私は2年程前に、本格的にマラソンの練習を始めました。
その時、巷に溢れている有名なマラソン関連の本を読みあさり、色々と試してみました。
LSDで練習、体幹トレーニング、月間300km走、減量など多くの対策もしました。
その甲斐あってか、フルマラソン完走、サブフォー達成、ウルトラマラソン完走、ホノルルマラソン完走を達成できました。
現在はマラソンを辞めてしまいましたが、マラソンを通して学んだことを数え切れないほどあります。
ただ振り返ってみると、フルマラソンを完走するまでにかなりの時間をかけてしまい、もっと効率良く練習できたと思います。
今日はその反省を踏まえ、「初心者が半年でフルマラソンを完走するための効率的なトレーニングスケジュール」について語っていきます。
目次
1:目標設定と準備
何よりも最初に行うべきは目標設定。
これがないことには効率的な練習スケジュールを組むことが出来ません。
マラソンを練習しようと決めたら、まず目標設定と準備をしましょう。
具体的には下記の3点を初めに設定する必要があります。
【目標設定項目】
- 練習期間
- 目標完走タイム
- 参加する大会
練習期間
練習期間の目安は下記の通り。
- 陸上経験者or体力には自信がある→3ヶ月
- 陸上未経験者で、体力にはそこそこ自信がある→6ヶ月
- 陸上未経験者で、体力には自信がない→1年
若い男性で運動習慣がある人なら、3ヶ月もあればフルマラソンを完走することは余裕です。
しかし基本的にフルマラソンを完走できるようになるには時間がかかります。
個人差はありますが、42.195kmを走れる身体になるにはそれ相応の時間が必要だからです。
フルマラソンを完走するにはそれなりの練習時間の確保が必要不可欠です。
特に会社勤めの方や子育て中の方は中々時間を作るのが難しいでしょう。
全てをマラソンに費やせるわけでもないことを考えれば、現実的な練習期間は半年が妥当です。
目標完走タイム
次に設定すべきは目標完走タイム。
これを設定しないと練習計画そのものが成り立たない。
なぜなら目標タイムによって練習時のペース走のタイムが異なるからです。
従って非常に重要な目標設定なのです。
フルマラソンの平均タイムは、男性の場合は4時間30分、女性の場合は5時間。
市民ランナーの一つの登竜門が4時間切り(通称サブフォー)、大会参加者の3~4%だけが達成出来る3時間切り(通称サブスリー)。
上記の数字から初心者の現実的な目標は4時間30分~5時間です。
それぞれの1kmあたりのペースは下記の通りです。
- 4時間30分→6分20秒/km
- 5時間→7分00秒/km
下記は中学3年生の1500m、1000mの平均タイム。
- 男子:1500m→6分5秒
- 女子:1000m→4分44秒
42km以上と1.5kmもしくは1kmのタイムを単純比較は出来ないが、イメージ的には誰もが中学生時代に走った長距離走よりも遅いペースでフルマラソンを5時間で完走出来る計算になります。
ちなみにマラソン大会の場合、完走時間の制限がある。
大会にもよるが、一般的に6~7時間前後以内。
短いものだと4時間以内になる。
フルマラソンを完走するためにも目標時間の設定は必要不可欠だ。
自分のペースを決める時には下記のツールを参照してください。
参加する大会
最後に決めておくべきは自分が参加する大会。
マラソンは大会ごとにコースも違えば、場所、制限時間、大会開催日、参加人数の上限などがもちろん異なります。
自分の住んでいる地域でマラソン大会が行なわれない場合もあります。
大会によってはエントリー期限もあって、申込もと思ったら期限切れなんてこともあります。
従って、上記で設定した目標練習期間と完走タイム、そして自分が面白そうだと思う大会を探して、参加する大会を決めてしまった方が良いです。
そうしないことで、徐々に目標達成期限を後ろ倒しにして、最悪フルマラソンの練習をやめる可能性もあります。
自分はどの大会に参加するのかを早い段階で決めてしまうことをおすすめします。
大会エントリーの方法は色々ありますが、一番おすすめはRUNNET。
様々な大会が掲載されているので、まずはこれで自分が参加する大会を決めてしまいましょう。
マラソン大会は基本的に年中開催されていますが、ピークは11月~2月の冬のシーズン。
夏場に長距離を走るのは体力的に厳しい(人によっては危険)ので、初心者の方は冬のシーズンに参加するのをおすすめします。
用意する道具
用意する道具は下記の3つがあれば良いです。
- ランニングウェア
- ランニングシューズ
- 練習時間を記録出来るアプリor時計
マラソンの魅力の一つがお金がかからないことです。
走れる足と場所があればよいのです。
上記の三つがあれば十分。
実際私はそうでした。
ランニングウェアは自分が走りやすい格好ならなんでもいいです。
プロなら軽量、吸水性などを意識しますが、初心者は走れるならなんでもいいです。
シューズに関しても初心者は特にこだわる必要はあります。
あえてあげるならトレーニング向けのシューズを買うことです。
というのもシューズにも色々種類があります。
軽いレース向けのシューズは一見良さそうですが、その分クッション性がないため膝や足に負担が掛かりやすいです。
一回の大会で使う分には良いですが、レース向けシューズで何度も練習をしていくと怪我をする恐れがあります。
なので、クッション性に優れたトレーニング向けのシューズを買うことをおすすめします。
また人によって足の形などが異なるので、絶対にランニングシューズの専門店に行って、店員さんに色々アドバイスを頂く、足を形を計測しましょう。
最後に重要なのが、練習時間を記録出来るアプリもしくは時計です。
私のおすすめ『RunKeeper』です。
このアプリは月間走行距離を細かく記録してくれます。
また走っている間は時間や距離、ペースをアナウンスしてくれます。
SNSと連携させてアカウント登録などが出来ますので管理も楽です。
有料版もありますが、無料版だけで十分優秀なアプリです。
AppleWatchなどのウェアラブル端末を使う手もありますが、かなり値が張るので、初心者は無料アプリからで良いでしょう。
もちろん様々なウェアを着ておしゃれしたい、体調管理のためにサプリを飲みたい、ランニングをしながら音楽を聴きたいなど思う方もいらっしゃるでしょう。
それがモチベーションになる人もいます。
そういう方はモチベーション維持のために上記の3点以外も用意しましょう。
2: ランニングを習慣化
まず最初の1ヶ月はランニングを習慣化しましょう。
マラソンは短期間でどうにかなるものではないので、長期間継続して練習する必要があります。
ですので、まずは走ることを生活の一部に組み込むことからはじめましょう。
はじめはいきなり長期間、長距離走る必要はありません。
ランニング、ジョギング、ウォーキングなんでもいいので1日30分身体を動かす習慣をつけましょう。
頻度は最低週2日、理想は3日です。
平日2日、土日のどちらかで1日の合計週3日です。
注意して欲しいの連続で行わないことです。
一日練習したら必ず期間をあけましょう。
それと一日で3日分やらないことです。
あくまで継続して身体を動かす習慣をつけるのが目的です。
いきない練習し過ぎると怪我にも繋がりますし、何より練習が面倒になります。
また時間を作るのが難しい方は普段の生活の中で歩く時間を増やしてください。
例えば、駅までのバス通勤をやめて徒歩にする、電車利用なら普段利用している駅の一つ前の駅で降りる、なるべく階段を使うなどです。
それだけで軽く30分以上身体を動かすことになります。
とにかく最初の一ヶ月は毎週3日、1日30分身体を動かしましょう。
3:60分走れる身体と目標タイムに向けたペース走
次のステップは三ヶ月目までに60分間自分の目標ペースで走れる身体作りが目標です。
二ヶ月目は60分走れる身体作り
まず最初の1ヶ月で60分走ることに慣れましょう。
全てのランナーは共通して42.195kmを走る必要があります。
ところが、走る時間はランナーによって様々です。
しかも、初心者ランナーであればあるほど、その時間は長くなります。
この時間への慣れこそ、初心者ランナーがすべきことなのです。
恐らく大多数のランナーが長時間走ることに慣れていません。
速く走るよりも何よりも、長い時間走ることに慣れる必要があります。
はじめのうちは30分以上走ることは苦痛でしかありませんが、慣れてくると長時間走ることは苦痛ではありません。
私の経験上、60分以上走ることに慣れるとその先は特に苦痛は感じません。
それが2時間になろうが、3時間になろうが。
感覚的に5時間かけて42kmを走るなら、1時間走を5回走る感覚に変わってきます。
と言ってもいきなり長時間走ることは中々出来ません。
ですので最初は30分走れるようになりましょう。
ゆっくりとしたペースで構いません。
やや息が切れるくらいの1km7分~8分のペースで走ってください。
それに慣れたらペースを速めるのではなく、走る時間を伸ばしましょう。
30分→45分→60分と。
1km7分~8分のペースで良いです。
あくまで長い時間走ることに慣れるのが目的です。
最初の1ヶ月で60分走ることに慣れましょう。
ここでも練習頻度は毎週2、3日です。
三ヶ月目は目標ペースで30分走る
三ヶ月目は自分の目標ペースで30分走ることに慣れましょう。
マラソンで最も大事なのはペースメーキングです。
理想は自分の設定したペースで最初から最後まで走ることです。
常に一定のペースで走ることを目標にしましょう。
そのためには自分の理想のペースを身体に染み込ませる必要があります。
そうすることで、実際のレース中に自分が飛ばし過ぎているか、遅すぎるのかを把握して、調整することができます。
自分の目標ペースがどの程度なのかを把握するためにも、最初は30分で良いので、ペース走を行いましょう。
そして慣れるにしたがって走る時間も伸ばしましょう。
30分→45分→60分と。
ペース走で30分程度しか走れない場合は長く走る感覚を失わないために、平日ペース走、休日に60分走というように練習を使い分けましょう。
ここでも練習頻度は毎週2、3日で十分です。
4:ハーフマラソン参加で仮想トレーニング
4か月目はハーフマラソン(20km)に参加しましょう。
ここでの目的は大会の雰囲気を知ることです。
大会までの調整、前日の過ごし方、当日の食事、ウォーミングアップ、実際のレースなど。
恐らく想定とは違った自体が何かしら起こります。
ペースを維持出来ない、補給食が身体に合わないなどなど。
実体験でこれらのことを知るのは非常に有益な経験です。
普段の練習は一人ないし、友人と走る一緒に走る程度なので2,3人くらいでしょう。
それが大会にもなると何百、何千人以上の人が大会に参加します。
マラソン大会は一種のイベントとしての要素もあるため、ちょっと異様な雰囲気です。
なので、普段とは異なる環境で走るとペースを維持するのが非常に難しいです。
隣の人がペースを上げるとつられてあげたくなりますし、沿道の応援を受けて気分が高揚したり。
体力面も含めて様々なことを確認出来るのが実際に大会に参加するメリットです。
そして何より体感して欲しいのはゴールした瞬間の快感です。
この瞬間はとにかく気持ちが良いです。
マラソンをやる上で一番の楽しみと言っても過言ではない瞬間です。
これを味わうことで、以降の練習に対するモチベーションに繋がります。
また、ハーフマラソン参加後一週間は疲労回復につとめてください。
ジョギングを中心にして脚に疲労を残さないようにしてください。
それ以降は以前と前月と同様ペース走と60分間走を続けてください
5:30km走に挑戦
五ヶ月目はいよいよ30km走に挑戦してみましょう。
タイミングは大会前の4~5週間前が良いです。
それまでは4月と同じメニューです。
30km走はハーフマラソンと同様、本番とできるだけ同じ環境を作りましょう。
シューズから、食事方法、走り出す時間まで。
今回のトレーニングスケジュールで30kmを走るのは一度だけです。
あくまで、フルマラソンに近い感覚を味わうのが目的です。
長い距離を走る時の心理状態、ペースを維持する難しさを経験してください。
走り終わったあとは、自己分析をしっかりしてください。
余裕をもって走れたか、ペース設定をこなせたか、30km走れたかなど、自身の状態を分析しましょう。
またもしこの段階で自身が設定したペースが無理に感じたら迷わず変更しましょう。
逆にペースが余裕に感じたとしてもなるべく目標設定は変更しない方がいいです。
本番では何があるかわかりませんし、何より30kmを走ったに過ぎません。
マラソンには「30kmの壁」と言われる言葉があります。
これは30kmを過ぎると急激に脚が動かなくなり、ペースダウンしてしまう現象です。
2013年のモスクワ世界陸上選手権で銅メダルを獲得した、福士加代子選手でも、初のフルマラソンでは「30kmの壁」に阻まれています。
初の42.195kmとなった'08年大阪国際女子マラソンでは、スタート直後から飛び出して30km手前までは独走するも、そこから一気にペースダウンすると、最後はフラフラになり大失速。競技場では3度、4度と転倒しながらも、なんとかゴールに辿り着いた。
引用:<フルマラソン永遠のテーマ> 福士加代子が語る 「30kmの壁克服法」 - ライフスタイル - Number Web - ナンバー
原因は諸説あります。
- グリコーゲンの枯渇
- 疲労物質の蓄積
- 水分不足・ミネラルバランスの崩れ
- ペース配分のミス(飛ばしすぎ)
初心者のケースで一番多い原因は練習不足とペース配分のミスにあります。
私の場合もはじめて参加したフルマラソンで調子に乗って早いペースで走り過ぎた結果、30kmを過ぎた付近で急に脚が動かなくなって、ペースダウンしました。
ここで何を言いたいかというと、ペースを守ることの大切さと30kmを順調に走れたからと言って、目標を上方修正してはいけないということです。
30キロ走して、ペースを維持できたら、目標設定はそのまま。
あまりにペースを維持出来なかったら下方修正するようにしてください。
ハーフマラソンと同様に30km走完走後は疲労回復期間にあててください。
ジョギングを中心で構いません。
疲労感が残る、痛みなどがあれば練習を完全休養しても構いません。
6:本番に向けた調整
最後の1ヶ月は本場に向けた調整期間です。
最大の目的は疲労を本番に残さず、万全の状態で本番に臨むことです。
基本的には自分の目標ペースで60分ほど走ってください。
絶対に20km以上走ってはいけません。
大会までにこれまでの蓄積疲労を抜くことに努めましょう。
大会前に走らないと不安になるかもしれませんが、この時点では相当な基礎体力がついています。
なので継続して週3の60分間ペース走をしていれば、フルマラソンを走る体力を維持することは可能です。
むしろここで練習し過ぎて、疲労が原因で大会本番で本来の力を発揮できないことが怖いです。
せっかく走れる脚力を持っているのに、疲労が原因で完走できない人もいます。
最後の一ヶ月は負荷をかけずに、調整に徹してください。
練習メニューは下記の通りです。
【大会一ヶ月前の練習メニュー】
- 4週間前:30キロ走
- 3週間前:30キロ走からの疲労回復
- 2週間前:目標設定タイムでのペース走(週に最高2日、距離は10km以内)
- 1週間前:疲労回復(最大30分走)
- 前日:走らない(脚をリラックスさせた状態で過ごす)
一番怖いのは隠れた疲労に気づかないことです。
マラソンをやっていると、練習時点では脚が軽かったのに、走りだしてみると重いということがあります。
自分では気づかぬうちに疲労が溜まっていることがあります。
ですので、休むのも練習だと思って1週間前から軽めの練習に切り替えてください。
まとめ
- 最初に目標設定する
- 最初の1ヶ月は走ることに慣れる
- 二ヶ月目~三ヶ月目で60分走れる身体と目標ペースを身体に覚えこませる
- ハーフマラソンと30km走で、本番み向けた仮想トレーニングをする
- 最後の1ヶ月は本番に向けた軽めの調整にあてる
ここまで紹介してきた練習法で最も大切なのは、目的意識を持って、継続練習することです。
段階ごとに自分がなるべき状態をイメージして、しなければ自分の成長が感じられずモチベーションがあがりません。
変わった練習方法に惑わされて、練習を方法を変えては結果は出ません。
最初に決めたスケジュールに沿って、同じことを繰り返すことで脚力はついていきます。
色んな練習を試せば試すほど、逆に遠回りになります。
自分の中でステップを決めて、着実に進めていくことが最も効率的なトレーニングスケジュールになります。
それでは、さようなら!