ディープな横須賀を味わうなら「どぶ板通り商店街」がおすすめ!

2017.05.05

海軍の街、横須賀。その歴史は古く、江戸時代は幕末から日本の軍港として発展してきました。現在は、米国海軍第7艦隊のベースや海上自衛隊の基地があり、海兵たちや、その異国情緒溢れる街並みを見に来た観光客で賑わっています。そんな横須賀のアメリカンな魅力をたっぷりと堪能できるのが「どぶ板通り商店街」。ディープな横須賀を感じに、どぶ板通り商店街へ行ってみました。

ジャズ文化が根付く街、横須賀

通称「どぶ板通り商店街」とは、京急本線・汐入(しおいり)駅から米国海軍ベースまでのあいだにあるエリアのことを指します。正しい地名は横須賀本町。横須賀が帝国海軍の軍港として発展し始めた明治時代には、通りにどぶ川が流れていたのだそうです。往来の邪魔であるため海軍工廠(こうしょう:軍隊直属の軍需工場)から厚い鉄板をもらい、どぶ川に蓋をしたことからこのように呼ばれるようになったといいます。

汐入駅から歩くこと1、2分。商店街の入口が見えてきました。
目に飛び込んできたのは、鮮やかな色の英語の看板。今まで日本の通りを歩いていたはずなのに、ここから先は海外の街であるかのような不思議な感覚になります。
商店街の街灯には、可愛らしいデザインの旗がありました。日本におけるジャズ発祥の街としても有名な横須賀。終戦直後、米海軍下士官兵集会所であるEMクラブ(現在の横須賀芸術劇場がある場所にあった建物)は本場のジャズに触れられる貴重な場所だったのだとか。現在でも横須賀には沢山のジャズバーやジャズ喫茶が残っています。
▲トランペットが描かれた排水口。こんなところにもジャズの要素が

昔から多くの人びとに愛されてきたどぶ板通り商店街。通りには有名人の手形のレリーフかあります。こちらはその案内板です。
もちろんお店の看板も個性派ぞろい。ただ歩いているだけでも面白くなってきますね。
▲こちらは実際に海軍や空軍で使われていたグッズがそろうミリタリーショップ。店頭を飾るにぎやかな看板のネオンにつられ、ついつい立ち寄りたくなる

「TSUNAMI」で横須賀のグルメを満喫!

2、3分すると見えてきたのが、地元の人にも人気のレストラン「TSUNAMI」です。こちらでは横須賀3大グルメと言われる「ヨコスカネイビーバーガー」、「よこすか海軍カレー」「ヨコスカチェリーチーズケーキ」を一度にいただくことができるんです!
▲インパクト大なオブジェたちが並ぶ店の入口
アメリカンな店内には、ビリヤード台やダーツボードなどがあり、異国情緒たっぷり。アメリカ人のお客さんも多いようです。
元はサーフショップだった店舗をサーフィン好きのオーナーがレストランとして改装したTSUNAMI。お店の中のいたるところにサーフボードが飾られています。

それではさっそく横須賀グルメ「ヨコスカネイビーバーガー」をいただきましょう。

米国海軍横須賀基地より提供された伝統的なレシピで作るこのハンバーガーは、つなぎを使用しない100%のビーフを170g以上使用したボリュームたっぷりの一品。ここTUNAMIでは、約8種類ものネイビーバーガーが用意されています。本日いただくのは人気メニューの一つ「GW(ジョージ・ワシントン)バーガー(1,836円・税込)」です。
ど~ん、とお皿にのって運ばれてきたのがこちらです!
ハーフポンド(227g)のパティにチーズ、ベーコン、レタス、ピクルスなどを挟んだ総量500gもの「GWバーガー」。2008年から2015年まで横須賀に配備されていた空母、ジョージ・ワシントンにちなんで名付けられたこのハンバーガーは、名前通りの重量級です。

せっかくなのでお店の方に教えていただいたアメリカンスタイルでいただきたいと思います。

まず、上のバンズを外します。
次に、テーブルに置いてあるケチャップとマスタードで自分好みの味付けにします。
さいごは、そのままかぶりつきます!
ひとくちいただくと、口のなかにジュワーっとお肉の旨みが広がります。本場の味を日本で堪能できるなんて素晴らしいですね!

次に運ばれてきたのが、「よこすか海軍カレー(1,404円・税込)」。明治41(1908)年に発行された『海軍割烹術参考書』にのっている日本海軍のカレーライスのレシピを元に復元されたカレーです。
サラダと牛乳付きなのもなんだか海軍らしいですね!いただいてみると、調度いい辛さと、野菜やお肉の旨みたっぷりのルーが絶品です。ゴロゴロと大きめの具が入っているところも大満足の一品でした。

最後は「ヨコスカチェリーチーズケーキ(864円・税込)」をいただきます。
チーズをふんだんに使用した濃厚でクリーミーなチーズケーキ。ボリュームたっぷりなのにペロッといただけてしまう美味しさです。こちらも米国海軍プロデュースのレシピで、上にさくらんぼ(桜=日本の国花の一つ)がのっているのは、日米友好の印なのだそうです。

夜はバーとして賑わうこちらのお店。横須賀で何を食べようか迷ったときは、ぜひ立ち寄ってみてください。

横須賀と言えばスカジャン!老舗店を直撃

続いて訪れたのは、ヨコスカを代表するファッション、スカジャンのお店です。
▲昭和22(1947)年からこの地で営業を続けている老舗店「プリンス商会」

店内には、ところせましとスカジャンが並べられていました。完全オーダーメイドで一つ一つの刺繍をほどこしており、その精密さや美しさは日本人や米兵にも高い人気を誇っています。現在は予約待ちで品薄状態なのだとか。
もともとは、横須賀に駐屯していたアメリカ人兵士が自分のジャケットに和柄や部隊のエンブレムの刺繍をオーダーしたのが起源だと言われているスカジャン。駐屯軍が引き上げた昭和48(1973)年くらいには下火になってしまったそうですが、その後ジーンズが流行るにつれて、それと相性が良いスカジャンも日本人を中心に流行り、人気を取り戻していったといいます。
生地も刺繍も多数ある色の糸のなかから気に入ったものを選ぶことができます。作成期間は1週間ほど。お値段は16,800円(税込)からの受付です。
細かい部分まで、その質感を表現した刺繍は素晴らしいの一言。職人技に舌を巻きます。横須賀を訪れた記念にぜひ作ってみてはいかがでしょうか?

地元の人達と気軽に交流できる「ヒデヨシ商店」

もう一軒「横須賀らしい面白い酒屋がある」と聞いて訪れたのが、どぶ板通り商店街から汐入駅方面に3分程歩いた場所にある「ヒデヨシ商店」です。レトロな外観に期待がグッと高まります。
お昼近くだというのにお店には沢山のお客さんがいました。アメリカ人の方が多いようですね。
▲非番の海兵や海外からの観光客で賑わう店内。店内のお酒を立ち飲みで楽しめる
お店に入って圧倒されるのが、店内のいたるところに貼られた米ドル札。商品棚もこの通り。
上を見上げると天井まで!これは一体なんなのでしょうか?ボトルキープにしては、いろんな場所に貼りすぎですよね。
「アメリカでは1ドル札に自分の名前や、故郷の都市名、船の名前を書いて、ここに来たんだよ!という証を残す習慣があるんです」と教えてくれたのは、飲みに来ていた海兵さん。確かによく見ると名前や都市名が描かれたものが多いようです。
▲任期を終えて本国に戻る人も記念に1ドル札を置いていくそう

人気の飲み屋のような賑いをみせる「ヒデヨシ商店」ですが、こちらは地元の酒屋さん。ビールだけでも大瓶(390円・税込)、中瓶(350円・税込)、小瓶(250円・税込)がある素晴らしい品揃えです。ビール以外にも日本酒や焼酎など日本らしいお酒が揃っています。

おつまみも乾き物や、缶詰、おでんなど品揃え豊富で全て100円台。お財布にやさしいお店です。
どこかレトロな雰囲気もいいですね。せっかくなので一杯頼むことにしました。
▲日本酒(250円・税込)とチーズの蓋に載せられて提供される柿ピー(110円・税込)

まるで家飲みのような提供方法も、地元の酒屋さんらしくてよし!美味しいお酒を好きなだけリーズナブルにいただけるこちらのお店。昔ながらのご近所さんのようなフレンドリーでオープンなところも多くの人を引きつけてやまない理由の一つなのかもしれません。
ほろ酔い気分でどぶ板通り商店街に戻ると、昼とはガラッと変わった雰囲気に。華やかなネオンが店先を照らし、往来を歩く人の数も多くなります。18:00くらいからオープンするお店も多いようです。
▲昼間とはちがった魅力が感じられる夜のどぶ板通り商店街

日本とアメリカの文化が融合したようなディープな雰囲気が素晴らしいどぶ板通り商店街。都心から約1時間で行けるところもうれしいですよね。おしゃれなレストランもいいですが、たまには簡単に行けるリトルアメリカを旅してみるのもいいかもしれません。
立岡美佐子

立岡美佐子

編集プロダクション・エフェクト所属の編集者&ライター。好きなものは、旅行とごはん。おいしいものやステキな景色のためならば、日本といわず世界各国どこへでも! 住まい、旅、食、街などジャンルを問わず執筆中です。 編集:山葉のぶゆき(エフェクト)

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