ?(つゆが濃くなってる)
どん兵衛担当者
「これ最高ですわ!!むっちゃ美味しそうですわ!!
面白いですわ!あ、社長どないです?」
*関西弁…どん兵衛担当者はテンションが上がると関西弁になる
社長
「思ったより普通だけど、これで進めて」
営業
「ありがとうございます!進めさせていただきます(思ったより普通?)」
僕
「ですよねですよね!!!!!(思ったより普通?)」
デザイナー
「お風呂入りたい」
社長
「あ~でも待って、これベルばらってわかるかな?普通の浮世絵に見えない?」
営業とデザイナーと僕
「ベルばらですよ?(超即答)」
こうして僕の3ヶ月の戦いが幕を下ろしました。
(なんで3ヶ月も!?って思うだろ?僕も思う)
と、思ったら最後に池田理代子プロダクションから連絡が。
営業とデザイナーと僕
「ゴクリ…」
池田理代子プロダクション
「すいません、乳首だけ見えないようにしてください」
営業とデザイナーと僕
「調整します!」
そのあとなんやかんやあって、最終的に完成したのがこれです!
関西バージョン
とっても気持ち良さそう!
美味しそう!!面白い!!
関東バージョン
だしの違いが伝わる伝わるぅ!
五月病に苦しむ新社会人のみんな!
少しは元気出たかい?でも、社会人はいろいろあるけど楽しいぞ!
あと池田理代子プロダクションの優しさは凄まじいぞ。
【社会人の心得その④】
どんな仕事も最後はなんとかなる。
*この物語はフィクションとノンフィクションの合わせダシです。
*おまけ画像
新社会人のみんなも
お風呂はゆっくり浸かろうな!