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面白ハンター

アジア諸国に滞在して、ノマドワークしてる23歳。講演・講師もやってます。札幌市民で北大卒。趣味は投資と読書。4月は台北に滞在します!

異国の地で、女性に告白された話


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台北滞在中に、アプリを通じてとっても仲良くなった女の子がいました。

1回目に会った時には、美術展示会や夜市に行きました。2回目は、2人で映画を見たあと、夜の公園で何時間もお話しました。

彼女は日本語を勉強していて、日本でのワーホリを計画しています。僕は台湾の友達が欲しい(あわよくば台湾美人)と思ってました。

初めて会った時、「あなたの英語、全然わからない」と言われて焦りましたけど、会話を重ねるごとに僕らは意気投合しました。

気付けば、悩み事・将来・恋愛話など、人にはなかなか話せないことまで話していました。

 

そして、3回目。

次の日に台湾を経つので、今後はしばらく会えなくなります。僕は台北で一番好きなスポット「猫空」に彼女を誘いました。

 

▼猫空についてはここに書いてます。 

台北No.1の絶景!猫空(マオコン)の行き方と楽しみ方 

 

猫空では茶畑を散歩したり、高台にあるレストランで食事をしたりしました。この日は偶然にも彼女の誕生日だったので、ささやかなプレゼントも渡しました。

彼女は明るくて口数が多いのですが、時折、全く喋らなくなる瞬間があります。

「どうしたの?」と聞くと、「小さな幸せを噛み締めているの」と答えてくれました。この日、彼女は何度も黙り込みました。

 

1つ質問があるんだけど

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3回目も楽しい1日を過ごせました。

猫空の夜は静かで透き通っていました。そろそろ帰る時間、そしてお別れの時間です。

台北市内に戻るゴンドラを待ちながら、「最後に1つ質問があるんだけど」と彼女に話しかけられました。「うん、なに?」と聞き返す声色は自然だったでしょうか。

僕にはわかりました。きっと大事な質問をされるに違いないと。

彼女はゆっくりと英単語を並べました。リスニングが苦手な僕が一度で理解できるように。

 

「私たちの関係はこれからどうなるの?」

 

そうだよね。いつかこの質問をされることを理解していたのかもしれません。彼女が僕の腕を掴むのを振り払いはしなかったし、彼女の好意は感じ取っていました。

でも、返す言葉が見つかりませんでした。

 

「ガールフレンドになりたいってこと?」

「決まってるでょ」

「そっか…」

 

それから数分の沈黙を過ごしながら、僕らはゴンドラに乗りました。ゴンドラから見下ろす台北の夜景がやけに神々しく見えました。

長い沈黙に耐えかねたのもあって、僕はパッと思い浮かんだ言葉を伝えることにしました。

 

「君のことは好きだよ。だけど僕は君のボーイフレンドにはなれないんだ」

「…どうして?」

「だって、僕は明日台北からいなくなるし、次いつ台北に来るかもわからないんだよ」

「答えになってない」

「え?」

「どうして難しく考えるの?」

「難しく…」

 

彼女は少し不機嫌になったように見えました。それは言葉ではなく、彼女の目、表情、声の色、話すスピードからわかります。

 

「シンプルに考えてよ。好きか好きじゃないかだけじゃない」

「それは好きだよ」

「じゃぁボーイフレンドになれるんじゃないの?台湾にいるとかいないとか、遠距離だとか関係ないじゃない」

「うん…」

「私は、あなたは私のことをそんなに好きじゃないんだと思う。違う?」

「違う…」

「全然わかんない。はっきり言ってよ。あなたの答えはしっかり受け止めるから」

 

彼女は明らかに怒っていました。彼女は嘘が嫌いです。自分を取り繕って良く見せようとするのも嫌い。はっきりしないのも嫌い。

台湾の女の子は気持ちいいくらいにサバサバしています。対照的に僕はどこまでもはっきりとしない優柔不断な男です。

 

「ねぇ、私のことそんなに好きじゃ…」

「わかった言うよ。君のことはあまり好きじゃない」

「…うん、わかった。ありがとう」

「…」

 

今思うと、面と向かって「君のことはあまり好きじゃない」なんて言うのは初めてかもしれません。僕はその言葉を口にした瞬間、自分の心が少し傷つくのを感じました。

「ありがとう」と言い残した彼女は、夜景を見つめて何も喋らなくなりました。その表情はやけにスッキリしたように見えました。

 

あなたの嘘は大嫌い 

僕はそのとき気づきました。

相手を傷つけないようにと、自分の気持ちをごまかすことは、自分を傷つけないためのわがままでしかないのだと。

「好きじゃない」と言われた彼女はすっきりとしていて、僕はやけに落ち込みました。伝える方が辛いこともある。でも逃げちゃいけない。はっきりしなかった僕に責任があるから。

 

彼女とは最低限の言葉しか交わせず、そのまま駅でお別れしました。「最後にありがとうって言うのは禁止ね」と言うので、僕らは「バイバイ」と手を振るだけでした。

立ち去る彼女を見送りながら、自分の未熟さと浅はかさを感じました。

彼女がいなくなった後、僕は駅のベンチに1人で座って、別れ際に言われた言葉を頭の中でリピートします。

「あなたは好きだけど、あなたの嘘は大嫌い」

この言葉を受け入れるまでに地下鉄が3本、僕の目の前を通り過ぎました。