ジャカルタ州知事、イスラム教への冒とくで有罪判決
インドネシア・ジャカルタ特別州のバスキ・チャハヤ・プルナマ知事がイスラム教を冒涜(ぼうとく)した罪に問われた事件で、ジャカルタの裁判所は9日、同知事に禁錮2年の実刑判決を言い渡した。
中国系のキリスト教徒として初めてジャカルタ特別州の知事を務めたプルナマ知事の裁判は、インドネシアの宗教的な寛容度をはかるものとして注目を集めていた。
プルナマ知事は、選挙運動中にイスラム教の聖典「コーラン」の一節に触れたことが宗教冒涜罪に当たるとして裁判にかけられていた。
知事は容疑を否定しており、控訴する考え。
知事の発言はイスラム教強硬派の激しい反発を招いた。知事を裁判にかけるよう求める抗議デモが繰り返し行われ、知事は処刑されるべきとの極端な声も一部にあった。
裁判所の前には機動隊
判決を前に、知事を支持する人々と批判する人々の両方が最高裁判所の前でデモを行った。支持者らは知事の無罪放免を訴え、批判者らは重い刑を求めていた。
現場には多数の警官や兵士が安全確保のために集まった。機動隊の警官や装甲車両が2つのデモ集団の間に配置された。
プルナマ氏は2014年に、前任者のジョコ・ウィドド氏が大統領に当選したのに伴い、過去半世紀で初のイスラム教徒でないジャカルタ州知事となった。
イスラム教徒が多数を占めるインドネシアにおいて、中国系キリスト教徒のプルナマ氏は2重の意味で少数派なため、知事就任は注目を集めた。
さらに、ジャカルタでは中国系住民を標的にした暴動が1998年に起きており、同氏の政治的成功には大きな関心が集まった。
冒涜容疑がかけられる前は、プルナマ知事に対しては、率直な物言いや汚職撲滅への強い意思を評価する声が多かった。
しかし、冒涜容疑は先月の州知事選にも影を落とした。ジャカルタ市民の生活水準を上げようとするプルナマ知事の取り組みには根強い支持があるものの、イスラム教保守派のアニス・バスウェダン氏が同知事を破って当選した。
世界最大のイスラム教徒の人口を擁するインドネシアでは、国民の85%がイスラム教徒だが、国の政策は6つの宗教を尊重するとしている。