アスペルガー症候群の子供の学習方法
発達障害がある子供は勉強が苦手だと言われていますが、本当にそうでしょうか。実際には、勉強が苦手になりがちだというのが本当のところです。しかし、勉強が全くできないわけではありません。それでは彼らはなぜ、勉強が苦手になってしまうのでしょうか。それは、できないことをとがめられるから嫌いになる。嫌いだから、なおさらやりたくなくなる。仮に、やりたいと思っても、何をしていいかわからない、といった事情が重なるからなのです。この悪循環が続くと、勉強は確実にできなくなっていきます。
勉強ができないことを放っておくことは好ましくありません。それでは、アスペルガー症候群の子供の特徴に適した学習方法とは何でしょうか。
一般にアスペルガー症候群の子供には、全教科ができるようになるよりは、特定分野が抜群にできるようになる傾向があります。規則に従って、細かいことを積み上げていくことは得意でも、自分の頭で考えて行動することは苦手です。そして、興味のある分野には、圧倒的な力を発揮します。つまり、これらの特徴をうまく活かすことができれば、かなりの可能性を引き出すことができるのです。
アスペルガーの子供は、得意と苦手の差が激しく、苦手教科はどんなに勉強しても合格点を取れないことがあります。本人は努力しているのですから、これを叱ることは禁物です。できない教科については、努力したことを評価してあげましょう。全教科が均一にできるようになることは難しいのだと認識してください。得意な教科は、心の支えとなり、自信を育むもとになります。このことは心理的な不適応=二次障害の予防にもなります。自信がないまま大人になると、職場不適応やニートになってしまうような二次障害も起こりえます。
得意教科は人それぞれ違うものですが、ある教科が得意になるには、小さい頃に何かしらのきっかけがあったという人が多いようです。歴史小説を読み漁っていて、歴史が得意になった人もいるでしょう。
子供の興味が見つかったら、それをどんどん伸ばせる環境を築いてあげるのが、親にできることです。好きなことは、次第によくできるようになり、興味の範囲が広がって、得意分野も広がっていきます。こうして勉強や仕事の可能性も広がっていくのです。ただ、親が間違った対応で子供のできないことに焦点を当て、子供の努力を誉めなかったら、子供のやる気は確実に失われていきます。
アスペルガーや自閉症児は視覚優位の方が多く、目で見た情報の方が、耳からの情報よりも取り入れやすい特徴があります。山下清氏が旅先で見た光景をそっくりそのまま記憶して帰り、何の画像も見ずに貼り絵を作ったことは有名です。したがって勉強法でも、教師の口頭の説明よりも、画像や文字の方が理解しやすい傾向にあります。
アスペルガー症候群の子供には、その子供の興味を活かしてそれを伸ばすこと、努力を評価すること、視覚的優位性を活かすこと、自信を育むことが必要です。