「白内障」と聞くと、お年寄りの病気だと思っていませんか?「若年性白内障」の場合、20代や30代でもなるんです。10代でも可能性はゼロではありません。
気がつかないうちに進行していることがないように、あらかじめどんな病気なのか知っておきましょう。
あなたは白内障かも
このごろ、次の様な症状はありませんか?いくつも当てはまるようだと、白内障かも知れませんよ。
・明るいところに行くと、光がまぶしく感じる
・暗いところでは、視力が落ちる感じがする
・目がかすむ
・片方の眼の視力が落ちたような感じがある
・歩いていて距離感がうまくつかめずにつまずいたり転んだりする
・ものが2重3重に見える
・テレビの字幕が読み取れなくなった
・遠くのものがよく見えない
・反対に、近くのものがよく見えるようになった
・細かい作業をしていると視力が落ちてきて続けられなくなる
・視力が落ちたのでメガネやコンタクトを調整しても視力が上がらない
・顔にアトピーの症状が現れている
ただし、片目が白内障で見えにくくなっても、もう一方の眼で補うので、初めのうちは気づきにくいのです。
そこで、時々、片目をつぶって、一つの眼だけでものを見て、ダブって見えたりしないかチェックしてみましょう。
白内障はどんな病気
白内障とは、眼のレンズの役割を果たす「水晶体」が白く濁ってしまう病気です。
水晶体は、タンパク質とミネラルと水からできています。このタンパク質が変質すると、水に溶けなくなって、白濁してきます。また、タンパク質のなかのアミノ酸は、光によって分解して、黄褐色になってしまいます。
卵をゆでると、透明だった白身が白くなるのと原理的にはほぼ同じです。
白内障の原因
加齢
一番多い原因は加齢です。40代くらいから始まり、40代で40%、50代で65%、60代で75%、70代で85%の人がなり、80代になるとほぼ全員が白内障になっています。
加齢以外で白内障になる場合は、若年性白内障と言われます。
アトピー性皮膚炎
アトピーの人は、目のまわりがかゆくてかいたりこすったり叩いたりするせいで、白内障になりやすいといわれます。
20歳前後の若い人に多くあらわれます。
糖尿病
糖尿病の場合、詳しいメカニズムはまだ分かっていませんが、合併症として、白内障になることがあります。
近視
強度の近眼の人は、若いうちから白内障になりやすい傾向があることが、統計的に確かめられています。どうしてなのかは、まだはっきりとは分かっていません。
外傷
眼を強くぶつけたり、強くこすったりという物理的な力が加わったせいで、水晶体が傷ついて、そこから白濁が広がっていくことがあります。
衝撃を受けてすぐ発症することもあれば、何年も経ってから発症することもあります。
他の眼病
ぶどう膜炎・網膜剥離などの眼の病気のせいで、白内障になることがあります。
ステロイドの副作用
アレルギーの治療に使われるステロイドを長年にわたって大量に使うと、白内障になることがあります。
白内障の予防
加齢による白内障は、いつかは誰でもなるものですが、ある程度進行を遅らせることはできます。
紫外線対策
紫外線は、白内障の進行を早めます。サングラスやUVカットメガネなどは、有効ではありますが、眼とサングラスのすき間から紫外線が入ってきます。
帽子やサンバイザー・日傘などを使いましょう。
それより、紫外線の多いときの外出はなるべく控えましょう。
10時から14時くらいが、紫外線のピークですが、朝や夕方も、地平線近くの太陽から、光が水平に眼に届いたりして危険です。気を抜かないようにしましょう。
禁煙
タバコを吸うと、水晶体に含まれるビタミンCが破壊されて、白内障が進んでしまいます。
禁煙・節煙に努めましょう。
食事の注意
水晶体のタンパク質の酸化を防ぐために、抗酸化作用のある「ルテイン」「アントシアニン」「ビタミンC」を積極的に取りましょう。
ルテイン:ケール・ホウレン草・ブロッコリーなどの緑黄色野菜に含まれています
アントシアニン:ブルーベリー・ブドウ・ナスなどに含まれています。
ビタミンC:赤ピーマン・パセリ・芽キャベツ・レモンなどに含まれています。
食事だけで充分取れないときは、サプリメントで取りましょう。
白内障の治療
一度白内障になってしまったら、自然に治るということはないので、治療法としては、薬で進行を遅らせるか、手術するしかありません。
点眼薬
ピレノキシンやグルタチオンが処方されます。
手術
白内障が進行して、日常生活に支障をきたすようになったら、手術を行います。
白濁した水晶体を、人工的な「眼内レンズ」に置き換えるのです。手術自体は10分から20分位で終わります。
いったん眼内レンズを入れると、特に問題がなければ、50年位持ちます。
通院できて、家族の手助けが得られる場合などは、日帰りもできます。
レーシック手術をした人でも、白内障の手術を受けることはできますが、角膜の表面が変形しているので、眼内レンズの調整が難しいのです。
そのため、レーシックを受けた人の白内障手術の経験が豊富なクリニックで手術を受けたほうが安心です。