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2017年5月6日(土)

【電撃PS】高橋慶太氏のコラム『電撃ゲームとか通信。』全文掲載。『ゼルダの伝説』やってます。

文:電撃PlayStation

 電撃PSで連載している高橋慶太氏のコラム『電撃ゲームとか通信。』。ゲームデザイナーとしての日常や、ゲーム開発にまつわるエピソードを毎号掲載しています。

『電撃ゲームとか通信。』
『電撃ゲームとか通信。』

高橋慶太氏PROFILE

 バンダイナムコゲームス(現BNE)時代に『塊魂』、『のびのびBOY』を制作。その後『Tenya Wanya Teens』を発表。現在は新作『Wattam』と、GoogleのARプロジェクト“Tango”向けに『WOORLD』を開発中。

 この記事では、電撃PS Vol.637(2017年4月27日発売号)のコラムを全文掲載!

『電撃ゲームとか通信。』

第九十一回:『ゼルダの伝説』やってます。といってもファミコンミニで初代のほうを。

 どうも。最近は『ゼルダの伝説 Breath of the Wild』(以下BoTW)ではなく、もっぱら初代『ゼルダの伝説』をファミコンミニで遊んでる高橋です。

 ここアメリカでは依然としてNintendo Switchを手に入れるのは容易ではなく、アマゾンを覗いてもいまだに通常の値段以上で取引されています。そんな訳で仕方なしに初代を遊んでいる、ってことではないんだけど、ファミコンミニのタイトルセレクト画面にある初代『ゼルダ』を見て、初代『FF』や初代『ドラクエ』はクリアした記憶はあるのに、『ゼルダ』に関しては記憶にないことに気づいたのです。

 自分的には遊んでクリアしたつもりだったんだけど、おそらくそれは偽りの記憶。それもそのはず、ゼルダはディスクシステムでリリースゲームでした。ファミコン本体(当時14,800円)を買ってもらうだけでも大変だったのに、さらに本体より高価なディスクシステム(当時15,000円)を手に入れるのは自分には無理でした。

 丁寧に記憶を紐解けば、ファミコン友達の相川くん家でちょろっと遊んだだけでした。しかし、ここアメリカではディスクシステムではなく通常カートリッジで発売されたらしく、自分のようなディスクシステム難民はあまりいなかった様子。

 同僚にダンジョンが見つからないと話すと、つい先日まで遊んでいたかのように多分あそこにあるはず、と教えてくれたのでした(結果的にそれは間違ってたけど)。

 と言うわけで他のゲームで遊びたい!と子供に文句を言われながらも初代ゼルダをファミコンミニでスタート。スタート地点には洞窟があり、そこに入るとおじいさんから茶色の剣をもらえました。

 そのあとは、広大なマップを歩きながら時々見かける洞窟に入ってはヒントを聞き、次にどこに行けば良いかを探り当てるわけですが、、、これがノーヒントすぎて結構難しい。どうやら当時は説明書の中にハイラルのマップが載ってて、それを見ながらゲームを進めることができたらしいのですが、今のファミコンミニにはそんなの無い。

 ゲーム画面左上にはマップがあるんだけど具体的な情報は全く無く、ただの灰色の長方形でマップの広さと、今自分がどこにいるかがわかるのみ。

 ネットでのカンニングはしたくないので、当時のプレイヤーに比べても難易度的には“ハード”。しかもダンジョンでは思った以上にアクション/シューティングゲームなのでファミコンミニの小さいコントローラーでは敵の攻撃を避けたりするのが難しい。と、文句ばかり言ってるけど、この初代ゼルダのオープンワールドっぷりには少々驚いてます。

 もちろん今のゲームほどではないですが、序盤のダンジョンに関していえばどれから攻略しても問題ないのです。レベル1のダンジョンをクリア後にたまたま見つけたレベル3のダンジョンを無事に攻略できちゃった。そんなこんなで、毎日遊べてるわけではないのですが、Switchの発売と同時に始めたのにまだガノンは倒せてません。

 そして話題は全然変わって絵本の話。子供がいるからってわけではないんだけど、本屋で絵本を見るのが好きです。絵が良くても話が自分の想像していたのと違ったりすると、残念。

 そしてその逆もあるわけで、自分が好きなもので子供にも読ませてあげたいと思える絵本を見つけることはなかなか難しいんだけど、先日見つけてつい買ってしまったのがJonAgeeさん作「Life on Mars」。

 絵もいいんだけど、話が自分の好み。火星に生物が住んでいると信じている宇宙飛行士のお話。ケーキ持参で火星についたけど、探しているうちに道に迷ったし持ってきたケーキも無くしちゃった。どうしよう、と困ってるところに火星で咲いているお花を発見。

 おお、これは新発見だ、やっぱり生物は存在しているんだと興奮して近くの山に登ると宇宙船を見つけることができて無事に地球へ帰ることができたという話。ただ、これは彼自身は全く気づいてないけど、彼の背後では大きな赤い生き物が彼に気づかれないようにお花を置いたり、宇宙船のある場所をわかりやすいように見せたりして、あの宇宙飛行士を無事に地球へ戻しているのです。

 そしてもう1つの好きな絵本はMac Barnettさん作 Jon Klasseneさん絵の 「Diga Hole」。これは2人と一匹の犬が宝物を目指して穴を掘っていく話なんだけど、あとちょっと掘り続ければ宝石にぶち当たる寸前で右に曲がったり、2手に分かれて掘っていくとその間に大きな宝石があったりと、全ての選択が裏目裏目にでると言う話。

 正確に言うと両者の方向性は若干異なるけど、“主人公が全く気づかないまま話が進んでいく感じ”が自分のツボであることに気づいたのです。ただこの感覚をビデオゲームで再現するとなると、難しいかも。なんでもかんでもゲームで表現できないのは知ってるけど、例としてあげるなら今回の『BoTW』。

 まだ遊んでない自分が無責任に言っちゃうと、クオリティ的には悔しいほどに素晴らしいレベルで様々なことを成し遂げてると思うけど、見比べるほどに初代の持っていた新しさが改めて感じられるものになってると思います。

 とあるメディアの開発者インタビューでは“原点回帰”という言葉を使って説明しているのはある意味納得。ゼルダのような大型タイトルに根本のメカニックを覆すほどの新規性を望んでいる自分が間違っているんだけど、いくら素晴らしいクオリティだとしても戦うことがベースになっているゲームに食傷気味かもしれません。

 そこから戦い要素を排除していくと大抵パズル要素が強くなりがちなんだけど、それもお腹いっぱい。さっきの絵本のような“遊んでる本人が気づかないまま進んでる感”を見事に再現しているゲームがあったら、すぐ飛びつくと思うけど、、、いやいや、そういうものを他人に頼らずに自分でつくるのが自分の役割なんだろうなー、と思う今日この頃です。

(C) Keita Takahashi

データ

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■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2017年4月27日
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