鉄道各社が通勤・通学客向けに全席指定座席の導入を進めている。関東地方の私鉄が相次いでサービスを開始する中、関西では京阪電気鉄道が今年8月、初めて運行を始める。苦行のような通勤・通学が少しでも楽になるならありがたいと思う人は多いはず。官民挙げての「働き方改革」が進められる中、「通い方改革」も動き始めた。だが、その裏には関西経済の寂しい事情も。
「一時期に比べかなりお客さまが減った。ただ時間帯によっては、まだラッシュが厳しい。その緩和につながれば」
今年3月30日、京阪電鉄の親会社、京阪ホールディングス(HD)の定例記者会見で加藤好文社長は、全席指定列車「ライナー」導入の背景と狙いを説明した。
運賃とは別に利用料金300円〜400円が必要だ。8月21日から、オフィス街の「淀屋橋」行きで午前7時15分ごろの枚方市発、同8時20分ごろの樟葉発の2本を運行する。列車は既に運行している「8000系」を転用する。
こうしたサービスが可能になったのは、沿線の人口流出や高齢化に伴う乗客数の減少だ。バブル期の平成3年度の年間4億1900万人をピークに、27年度は同2億8800万人にまで落ち込んだ。
これに伴って便数を減らした結果、ダイヤに増発の「余地」が生まれたわけだ。
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