単身赴任先の家で、夜中にブログを書いていた。
単身用のマンションなので、間取りは1Kと小さい。
なので、僕がブログを書いている部屋のすぐ隣がキッチンである。
僕は単身生活なので、近所のスーパーで食料品などを購入するのであるが、その際持ち運びに使うポリ袋が溜まっていくので、大き目のポリ袋の中に溜まっていくポリ袋を突っ込む、ってことをして、そのポリ袋がいっぱい詰まったポリ袋をキッチンに置いているのだが、急にそのポリ袋ががさがさ音を立てはじめた。
こわー。
でもまあ、ポリ袋の中に詰め込んでいるポリ袋が少し膨らんで、ポリ袋を詰め込んでいたポリ袋のキャパが足りなくなって、ポリ袋の中のポリ袋があふれて外に出てくる音であろうと考え、無視してパソコンから離れなかった。
するとさらにキッチンから、カランといって、なにかが転がる音がした。
さすがに僕も気になりキッチンに行くと、ウイスキーの瓶の蓋がコロコロと転がっており、カラカラと音を立ててネジ部分を上にして止まったところだった。
僕は、それが転がって、そして最後に止まるのを確かに見たのである。
”ウイスキーのキャップなんてあったっけ?”
”なにかがここにいる”、そう思った僕は禿げるんじゃないか、と思うほど髪の毛が総毛立つのを感じ、すぐ近くに立てかけてあった、アクシネットのT字パターを握りしめたのだった。
しかし、なにも現れない、誰も現れない。
僕はアクシネットのT字パターを持ったまま、阿呆のように立ちすくみ、”幽霊だ…”と呟いた。
こんな時ひとりきりでいることがとても辛い。
ミュウやシャケにそばにいてほしい。
僕は心からそう願い、”今夜は眠れないかもしれない”などと呟きながらベッドに入った。
そして、気がついたら朝だった。
ウイスキーのキャップは同じところに転がっていた。