キャンバー(曲げ)を付けただけの翼が揚力を産む訳。または、私が考えた飛行機が飛ぶ本当の理由(翼が揚力を産む理由)または100年遅れ
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キャンバー(曲げ)を付けただけの翼が揚力を産む訳。または、私が考えた飛行機が飛ぶ本当の理由(翼が揚力を産む理由)または100年遅れ

2017-04-28 21:13
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私が子供の頃の図鑑には飛行機の翼が飛ぶ理由としてはこう書いてあった。


「翼の上面の方が膨らんでるから空気が遠回りして速くなり、ベルヌーイの定理で圧力が低下して揚力が発生する」

これを等時間通過説と言って、現在ではこの説は否定されているらしい。
というかNASAが公式に、「それ間違ってるから」と発表したらしい。
実は私も、子供の頃からこの説明に疑問を持っていた。
と、言うのも、私は子供の頃ホワイトウイングス(ちょっと凝った紙飛行機みたいな奴)にハマっており、そのホワイトウイングスの翼断面は次のようにキャンバー(曲げ)を付けただけのものだったからだ。

うっすい曲がったただの板状である。
これでは翼上面の気流も下面の気流も、通り道の長さは同じだ。
しかしこれが実によく飛ぶのだ。
しかも、紙飛行機だけではなく、鳥やWW1までの飛行機等も同じ翼断面なのだ。

あ、ちょっとまって欲しい。
私は別に、ネットでよく噂される”あの説”を主張したいわけではない。


↑あの説。黒い棒が翼断面
単に風を受けた反作用で揚力が生まれると言うのだ。
これを跳石説と言うが、これもNASAによって公式に否定されている。(跳石説と名付けたのはNASA)
まあ実際超高空を飛んでる時とか超音速飛行などの、空気が流体ではなく粒子の集まりとして振る舞っている時はこんな感じで飛んでるらしいが、亜音速の時ではこの説は間違っている。
これだと、失速して翼上面の気流が剥がれた時に揚力を急速に失う理由が付かない。

あと他に

翼というのはダウンウォッシュを生じており、その反力が揚力という説も有る。
ただこのダウンウォッシュは翼上面から主に発生しており、発生源の方向にはダウンウォッシュの反力を受け取る構造が飛行機には存在しない。(反力を受け取るのは空気という事になる)




で、話を元に戻すが、時は流れて私は大学生となり、工学部の流体力学研究室に所属した。
飛行機の研究などは一切していない研究室だったが、研究室で自動車の風洞実験などをしている内に、飛行機の好きな私はある時ピーンと思いついた。
何を思いついたかといえば、「翼が揚力を生む本当の理由」である。(以下、狭いよ説)
それは、こんなものであった・・・・


気流が翼に当たり、上下に別れるが、上面の気流は、翼の上面が膨らんでいるが故に流路が狭くなり、連続の方程式により流速が増す。
流速が増したことにより、ベルヌーイの定理により、速度エネルギが増えた分、圧力エネルギが減る。
下面の気流は、上面ほど膨らんでいないため(上図の翼断面)上面ほど流路は狭くならず、上面ほど圧力が減らない。
もしくは、流路が広くなり(ホワイトウイングスや鳥の翼断面)、連続の方程式により流速が減り、ベルヌーイの定理により圧力エネルギが増す。
いずれにせよ、翼の上下で圧力差が生じ、揚力となる。
というものである。
開放された気流に連続の式を当てはめてもダメだという事を言う人が居るかもしれないが、
空気というのは質量や粘性を持っており、音速を超えた速度で退いたりすることは出来ない。
そのため、上面の気流で例えれば、ある翼面上方にある空気(A)にとっては、より上方にある空気が自身(A)を上方に動かす際の妨げになるため、壁として作用する。
つまり翼まわりの空気自体が”緩い壁”として作用するため、結局上面の気流が狭い流路を通る事には変わりなく、揚力は生まれるということだ。



まあ実際は多少は退いたりするからあくまで”緩い壁”なのだが、”緩い壁”ではなく鉄かなんかで作った”固い壁”を翼の上下に設置してやれば揚力は激増するはずだ。(グラウンド・エフェクト?)
逆にもし空気が粘性を持っておらず翼の形に沿ってどこまでどこまでも(上面で例えれば、翼上面の空気が翼の20m上の空気も、2000mの上の空気も、大気圏外までの空気全てが)退けば揚力は全く生まれない事になる。まあそんな事有り得ないが。

まあこれで紙飛行機やWW1の翼型でも揚力を生める理由が付いたのだ。
で、この事を思いついた当時の私は、
「俺sugeeeeeeeeeeee!若干20歳で揚力が生まれる本当の理由を発見してしまったかも知れん」
みたいな感じで浮かれていたのだが、卒業研究が忙しすぎて、いつしかこんな事を思いついたことも忘れてしまった。
で、最近この事を思い出したのだが、検索してみれば、1902年にウィルヘルム・クッタという人が私と同じようなことを発表していたらしい。
らしいというのは彼の論文が戦争で消失したからで結局どういう論文かは分からないわけだが、とにかく車輪の再発明っぽいことを私はしていたっぽいという事だ。
しかも、だ。そのクッタさん、その数年後に上記の考えをさらに進歩させたっぽい循環理論で揚力を解説しており、狭いよ説は要するに100年古い説ということになってしまった。
その循環理論なのだが、NASAもボーイングもエアバスもこの理論で飛行機を作っており、航空機メーカー側では100年前から常識のようだ。

あのさあ・・・

だったらその循環理論を教科書や図鑑に載せておけや!

なんなんだよ本やネットで等時間通過説や跳石説をドヤ顔で載せてる奴は!

結局飛行機が飛ぶ本当の理由が分かったのではなく、世の中には揚力を適当に解説してる奴が多いという事が分かったのであった。


追記:
一応循環理論について解説すると
「なにはともあれ上が速くて下が遅いとベルヌーイの定理で揚力は生まれるんだよねー
ならその速度差を上図で言えば時計回りに気流が回転してると考えたら計算しやすくね?
回転が速いほど揚力が強くなる」
みたいなもので、狭いよ説で速度差が生じようが迎え角で速度差が生じようが全部まとめて計算できるので設計する際の考え方としては非常に便利らしい。
だが速度差が生じる理由については解説してないので、
「循環が生じる一つの要因」の説明としては、狭いよ説は価値があるのかも・・・?

更に追記:
キャンバーのついた翼で揚力を生めるのは流線曲率の定理でも説明が付きます。
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