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コウノトリペアの卵、いずれも無精卵

晩年のコウノトリ「武生」。下のくちばしの先が折れているのが分かる=2005年3月、兵庫県立コウノトリの郷公園で

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 県は八日、越前市白山地区で飼育する国の特別天然記念物コウノトリのペア「ふっくん」(雄、十九歳)と「さっちゃん」(雌、十八歳)の間に産まれた五つの卵を調べた結果、いずれもひなが誕生しない無精卵だったと発表した。兵庫県豊岡市のコウノトリの郷(さと)公園から、越前市ゆかりの雌の「武生」(コウちゃん)の孫に当たる三個の有精卵を譲り受け、ペアに温めさせ、ふ化させる托卵(たくらん)に取り組む予定。

 同市都辺町の白山公民館であった検卵結果の会見で県が明かした。

 県側は五個の卵について「光を当てて調べる検査で有精卵なら見える血管の影が確認できなかった」と報告。越前市でペアがこれまでに産んだ計二十二個が、検卵前に割れた一個を除き、いずれも無精卵だった点には、雪対策で飼育ケージの天井のネットを開放するため、冬場に片側の羽を切って飛んでいかないようにする処置が交尾をしにくくしているとの可能性を示した。

 一方、譲り受ける卵は武生唯一の子「紫」(雌二十二歳)が四月九〜十五日に産んだ。豊岡市から十日に移送され、同日にも托卵し、数日でふ化する見込み。ひなは放鳥を視野に飼育する。

 武生は下のくちばしが折れ、餌がうまく取れず、一九七一年二月に白山地区で保護された。住民らが「コウちゃん」として親しみ、一冬を世話した。

 県の会見に同席したコウノトリの郷公園主任飼育員の船越稔さんによると、紫のペアは産卵時期が早く、これまでは托卵を検討するころにひなが誕生していた。今回は鳥インフルエンザ対策の影響で、産卵が遅れるなどの条件が整ったという。

 (山内道朗)

 

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