書評という名の読書感想文シリーズです。この書籍、お目にかかったことはないので一方的に存じ上げている外資系OLのぐだぐだ(現在、トイアンナのぐだぐだ)で有名なトイアンナ女史がツイッターでご紹介されていたのが通勤途中の書店で気になって手に取り立ち読みしたら著者の熊代さんも石川県出身ってことで即お買い上げしてしまった本です。
はっきりいってタイトルと表紙が内容の良さをダメにしている本の代表格かと。
承認要求について、専門家がきちんと書いている内容なのですが、この表紙とタイトルだとまるで私が承認要求の権化で認められたくてたまらないから本で勉強しているように見えて持ち歩いて読むにあたってちょっと恥ずかしかったです。うまいイラストではあるのですが、少し寂し気で不満げな表情の男女の真ん中に大きなフォントで認められたいって書かれると…なぁ。できればもう少しタイトルと装丁を専門書らしく考慮してほしかったです。
例えばこんな経験ありませんか?
私の裏側での貢献で何をしても評価しようとしなかった人が、同僚の人が大したことというか、プロジェクトに名前が載っていたという程度のことしかしていないのに(ほかの人の助けで)目立つことをやって「すごーい!応援してます」ってのをやっていて、嫉妬とかより先に気持ち悪さしか覚えなかったこととか。
当時のことを俯瞰すると、私を評価しなかった人達から唐突に「あなたは、ほめてほしいのよね」っていう気持ち悪い言い方をされたことがあって、違う、それは「ほめてほしい」っていうよりはどちらかというと、「やってることを平等に認めてほしい」ってことだったので、今思えば私は承認要求を拗らせていたのかもしれません。
そもそもなんでこの本読もうと思ったかというと、現職のロールのせいなのか社風なのかわからないのですが、前職時代どう逆立ちしても聞かなかった言葉としてアスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)という言葉以上に承認要求ということばをよく耳にしまして、更に周囲にいるいろいろな人が日常的に SNS でモるのを生暖かく俯瞰していてなんだかなって思っていたのを心理的にもきちんと理解して自分にもゼロじゃない承認要求とうまくつきあいたいなと思ったからです。
確かに SNS って便利で、たとえば4日間のイベントに5分しか顔を出さなくても、かわいらしい自撮り画像や集合写真と共に「最後にみんなで記念撮影!」とか書くとずっとその対応していたかのように盛ることができてしまうわけです。そういう虚飾をいろいろな人が繰り返すのを何度も見てきて、正直なんでこの人たちはこんなに常に自分を盛ることで「どや!すごいだろ!」ばかりやるのかな?実際会えば、よっぽど見る目が無い人以外にはどの部分を盛っているのかぐらいすぐにわかるのに…って思ってきました。そして、その中には会社の中での出来事やインターナルな情報をどうして「所属する団体とは関係のない個人の発言」でいろいろと公にしちゃうのかな、とか会社の中で写真撮るときほかにだれか映ってないかとか確認してから SNS にあげないのかなとか「炎上したら個人の発言でも会社に泣きつくのなんでかな」とかいろいろと生暖かい気持ちになったことがあります。
キャバ嬢さしすせそもしくはけものフレンズ並みの語彙力で、自分に対しての高評価だけをエゴサーチして何度も周囲に目の届くように持っていく形でいつの間にか、自己承認要求を常に満たすことも可能です。この本には炎上を繰り返す人についても記載があり、心当たりのある出来事ばかりだなと思いました。その反面、そういう人たちとうまくやるには常に「すごーい!すごいねー!」と一定の語彙力で承認行為を繰り返していればいいのかなということも本の内容からつかむことができました。嘘は苦手なので、これから偽りの承認行為をうまくできるように修行したいと思います。
この本のとてもいいことは、誰にでも程度の違いはあれ存在する自己承認要求とどのようにつきあっていったらよいのかということについて、実際の患者の症例を元にわかりやすい文章で説明されているところです。できることならば、現在、承認要求を拗らせているすべての人たちに読んでもらいたいそんな書籍でした。
恐らくこのブログ記事をご覧になった、心当たりのあると思われる方からフィードバックを受けましたが、正直具体性がなく誰のこととも書いていない、批判もリークもしていない内容で一喜一憂しないでいてほしいです。心当たりがあるのであれば、是正していけばいいだけではないでしょうか。読書感想文にめくじら立てられたら言論の自由もなくなりますよね。
それとも、私の粗探ししてレポーティングするのが趣味の暇な方でもいらっしゃるのかしら。