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日本やアジアでは厳しい処罰の対象となりうる“旭日旗”。しかし、スペインでは様相は異なるようだ。スペイン人が旭日旗を掲げる意味は何なのか、現地ジャーナリストに話を聞いた。

旭日旗に対するリアクションというのは国によって様々だ。ことスペインに関しては非常に興味深い姿が見られている。

先日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の試合で川崎フロンターレのサポーターが、旭日旗を掲げたとして、AFC(アジアサッカー連盟)はクラブに執行猶予つきの無観客試合という処分を下した。旭日旗は、旧日本軍が軍の旗として使っていたことで知られ、アジアで行われるスポーツ会場では強い反発を受けているからだ。

もちろん、欧州でもスタジアムなどで政治・思想・差別的なシンボルを掲げることは認められていない。実際、スペインでジャーナリストや翻訳家として活動する江間慎一郎さんはこう説明する。

「スペインクラブのウルトラスにはそれぞれイデオロギーがありますが、スタジアム内で政治・思想・宗教・軍事・差別的とされるシンボルを掲げれば厳しく罰せられます。例えばレアル・マドリーのウルトラス、ウルトラ・スルは極右集団として知られていますが、彼らがスタジアムでハーケンクロイツを掲げた際には、一部スタンドの閉鎖という処分がクラブに科されました」

一方で、アトレティコ・マドリーの本拠地、ビセンテ・カルデロンでは日常的に見られるという。江間さんは、自宅近くの駅で旭日旗とともに写真を撮る家族を発見したとし、「お父さんに話を聞くと、『日本の旗だとは知っています』と言っていましたね」と話す。

■スペインで親しまれる理由

スペインサッカー界では、日本やアジア以上に差別や政治的シンボルを厳しく処罰していくという動きがある。江間さんは「スペインではこれまで助長を許してきたウルトラスを排除する動きが起こっています。レアル・マドリーはウルトラ・スルとの関係を解消してスタジアムから追放しましたし、ここ最近はウルトラスをスタジアムから追い出す動きが活発化しています」と語る。一方で、旭日旗が問題にならない要因には、その“カラー”が起因しているようだ。

「アトレティコは日頃から旭日旗を掲げているんです。アスレティック・ビルバオもそうですが、赤白がチームカラーだと旭日旗は素晴らしいデザインのように感じるようですね。スペインでは、旭日旗はまったく問題視されておらず、誰もデリケートなものと考えてはいませんね。旭日旗の歴史は、スペイン語でも調べれば分かります。ただ、カルデロンでそれを掲げる人たちは旭日旗の歴史など把握していないと思いますし、ただロヒブランコ(赤白)を体現する旗としてうってつけなんです」

そうして、今日もビセンテ・カルデロンでは旭日旗が掲げられる。来季から使用する新スタジアムでも、同様にその旗が揺れるのだろう。我がチームの色を体現する旗として。

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