画面のない視覚障害者用タブレットが開発。出入りする192個のボタンで地図や図形を描画、Bluetooth連携も
視覚障害者の自立をサポート
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スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究者が、視覚障害者向けのタブレットを開発しました。タブレットにはタッチスクリーンがないかわりに192個のちいさなボタンがあり、これが瞬時に凹凸を作り出すことで、地図や図形など触覚的な情報を使用者に伝えます。
視覚障害者にとって、初めて訪れるような土地を歩くのは大きな課題。欧州では現在、視覚障害者向けタブレット開発プロジェクトBlindpadの研究が進められており、EPFLはこの研究の一部として手のひらにのる大きさで自由に地図やその他の情報を作り出せるタッチタブレットを開発しました。
このタブレットはiPadなど一般的なタブレットでいうところの"スクリーン"上に凹凸で情報を描画し、視覚障害者はそれを指先で読み取ることができます。
タブレットのサイズは12x15cmで、合計192個のボタンがあり、これらが磁力制御で数mm上下に出入りすることで凹凸を表現します。たとえば地図情報、モールやホテルなどの大きな建物の間取り図といった情報を表現することで、使用者がひとりで目的の場所へと向かうのをサポートします。
Bluetooth通信機能を備えており、PCやiPadなどの一般的なタブレット、スマートフォンと接続してデータを転送することも可能。アプリ側が対応すれば、ナビゲーションアプリの地図情報をこのタブレットに凹凸で表示させるといった使い方もできるかもしれません。
タブレットは現在、複数のテスターによって試験されており、5月6日にはコロラド州デンバーで開催されたComputing Systems(CHI 2017)でも紹介されたとのこと。
視覚障害者で実際にこのタブレットを試したDenis Maret氏は「私たちははじめての場所を訪問するとき、音声GPSがついた白い杖を使います。GPSは曲がるべき角を教えてはくれるものの、事前にルートを調べて頭に入れておくことができないため、不安は常につきまといます。この技術なら事前に、またその場で地図を確認できるため、私たちの自立に役立つことでしょう」とコメントしています。
ちなみにこのタブレット、視覚障害を持つ子どもたちの教育においても、たとえば幾何学的な図形を表示して直感的に理解させられるといったメリットも備えます。すでにポーランドとイタリアではこのタブレットを使う学習方法のテストも行われているとのこと。