史上最もワイルドな映画といわれる『ロアーズ』再上映にあたり、予告編が公開されています。
キャッチコピーが「撮影で動物は一切傷つけられていません。70人のキャストやスタッフは傷つけられました」というもの。
まずは、この映画に登場する家族の紹介から。
ティッピ・ヘドレンは、ヒッチコック監督の「鳥」の主演女優で、夫のノエル・マーシャルは映画監督で、映画「エクソシスト」のプロデューサーです。
そして、娘は女優のメラニー・グリフィスです。
この家族は11年間もの間、訓練されていない150匹の野生動物と一緒に暮らしていました。
そして、「史上最も危険な映画」といわれる映画「ロアーズ/猛獣一家はおおさわぎ!」を作り出しました。
「ロアーズ」は、1981年に製作されましたが興行成績が悪く、長い間見ることさえできない状態でしたが
今年の春に再公開されることになりました。
この映画は製作に1700万ドルかかりましたが、興行収入はたったの200万ドルで、「かつて作られた映画の中で最も高価なホーム・ムービー」と言われていました。
「ロアーズ」はカルト・クラシックと(まだ)認められているわけではないので、現在のようにデジタルでどんな映像でも生成できる時代に、
かつて撮影された人間と交流する、愛らしくも暴力的なライオンとの壮大なる映像を再現するのに値するかどうかは議論の分かれるところでもありました。
もちろん巧みな編集は行われていますが、視覚的な特殊効果はいっさい使用されていません。
ライオン同士は実際に戦っていたし、人間はライオンに組付かれていました。
キャストとクルーも残念ながら実際に傷を負って血を流したりと、リスクと結果は非常に現実的なものでした。
たとえば監督のノエルが2匹の雌ライオンの争いの間に入ろうとして、1匹に左手を噛まれてしまいましたが、
ノエルは軽く手を降って傷口をちょっと見ただけで撮影を続行しました。
70人以上のスタッフや俳優が撮影中に負傷しました。
撮影が始まってから3週間のときに、撮影監督のヤン・デボン(Jan DeBont)はライオンに頭の皮を剥がされました。
200針も塗ったあと、ソウルダッド・キャニオンのセットに戻ってきて最後まで撮影を続けました。
「ロアーズ」の製作者であり、脚本家であり、監督のノエル・マーシャルにいたっては、複数の刺し傷や噛傷を受けていて、ライオンの歯や爪に付いていたバクテリアのために、最終的には壊疽にかかってしまいました。
当初、週125ドルで働いていたスタッフは、「ロアーズ」の撮影を行っていたときのことを次のように語っています。
若いライオンが後ろ足で立ち前足で私の首を抑えながら、私を木に押し付けてきました。
ライオンの強力な顎が目の前で大きく開いていて、
生暖かい息の匂いを感じていました。
ライオンは私の顔を舐めたりキスしたりして、逃れる術なんてありませんでした…
幸いなことに私を夕食として欲しかったわけではなく、まだ若かったので、私と遊びたかっただけでした。
これが、1978年夏に撮影された「ロアーズ」の撮影の典型的な一日でした。
「ロアーズ」のプロットは次のようなものでした。
ある日、ティッピ・ヘドレンとグリフィスたちが演じる家族が、父がいないときに父の家に到着してしまいます。
そこには見たこともない野生動物が大勢いて、衝撃的な経験が始まります。
Dangerous Mindsという映画サイトでは、この映画を「奇妙な世界の実写化されたディズニー映画!」と称しています。
この映画は、魅力的で、面白く、サスペンスにあふれ、怖い映画です。
この映画はクレイジーです。
このサイトでは、「ロアーズ」の再リリース権を獲得したティム・リーグ(Tim League)にもインタビューしていました。
正直なところ、映画のプロットは簡単なもので、毎日ライオンが何をするか分からなかったので、映画の大部分はアドリブで、構想は考えていなませんでした。
この映画は、家族というものが、父、母、子供というような枠組みを超えて、130匹以上のライオン、虎、ヒョウ、パンサー、ジャガーのいる家族になるためのドキュメンタリー物語と考えています。
ティッピ・ヘドレンの有名な娘、メラニー・グリフィスと彼女の役についても聞いていました。
メラニーが、ライオンによって床に組み伏せられ、噛み付かれ叩かれている場面がありました。
彼女は母に助けを求め、ティッピはジョンとジェリーに助けを求めていました。
これは本当にヘルプのサインでした。
別のシーンでは、棚から蜂蜜の瓶が落ちてティッピの顔にかかってしまうと、ヒョウがやってきて蜂蜜を舐め始めました。
こんなシーンはテストしたことがありませんでした。
ティッピは、ヒョウが蜂蜜を舐めるだけでなく、彼女に噛み付くだろうと考えて固まっていました。
「ロアーズ」の撮影の最初の頃、メラニーは、このプロジェクトのために顔を失いたくないと言って、実際に製作を離れてしまいました。
後に撮影に戻った時、当時19歳だったメラニーは、ライオンに攻撃され顔を50針も縫わなくてはなりませんでした。
2014年のインタビューでは、ティッピは、ライオンたちは信じられないほど愚かだったことが分かったので、家でライオンを飼うという決断をしたことを後悔していると語っています。
マーシャルとヘドレンは当初、自らの自然の生息地を失ったり、毛皮や象牙のために殺されたりしている、野生動物の窮状を伝える援助ができるように、アフリカへの旅行後にプロジェクトを立ち上げました。
「ロアーズ」は、このようなメッセージを伝えることができたでしょうか。