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 世界遺産「沖ノ島」が、ようやく見えてきた。ただし、大島(宗像市)や本土の、当初の半数にあたる関連資産4件を除く、という厳しい「条件付き」。すべての構成資産は切り離せないとの認識のもと、一枚岩で取り組んできた地元関係者には、喜びの一方で戸惑いが広がる。

 国家祭祀(さいし)が500年もの間続き、その痕跡が千年もの間守られてきた「沖ノ島」は、祭政一致から始まった古代社会の成長過程を示す縮図といえる。遺跡で出土した奉納品は8万点。国産品はもちろん朝鮮半島や中国、果てはシルクロードにいたる国際色豊かな品々で、すべて国宝だ。

 世界の専門家集団がこの島に「顕著な普遍的価値」を認めたのは喜ばしい。だが一方で、信仰を今に伝える中津宮や辺津宮、祭祀を支えた宗像族の古墳群などにはそれを認めず、推薦国日本とイコモスの間にある大きな価値観のずれが表面化した。

 「条件付き」登録勧告の先例は…

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