連休中、三女のダンスを見るためにどんたくに出かけた以外、特になんの予定もなかったので、昔VHSで録画していた子供たちの成長記録をDVDに焼く、という作業をやった。
なんでそんなことをやろうと思ったのか、母に見せたかったからである。
僕は一人っ子なので、僕の娘三人が母にとっての孫全員ということになる。
母は認知症であるが、孫を可愛がる気持ちというのはまったく変わってなくて、孫に会いたいという思いが強いのだが、娘たちも成人しそれぞれの生活があるので、そういつでも会えるというわけにはいかない。
そこで思いついたのが、昔、娘たちが幼かった頃に撮影していたビデオをDVDに焼いて渡しておけば、いつでも好きな時に孫たちに会えるではないか、ということである。
幸い我が家にはVHSを再生するデッキがまだあるので、VHSの出力端子とDVDレコーダーの入力端子を接続し、VHSを再生しながらDVDのハードディスクに等倍速で録画して、それをDVDに焼く、という作業をやったのである。
つまり、DVDのハードディスクに動画を録画している間、必然的に、僕は娘たちの幼い頃の映像を観ていることになる。
いや~、タイムスリップするね。
ほぼ30年前である。
僕も妻も僕と妻の両親も若い若い。
そしてその動画を観ていると娘たちに対して、”もっとこうしてあげれば良かったなあ”とか”こんなふうにするべきじゃなかったなあ”とか後悔の気持ちが次々と湧いてくるのだった。
そして、その動画にはにゃん太も登場して、僕はとても嬉しかった。
にゃん太は、まだ幼い長女から、首輪を引っ張られても、顔を撫でまわされてもじっとそばにいて娘の膝に顔を乗せたりしていた。
”そうそう、にゃん太ってこんな猫だったなあ、利口だったなあ”などと改めて思いだし、夢中になってダビングをした、というかビデオを視ていたのである。
そして、そのダビングしたDVDを持って実家に行き、僕の両親と一緒にそれを観たわけであるが、もう思い出話が盛り上がることこのうえない。
母もDVDを観ている間は当時に戻ったようで、いつもよりしっかりしているようだったし、なによりとても嬉しそうだった。
テレビモニターに映る、まだ幼い孫を抱いた自分の姿を観ている母の表情のなんと輝いていることか。
それはどういうことかと考えてみると、上手く言えないけれどもやはり愛による癒しというようなものではないだろうか。
VHSの動画はまだまだたくさん残っている。
これから時間を見つけて、昔の動画をダビングして母に観せてあげたい、母の嬉しそうな顔を見てそう思うのであった。
今の僕が、母にできる親孝行はこれくらいのものである。