浪江町の帰宅困難区域で起きた火災は5月6日に火の勢いが収まったと福島民友が伝えているが、その後も消防の活動は続いているようだ。例えば、伊達市消防本部からも9日朝6時半前に消防車が出動したとの情報がある。
火災から4日間の線量率の変動については既報したが、再び福島県環境放射能監視テレメーターシステムから6日間の線量率データを加えてグラフ化を試みた(注:線量率の変化を分かりやすくするために、各地点の縦軸の目盛りを調整している)。
火災が起きた「十万山」(既報地図中、赤★印)から東方に最も近い双葉町の「上羽鳥」では、(1)朝に微増、午後に微減、夜半に微増する傾向があるようだが、(2)4月29日(14~15時と19時台に雨)と5月1日(13~14時台に雨)は異なる傾向で上昇が見られた。(3)雨後の下降後、翌日1日かけてほぼ雨の前の線量に戻る、(4)6日17時台に雨が感知されたが、5月3日から8日にかけては上下変動しながら上昇気味だ。
浪江町内で北西方向に最も近い「大柿ダム」では、(1)「上羽鳥」のような24時間の変動パターンが読み取れない、(2)他4地点と比べて雨の頻度が高く、4月29日(14~17時と20時台)、5月1日(8~16時台)、3日(7~8時台と12時台)、4日(5時台、8時台、16時台)、6日(13~23時台)、7日(2~3時台)に感知され、(3)5月5日頃から8日にかけての線量率は変動しながらも高止まり気味だ。
北東方向に最も近い「浪江」では、(1)29日(14~15時と17~19時台に雨)と5月1日(11~13時台に雨)に上昇が見られ、(2)雨後に下降後、翌日1日かけてほぼ元の線量に戻る、(3)5月6日17時台に雨が感知されたが、6日から8日にかけて変動しつつ高止まり気味だ。
その東側の「幾世橋」でも、(1)29日(14~15時と17~19時台に雨)と、5月1日(11~14時台に雨)に上昇が見られ、(2)雨後の下降後、翌日1日かけてほぼ雨の前の線量に戻る、(3)5月6日16~18時台に雨が感知されたが、6日から8日にかけては変動しつつ高止まり気味だ。
海側の「請戸」は、(1)29日(14~15時と17~19時台に雨)、5月1日(11~14時台と16時台に雨)に上昇があり、(2)雨後の下降後、翌日1日かけてほぼ雨の前の線量に戻る、(3)5月6日(12時台と13~16時台に雨)の夕方と8日の午後に上昇が見られる。
火災の現場から数キロ以上離れた5地点の10日間の変動を、風向き、風の強さ、降雨量などを考慮せずに見ると、(1)0.01~0.05マイクロシーベルト/時(μSv/h)程度の変動幅で、(2)降雨後の線量率の上昇と下降(4月29日、5月1日など)があること、(3)降雨とは必ずしも相関しない上昇(5月6日、8日など)がある。
上記は、火災現場から数キロ以上離れた地点のデータである。既報したように、国は火災現場で消化活動にあたる人々の被曝線量や、消火活動現場での線量を調査・公開した上で、避難指示が解除された区域での未除染の森林火災を想定し、自治体(*)や住民参加のもとで、住民避難や消火態勢などの対策を取るべきだ。
(*)福島県は、5月9日現在までに、「浪江町井手地区の林野火災現場周辺の環境放射線モニタリング状況等について」を第8報まで更新し、5月1日~7日までの大気浮遊じん(ダスト)の測定結果(例:セシウム137のND(不検出)~1.97 mBq/m3)や、5月5日から設置した火災現場近くの3箇所に可搬型モニタリングポストの測定結果を公表している。
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