ベビー服ネットショップ『べびちゅ』では、不定期で、べびちゅ会員限定のセールやLINE会員限定のセールを行っています。

私、ずっと気になってたんです。
『セールでホントにお客様の財布の紐が緩むのか?』

もし、財布の紐が緩むとすると、セールをすれば客単価が上がるハズですよね?

気になったので、調べてみました。
結果、客単価がほとんど変わらなかったんです。

残念なことに、客単価が変わらないのに粗利単価は大きく下がりました。
セールで値引きしていますので。。。

セール時の受注件数も、十分な増加ではありませんでした。
増えるには増えたのですが、粗利を増やすほどではなかったんです。

つまり、セールをしなかった日の粗利と比べて、粗利は増えませんでした。
これでは『セールなんかしないほうがいいんじゃない?』みたいな気持ちになってしますね。

しかし今回のテスト結果を分析するうちに、『セールを活用して客単価を上げる方法(仮説)』があることが分かってきました。
まだテストをしていませんが、べびちゅの過去の経験からいうと成功しそうな方法です。

本記事では、『セールで財布の紐は緩むのか?』のテスト結果を順を追って説明し、次に、テストの結果から生まれた仮説『セールを活用して客単価を上げる方法』を説明していきます。

なお、テストの方法などについては、『まとめ』のあとの『参考情報』に載せていますので、参考にしていただければ幸いです。

では早速、報告します。

セールの時は、高額商品が売れるのか?

『セールの時は、普段買わない高額な商品に手を伸ばすのか?』
『それともより買いやすい商品に手を伸ばすのか?』
を調べるために、セールで販売した商品と定価で販売した商品の1商品あたりの販売金額と粗利をそれぞれ集計しました。
集計結果は次の表のとおりです。

商品の分類

1商品あたりの販売金額

1商品あたりの粗利単価 粗利率
セール商品 1,770円 422円 23.9%
定価商品 2,318円 1,119円 48.3%
▲548円 ▲697円 ▲24.4%

今回のセールでは、セール商品と定価商品で1商品あたりの販売単価と1商品あたりの粗利単価に▲548円▲697円の差が出ました。
セール商品と定価商品の1商品当たりの粗利率は、それぞれ23.9%、48.3%です。

べびちゅの場合、普段買わない高額な商品より、普段買う商品をお安く買いたいというお客様が多いようです。
それでは、セール時は、お得に買える分1注文あたりの商品点数は増えるのでしょうか

セールの時、商品点数は増えるのか?

セールの時は、確かに1注文あたりの商品点数が増えます。
べびちゅの場合、次の表のとおりです。

  1注文あたり商品点数
セール商品を1点以上含む注文 3.60点
セール商品を含まない注文 2.99点
0.71点

表から分かるように、平均すると0.7点くらいなんです。
1回に買う商品が1点弱増えたくらいで、本当に客単価や粗利単価は増えるんでしょうか?
そこで、セール時とセール時以外で客単価や粗利単価にどういった違いが出るのかを調べてみました。

セールで購入したお客様とセール以外で購入したお客様。客単価に違いはあるか?

セールで購入したお客様とセール以外で購入したお客様の客単価と粗利単価を比較すると以下のとおりとなります。

  客単価 粗利単価
セールで購入したお客様 6,643円 2,295円
セール以外で購入したお客様 6,627円 3,188円
+16円 ▲893円

セールで購入したお客様とセール以外で購入したお客様で客単価を比較してみると16円しか差がありませんでした。
誤差の範囲だと思います。

粗利単価については、▲893円になりました。
客単価が変わらなければ、セールで値引きしてる分、粗利単価は下がります。

ここまでで分かったことを一旦、まとめます。

  • べびちゅの場合、セールでは、高額商品より普段購入する商品をより安く買う傾向にありました
  • べびちゅの場合、セール時に商品点数が普段より0.7商品多く、購入しました
  • 客単価については、ほとんど変わりませんでした
  • セール時の粗利単価は、通常時より下がりました

セールによって、財布の紐が緩みませんでした。
つまり、客単価はあまり変わりませんでした。

セールで客単価が変わらなかったのはなぜか?

なぜセールで客単価が変わらなかったのでしょう。
弊社では、次の2つの仮説を立てました。

  • お客様は、一回購入ごとに予算を持っていて、無意識のうちに予算の範囲で購入しようとする
  • セールの時に、財布の紐が緩む人と財布の紐がきつくなる人がそれぞれ同数程度いて、平均すると客単価が変わらない

2つの仮説は、恐らくどちらも正しくまとめると
購入者は、セールで『お財布の紐が緩くなるグループ』、『お財布の紐が変わらないグループ』、『お財布の紐がかたくなるグループ』の3つに分かれ、平均するとセール以外での購入と客単価が同じくらいになる
と言うことになると考えられます。
この仮説に基づいた『セールを活用して客単価を上げる方法(仮説)』については、後ほど説明しますね。

セールでは、受注件数が増えます。
ですので、客単価が変わらなければ売上は増加します。
今回、セールで粗利単価が下がりましたが、受注件数の増加で粗利は増えたのでしょうか?

セール期間中とセール期間以外の1日あたり受注件数の違い

セール期間中とセール期間以外の平均受注件数を調べます。

2月は合計で6日間、セールを行いました。
残りの22日がセールを行っていない期間になります。

セール実施期間の1日あたり受注件数は、セールを実施してない期間と比較して、17.8%増加しました。
この程度の受注件数の伸びでは、売上は伸びるのですが、粗利は伸びません。

なぜなら、粗利単価の減少が受注件数の伸びに対して、下がりすぎているからです。

もし、セール時には、財布の紐が緩む人がいるのであれば、その人たちだけにセールが出来れば、セールで客単価や粗利単価を上げることができると思います。
でも、財布の紐が緩む人だけを特定するなんてことができるのでしょうか?

セールを活用した客単価を上げる方法(仮説)

『財布の紐が緩む人』だけにセールを行うには、『財布の紐が緩む人』を見つける必要があります。

財布の紐が緩くなったかどうかは、次の手順で判定することができます。

 

  1. 会員ごとのセール以外での平均客単価を計算する
  2. 会員ごとのセール時の平均客単価を計算する
  3. 1.と2.を比べて、セール時の平均客単価が大きい会員を抽出する

 

べびちゅでは、会員ごとの平均客単価やセール時の客単価をデータベースで管理しています。
なので、セール時に平均単価を大きく上回る会員を特定することができます。

まだ仮説の段階ですが、近々テストしていきたいと考えています。
テスト結果が出ましたら、記事にしたいと思いますので、楽しみにしておいてください。

まとめ

セールに関して、分かったことをまとめます。

  • べびちゅの場合、セールでは、高額商品より普段購入する商品をより安く買う傾向にありました
  • べびちゅの場合、セール時に商品点数が普段より0.7商品多く、購入しました
  • しかしながら、客単価については、ほとんど変わりませんでした
  • セール時の粗利単価は、通常時より下がりました
  • セール時には、受注件数が増え、売上も増加しましたが、粗利は減少しました。これは、セールにより粗利単価が大幅に減少したためです。
  • セールで客単価を上げる仮説を立てました

以上、本記事が貴社のネットショップ経営のお役に立てれば幸いです。

参考情報

テストの方法

今回のテストは、2017年2月の月次データを利用しています。

セール商品を1点以上購入されたお客様とセール商品を購入されなかったお客様に分けて、比較しました。
また、受注件数については、セールを実施した合計6日間とそれ以外の22日間の平均受注件数を比較しました。