幻の「任天堂プレイステーション」がCD-ROMゲームの起動に成功。著名ハッカーが解析&リペア
「失われたゲーム機」復活なるか
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幻の「任天堂プレイステーション」がCD-ROMゲームの起動に成功。著名ハッカーが解析&リペア
2015年に発見された幻の「Nintendo PlayStation」はカートリッジこそ機能してゲームもプレイできたものの、CD-ROMドライブが故障しており、CDからの起動はできませんでした。
ところがこの任天堂プレイステーションを入手したハード系ハッカーBen Heck氏がこれを修理し、ついにCD-ROMソフトの起動に成功。その様子を収録した動画を公開しました。
1990年代に任天堂とソニーが共同開発したスーパーファミコン用CD-ROMアダプター、通称「プレイステーション」はその開発中にあえなく破談になりました。わずかな蜜月期間に数種類が試作されたもののうち、スーパーファミコン本体とCD-ROMドライブの一体型筐体が発見されたのが一昨年のことです。
オークションでたった75ドルで落札された幻のハードはBen Heck氏に託され、昨年7月には分解および修理する動画が公開されました。そのときはCDトレイの開閉などの機能回復までにこぎ着けたものの、「動作する専用ソフトがない」ということで作業は一時中断、棚上げされました。
今回、Ben Heck氏はマザーボードに搭載された「謎のチップ」(他のパーツと情報を送受信するスイッチボードと判明)など、ハードを深く掘り下げて解析。そうして各パーツの位置づけを明らかにしつつ、動作が怪しいコンデンサを交換。翌日になって動作確認をしたところ、CD-ROMドライブがスピンアップし
、ディスクの認識にも成功しました。これには氏も「まるで"陽気なエルフ"がやってきたみたいだ」と驚いていました。
CD-ROMコントローラーおよびDSP(上の写真)の仕様を確認し、さらに別基板にあるマイクロコントローラーの動作を解析したHeck氏は、リボンケーブルの不具合があったかもしれないとしつつこの時点でオーディオCDの再生に成功しました。
CD-ROMドライブの動作を把握したところで、いよいよ本命のゲームモード用ROMカセットを挿して、CD-ROMの読み込みに挑戦します。まずはオーディオCDを挿入して、以前は「NO DISC」と表示されていたのが「MUSIC DISC」と正常認識されるのを確認。これだけでもかなりの進歩。
その次はオーディオCDをゲームCDに入れ替えての検証。とはいえ「幻のゲーム機」用の市販ソフトがあるわけもなく、有志が製作した「Magic Floor」なるゲームをエミュレーターとともにCD-ROMに書き込んだものを読み込ませます。
すると、起動画面には「NOW LOADING...」と表示され、読み込みに成功。キャラ化けが発生した画面は、時おり乱れたりしつつも、無事に動作しておりプレイもできているようすでした。
Ben氏はこれで自分の仕事は終わりとして「このハードはエミュレーターの開発者に貸しだすべきだ」と語っています。他に「幻のゲームハード」が発掘されれば、続々とエミュレータの仮想世界で蘇り、新作ソフトが作られるかもしれません。