「甘味飲料」が脳の記憶力に与える影響 : 研究結果
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Inc. : 甘いものが好きな人は、甘味飲料で午後の倦怠を乗り切る習慣を考え直したほうがよいかもしれません。
1日1本の炭酸飲料、1杯のオレンジジュースだけでも脳の健康に思わしくない影響を与え得る──という新しい研究論文が米アルツハイマー病協会の機関誌『Alzheimer's & Dementia』に掲載されました。
糖質の多量摂取とアルツハイマー病との関連性はすでに科学者たちの間では有名なことですが、この研究は多くの人が砂糖と意識せずに消費している甘味飲料に対象を絞ったものです。分析の結果、甘味飲料を日常的に飲むと、脳の老化や記憶力の低下までもを招く可能性がわかったのです。
砂糖が脳に及ぼす影響
研究者らは、4,000人あまりを対象とした、食べものに関するアンケート調査のデータを分析し、回答者を2つのグループに分類しました。
1つは、ジュース、炭酸飲料などの甘味飲料を1日1~2杯飲む人たち。もう1つは、飲まない人たちです。この2つのグループを比較したところ、甘味飲料を1日1~2杯飲んでいる人は、飲んでいない人よりも、脳の容積が小さい、海馬が大幅に小さい、記憶検査の成績が劣る、ことが判明したのです。
そして1日2杯以上の甘味飲料を飲む人には、さらに極端な結果が見られました。彼らの脳の老化と記憶検査の成績は、11歳年上の人と同等だったのです。
「因果関係の証明はできないのですが、これらのデータは、甘味飲料の摂取には注意すべきであるということを示唆しています」
と、研究の筆頭著者ボストン大学のMatthew P. Pase氏が『ニューヨーク・タイムズ』誌で述べています。
ダイエット飲料にも注意
では、甘味飲料を人工甘味料入りのダイエット飲料に変えればよいのかというと、そうでもありません。同じ研究チームが、今度はダイエット飲料に焦点を絞って追加分析を行ってみると、人工甘味料入りの清涼飲料水には、また別の問題があることが判明したのです。
1日1杯以上のダイエット飲料を飲む人は、飲まない人より脳卒中や認知症になる確率が、飲まない人の約3倍だった、とボストン大学が発表しています。つまりダイエット飲料も甘味飲料も、脳によくないということ。どちらも、日常的に飲むと長期的悪影響を及ぼすようです。
研究者らは、こうした飲料が実際脳にダメージを与えるとは主張しすぎないよう慎重な姿勢をみせており、ボストン大学の声明では、ダイエット飲料が直接の原因ではない可能性も指摘しています。
しかし、甘味飲料もダイエット飲料も脳に良いことはないだろう、という主張には自信をもっているようで「甘味飲料を飲む利点はあまりなく、砂糖を人工甘味料に替えても同じことが言える」と、研究の上席著者Sudha Seshadri 神経学教授は述べています。
そろそろ日常のドリンクを変えるときかもしれません。
1 Daily Habit That Could Have Disastrous Effects on Your Memory, Science Says|Inc.
Betsy Mikel(訳:和田美樹)
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