中学生プロ棋士・藤井聡太四段からみる「天才の育て方」の3つのヒント

14歳の中学生で史上最年少プロ棋士、藤井聡太四段が最近世間を大変にぎわせていますね。

それもそのはず、5月4日に大阪で行われた第48期新人王戦トーナメント3回戦で、最強のアマとも呼び声のある横山大樹さん(26)を100手で破り、昨年12月のプロデビュー以来、負け無しの16連勝を飾ったからです。

藤井聡太四段はどんな人物なのか、どのように育てきたのかなど、様々なエピソードが多くのメディアで取り上げられています。

その中で「天才の育て方」のヒントを3つ見つけました。

以下に紹介したいと思います。

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1.幼少期に「可能性を与える」

藤井四段はごく一般的な家庭で育ち、両親が将棋を教えたわけではないらしいです。もともと集中力があり、関心を持ったものは飽きずにとことん遊んでいたということなのですが、どんなものに関心をもったのでしょうか?

(1) 積み木型パズル「キュボロ」

1つ目は、まだ将棋を知る前の4歳のとき、父親が買ってきてくれた積み木型パズル「キュボロ」という木製のおもちゃ。キュボロにはまって何時間も遊んでいたようです。

母親いわく、

やり始めたらとことんやるその集中力は最初からありました

どんな玩具か簡単に説明すると、穴の空いた四角いブロックを何個か組み上げて、上からビー玉を転がして遊ぶおもちゃで、先を見通す力がないと上手く組み立てられないというもの。

穴どうしをつなげてトンネルを作るように組み立てていかないと、ビー玉が途中で止まってしまい下まで転がって来ないわけです。

どの向きで、どのように置いて組み立てていけばビー玉が転がって落ちてくるのか、よく考えて遊ぶことで「先を見通す力」が育まれたのでしょう。

飽きずに1日中遊んでいたということですから、どれだけ鍛えられたか想像を超えそうですね。

(2) 将棋

藤井四段が将棋を始めたのは5歳のとき。

祖母が持ってきた「スタディ将棋」という、将棋の駒に動き方が矢印で書いてあってわかりやすく遊べる玩具がきっかけだったらしい。

初めは祖母と遊んで対局していたが、祖母が相手にならなくなったので、家族でただひとり将棋がわかる祖父が相手をしたようです。でも、そのうち祖父も相手にならなくなって、近所の将棋教室に通うようになったということです。

ちなみに、祖母はこの「スタディ将棋」を親戚や他の子どもたちにも与えてみたそうですが、関心を持ったのは藤井四段だけだったよう。

夏・冬の将棋合宿では詰将棋を多くやっていて、「考えすぎて頭が割れそう」という天才的な発言をしています。この頃にはすでに詰将棋が好きだったみたいで、自分で考えるという体験を繰り返していたと考えられますね。

ここで大事なのは、藤井四段の幼少期の環境です。

初めから集中力があったとのことですが、「キュボロ」も「スタディ将棋」もハマってしまって1日中遊ぶ子どもはある程度はいそうです。しかし、子どもが2,3日で飽きてしまうとか、家族が止めさせてしまうようなことがよくあり得ると思います。

特に、お父さんもお母さんも仕事をしていて、帰宅すると家事や育児で日頃からストレスが溜まってイライラ状態のような場合、子どもに同じおもちゃでずっと遊ばせるということができないのではないでしょうか?

自分のことが精一杯で、心の余裕がないからです。

藤井四段の場合は、後述しますが、寛大なご両親のようですし、祖父母が関わったということが大きかったのではないでしょうか。将棋は相手が必要なので、おそらくおじいちゃんとおばあちゃんが優しく遊んで下さったのでしょう。

放送作家の安達元一氏はこのように述べています。

 子供を天才に育てるには「可能性を与える」のが大切ではないかということだ。将棋玩具も、立体パズルも、興味を持つかどうかわからないがやらせてみる。その子の中に潜む「興味のスイッチ」を、いかに刺激できるかを試行錯誤するのが、天才を育てるひとつの要因と思われる。

以上から、藤井四段には将棋人生の「可能性を与える」環境が幼少期にととのっていて、天才を育てる何かが育まれたということができそうですね。

2.師匠の接し方

藤井聡太四段は、小4のときにプロ棋士を目指して登竜門である「奨励会」に入り、杉本昌隆七段に弟子入りしました。

入門初日に対局して、一局目にハンデなしで師匠に勝利したが、あまり喜ぶ様子もなかったらしい。二局目には師匠が勝ち、引き分けにしようかと言ったら悔しがって号泣したとのことです。

私が勝ってこの世の終わりみたいに落ち込んでいました。

杉本七段はこのように振り返って、わずか小4の子供がプロに負けて悔しがる姿に逆にすごさを感じたといいいます。

(1) 師匠と弟子の信頼関係

前述の、新人王戦直後のインタビューで藤井四段は以下のように言っています。

 途中、苦しい将棋もたくさんあったので16連勝できたのは本当に幸運だと思います。タイトルを獲得するのは当然目標になるがまずは一歩一歩実力をつえけていきたい。

この対戦のあと、師匠あてにこのようなメールが届きました。

苦しいけど受け止められると思いました。

これを読んだ師匠の杉本七段はこのように話しています。

何とかなりそうだというニュアンスのことが書いてありました。

苦しい場面があったという思いを、藤井四段は師匠にわざわざ伝えています。自分の弱い心境を話せるほどの信頼関係ができていないと、こんなことはできませんよね。

(2) 師匠が教えたことは…「特になし」

5月5日放送のTBS系「ひるおび!」に出演した杉本七段は、「師匠が教えたことは?」という問に対して、次のように答えています。

特になし。それにはワケが…

司会者の恵さんがツッコんで聞いてみると、

 藤井の場合、持っている才能が私たちプロから見ても羨ましいぐらいのものがありましたので、常識的な教えはかえってやらない方がいいかなと思って、あまり技術的なことは控えめにしました。

これについても、放送作家の安達元一氏はこのように述べています。

才能を見抜いた師匠の眼力が今の藤井四段を形成したと言えそうだ。

常識はずれの天才に、常識的な教えは必要なさそうですね。杉本七段の適切な指導が天才を育てたことは言うまでもありません。

ちなみに、”天才”藤井が育った環境について、師匠はこのように言っています。

 藤井の親御さんは『子どものやりたいようにやらせる。親は見守る』という姿勢。とても懸命だと思った。

師匠とご両親の、藤井四段に対する接し方や姿勢を改めてみてみると、1つめの「可能性を与える」ということにもつながってきますね。

家族の接し方

子どもを天才に育てる秘訣を、母親のインビューから見つけることができます。

 月に2回、名古屋から新幹線に乗って大阪の関西将棋連盟に通っていました。朝4時半に起きて朝食の準備をして、5時に聡太に食べさせて・・・。8時には将棋会館に到着するように、5時半には自宅を出発していました。

やはり、子どものために早起きして朝食の準備をして、送り迎えをして…、というのは必要なのですね。これなら多くの親御さんが毎日ご苦労されていると思いますが、何か異なることがあるのでしょうか?

奨励会で6連敗したときのこと。

 会館の中では悔しさを胸の内におさめていたんだと思いますが、私と一緒に会館を出たとたんに、もう大泣き。自信を失っていたんだと思います。でも、私は、聡太の気が済むまで黙って見守るしかありません。それでも一緒に悲しんでいるつもりなんですが、聡太は『お母さん、ボクが負けると機嫌悪いよね』って言うんですよ(苦笑)。

「気が済むまで黙って見守る」ことが、案外できないのではないでしょうか?つい慰めようと声をかけたり、アドバイスをしたりしていまいませんか。はたまた、その日の気分で感情的になり、説教してしまうことも。

放送作家の安達元一氏は以下のように言っています。

 つまり、「寄り添う」ということなのだ。

 親の気持ちというのは、言葉で伝えるばかりではない。いやむしろ言葉以外、寄り添う態度で伝える事が重要なようだ。「なにがあってもこの親は私を応援してくれる、守ってくれる」という無償の安心感を伝えることが、子供を天才に育てるのではないだろうか。

「寄り添う」ことで無償の安心感を伝えることができる。なんか心強いことばでもありますね。思春期の子どもをもつ親にとっては、たとえ会話が少なくても「寄り添う」ことで無償の安心感を伝えていたいものですね。

また、藤井四段の母親はこんな言葉も残しています。

 プロは厳しい世界。最年少だからといって、勝てる保証はありません。でも、本人が選んだ道だから、私は応援するだけ。聡太が勝つ姿が見たいです。

はやり、ただ見守ることが、

すなわち、ただ「寄り添う」ことが天才を育てる要因だと言えそうですね。

まとめ

藤井聡太四段の育った環境を紐解いてみると、「天才を育てる」ためには次の3つをヒントにするといいようです。

  1. 幼少期に「可能性を与える」
  2. 師匠は「特に指導はしない」
  3. 親は「寄り添うだけ」

偉大な文化人、有名人、輝かしいスポーツ選手など、数多くの天才が存在し、これまでに幾つもの「天才の育て方」が公開されています。

今回は、史上最年少の14歳でプロ棋士になり、デビュー以来無敗の16連勝している藤井聡太四段の秘密を紐解いてみました。

ちなみに、

50m走は6秒8(中2時)

だそうです。球技は得意ではないようですが、足は速いんですね。幼少期に、外ではどのように遊んでいたのか、非常に気になるところです。

ここまで読んで下さってありがとうございました。
あなたの子育ての参考になれば幸いです。

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