【ワシントン=共同】米国際貿易委員会(ITC)は5日、日本や韓国など8カ国・地域で生産された鉄鋼製品が不当に安い価格で米国に輸入され、国内の産業に被害が出ていると認定した。反ダンピング(不当廉売)関税を課すとした商務省の3月の決定が確定した。トランプ政権発足後、日本製品への制裁関税が最終決定したのは初めて。
ITCは証拠に基づいて公正に判断する独立機関。2月には、中国で生産された大型タイヤが米国に不当に安く輸出されているとする米商務省の主張を認めない決定を下し、制裁関税に待ったを掛けた。
制裁関税の対象は建造物や機械部品などに使われる炭素鋼や合金鋼。日本メーカーへの反ダンピング関税の税率はJFEスチールが48.67%、東京製鉄が14.79%など。
最も税率が高いのはフランスのメーカーに対する148.02%で、韓国勢には反ダンピング関税に加えて、政府の補助金分に相当する相殺関税も課す。ほかの対象国・地域はオーストリア、ベルギー、ドイツ、イタリア、台湾。
JFEスチールは6日、「日本の鉄鋼業が米国に損害を与えているという認識はなく、極めて遺憾だ」(広報室)とコメントした。
米国の日本に対する貿易赤字が3月に急増し、ロス米商務長官は今月4日、赤字急増に「米国はこれ以上耐えられない」とする異例の声明を発表した。赤字削減に向け、不公正貿易に厳しい態度で臨むとしている。
商務省によると、米国は2015年に日本から7万1200トン、約5500万ドル(約62億円)相当の炭素鋼や合金鋼を輸入。8カ国・地域では韓国からが最も多く30万トンだった。