「もう完全に吹っ切れたみたいで、明るく、伸び伸び仕事をされていますよ」(出版関係者)
2020年東京五輪エンブレムのパクリ疑惑で、世間を騒がせた「サノケン」こと佐野研二郎氏(44歳)。そんな彼が、女性誌『VERY』(5月号・光文社)に掲載されている社会学者・古市憲寿氏の連載コラムのデザインを手がけた。
「二人は盗作騒動後に、古市さんの誕生会で出会って意気投合。古市さんの希望もあり、デザインを佐野さんにお願いすることになったらしいです。誌面のデザインがフェイスブックの『いいね!』マークに似ているって?さすがにもうパクらないでしょう(笑)」(前出の関係者)
佐野氏は3月に発売された男性向け情報誌『BRUTUS(ブルータス)』にも登場。高級鮨店のカウンターでビシッとポーズを決め、盃を傾ける写真が掲載されている(撮影は篠山紀信氏)。
さらに今年の8月には映画『君の名は。』を手掛けた東宝のエースプロデューサー・川村元気氏との共著絵本『ティニー ふうせんいぬのものがたり』の映画化も決定。
まるであのパクリ疑惑は「なかった」かのようにすこぶる仕事は順調だ。
実は去年ごろから徐々に、復活の兆しは見えていた。
「昨年秋、宇多田ヒカルが出演し話題になったサントリーの『南アルプス天然水』のCMにサノケンが関わっていたのです。五輪ロゴの盗作騒動の際、彼がデザインしたサントリーのトートバッグにもパクリ疑惑が浮上し、大騒動になったはずなのに、また仕事を頼んだのには正直驚きました」(広告業界関係者)
サントリー食品にその件を問い合わせると、広報部から返答があった。
「トートバッグの件についてのコメントは差し控えますが、現在の仕事はあくまで佐野さん個人のクリエイティブ能力を評価しての起用です」
デザイン評論家の柏木博氏が語る。
「私が聞いた限りでは佐野さんはすごく社交的で、クライアントの依頼に忠実な人のようです。そういった仕事のしやすさが評価され騒動後もオファーが来ているのでしょう」
元々、佐野氏は博報堂出身だけあって、デザインより「営業力」の人物とも言われていた。
さらに休職していた多摩美術大学の教授職にも復帰していることが判明した。同大学の企画総務課の担当者が言う。
「4月から本学の専任の教授として専門科目で教鞭をとってもらっています。特に学生に混乱などはありません」
本誌は佐野氏本人に話を聞こうと事務所を訪れたが、「せっかく御足労いただいたのにすみませんが、取材はお受けできません」と、やんわりと断られた。現在、佐野氏は会社にもしっかり顔を出しているようで、事務所も活気にあふれていた。
以前「デザイナーとして五輪に関わるのが夢」と語っていた佐野氏。その夢は、まだ諦めていないのかもしれない。
「週刊現代」2017年5月6日・13日合併号より