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 多かれ少なかれ、人間生活を営む上でストレスはかかっている。適度なストレスは思考力や身体機能を高めると言われているがストレスが過剰になると体に害をもたらす。

 では、自分のストレスのレベルを調べる方法はあるのだろうか?ストレスがたまり、危険な状態に近づいていることを示す兆候はあるのだろうか? どんなストレスも同じような影響を受けるのだろうか?

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ストレス過多の状態とは?


 ストレスは様々なことで溜まる。失業や離婚といった生活を一変させる大きな出来事に起因することもあれば、日常的で些細な出来事に起因することもある。

 だが、どのストレスでも同じように影響するわけではない。ある専門家によれば、ストレスは恒常性が阻害され、体がバランスを取り戻そうと体内のリソースに頼る必要が出てきたときに感じられるという。

 だがストレスが溜まりすぎて、体内リソースが足りなくなれば、体はバランスを取り戻せなくなる。それが、いわゆるストレス過多の状態だ。

 ストレス過多になると肉体的・精神的問題に特に影響を受けやすくなるという関連性も知られている。


ストレス過多が近づいていることを示すサインはあるだろうか?


 疲労感、不眠、頭痛といったストレスに関連した症状はいくつも知られているが、それはストレスが過多であろうとなかろうと、あらゆるストレスを受ける状況で見られるものだ。

 これらの症状は「少し休みなさい」という体の訴えであるかもしれないが、健康を害する瀬戸際に立っているかどうかを知る指標としては役に立たない。


研究結果から導き出されたストレス過多とその症状


 『インターナショナル・ジャーナル・オブ・ストレス・マネジメント(International Journal of Stress Management)』に掲載されたカリフォルニア州立大学ロングビーチ校の研究者による最新論文では、440人の成人を対象(男女ほぼ半々ずつで、幅広い年齢層が集められた)に、ストレス過多の人に特徴的な症状を調査した。

 調査は2つの段階に分けて行われた。最初の段階では、以下のカテゴリーに従って被験者のストレスが評価された。

・ストレス過多スケール(SOS)に基づくイベント負荷――被験者がストレスイベントで感じた要求されているという認識の度合い(例:責任感で圧倒された)
・SOSに基づく個人的脆弱性――ストレスに対応するうえでの無力感(例:もう無理だ)
・ストレスに起因して現れることが多い身体的症状のチェックリスト(35項目、SOSと重複しないよう考慮されている。例:食欲の変化、性欲の減退、胃の痛み、便秘・下痢など)
・ストレスに起因して現れることが多い行動のチェックリスト(35項目、SOSと重複しないよう考慮されている。例:約束をキャンセルする、お金を浪費する、アルコール・タバコ・薬物の使用、短気になるなど)


 最初の評価を終えた後、被験者にアンケート用紙を渡し、1週間後に自宅で記入したうえで返送してもらった。

 次の段階では、さらに長いタイムフレームにおけるストレス過多に関連する症状や行動を明らかにするとともに、最初の評価が経時的にどのように変化するのか調査することを目的とした。アンケートに回答し、返送してきたのは、161名(最初に参加した被験者の40パーセント)のみである。

 アンケートの回答を基に身体的症状を統計的に解析した結果、ストレス過多と以下の症状カテゴリーとの関連性が特定された。

・体調不良――ストレスに起因する生理的変化を示す症状(例:性欲の減退、頻尿、歯ぎしり、疲労・倦怠感、体の痛み、かゆみなど)
・消化器系の不調――胃腸に関する症状(例:胃の痛み、悪心、嘔吐、肌荒れ・吹き出物など)
・呼吸器系の不調――呼吸気系や鼻腔に関する症状(e.g.:鼻づまり・鼻水、耳の痛み、喉の痛み、くしゃみなど)


 また行動の変化を解析した結果、以下のカテゴリーとの関連性が特定された。

・むら気――気分に関連した行動的症状(例:苛立ち、短気、我慢できない、薬物・アルコール量の増加、神経性チックなど)
・神経症的習癖――神経症的あるいは強迫的であることを示唆する行動(例:前後にウロウロする、身だしなみを怠る、間違い、震え、爪・鉛筆かじりなど)
・認知の低下――認知機能低下の兆候(例:集中力低下、決められない、記憶の問題、約束を忘れるなど)


 研究結果からは、こうした症状がストレス過多を予測するサインであることが判明しているが、特に強い関連性を示すものもあった。

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特にストレス過多と関連性の深い症状


 例えば、胃の痛み、悪心、嘔吐といった消化器系の不良は、体調不良や呼吸器系の不調よりも一貫して認められる指標であった。また、行動については、むら気や神経症的習癖よりも認知の低下の方が多く認められる。

 より重要なことは、ストレス過多による認知の低下は時間が経過しても相変わらずで、その他の多くの症状とは違い、緩和する気配が見られないことだ。


ストレス過多の一番の影響は認知の低下


 したがって、ストレス過多であるかどうかを判断する指標としては、特に認知の低下が優れていると言えるかもしれない。

 一部の専門家は、かねてからストレス過多を正式な診断名とするべきであると主張してきたが、これまでその診断をするための明確な指標が存在しなかった。

 今後、今回のような研究がさらに行われれば、患者にストレスによる健康リスクがあると警告する指標を特定できるかもしれない。

via:psycnetpsychologytodayなど/ translated hiroching / edited by parumo
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2017年05月08日 11:23
  • ID:PqjdYtEb0 #

>>認知の低下
めっちゃあるわ
何気ない光の反射を虫と勘違いしたりとか、一日中もんもんと考え事して夕方になってたとかある

2

2. 匿名処理班

  • 2017年05月08日 11:29
  • ID:DvJM.Dns0 #

とりあえず途中で出てきたハムスターが可愛かった

3

3. 匿名処理班

  • 2017年05月08日 12:06
  • ID:F8RmW7B10 #

自分でストレスが無い、疲れてないと思っていても
注意深く観察すると
いつもはしないようなミスをやらかしたり
なんとなく調子が悪かったりしてるんだよね
変だと思ったら寝るのが一番てっとり早いよ

4

4. 匿名処理班

  • 2017年05月08日 12:08
  • ID:UAvH1x9s0 #

ほとんどのカテゴリーに当てはまっててヤバイなと思ったけどモジャモジャのハムスターが可愛かったからセーフ

5

5.

  • 2017年05月08日 12:30
  • ID:IFegIBhd0 #
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