ユキノカサ 『雪の笠』
Acmaea pallida (=Patella lamanonii)
殻長56㎜
産地 稚内,礼文,苫前,小平,小樽,新ひだか,えりも,釧路
解説 殻は大型で厚質。一般に殻高は高いが,低いものから著しく高いものまで様々。殻頂は殻のほぼ中央に位置する。殻表には20~30本の太い放射肋と多数の細肋があり,成長線と交差し凹凸が激しい。放射肋は突出し,殻縁をギザギザに縁取る。純白色。鹿島灘・富山県以北に分布する。潮間帯下部~水深20mの岩礁に棲む。
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エゾノハナガサ 『蝦夷の花笠』
Erginus sybaritica
殻長13㎜
産地 釧路
解説 殻は小型で壊れやすい。円形で一般に殻高は高く,殻頂は殻のほぼ中央に位置する。殻表は平滑。殻色は薄紅色で,殻頂から殻縁にかけて不均等な濃紅色の放射帯が多数出る。内面も薄紅色で,殻表の放射彩に応じた模様となる。函館・稚内以北に分布する。干潮線下部~水深10mの,昆布に覆われた無節石灰藻上に棲む。
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シロガイ 『白貝』
Lottia cassis (=Collisella pelta shirogai)
殻長35㎜
産地 留萌,小樽,新ひだか,えりも,釧路,厚岸
解説 殻は中型で厚く,堅固。一般に殻高は高く,殻頂は殻のほぼ中央に位置する。不規則でまばらな放射肋があるが,殻表はほぼ平滑。殻表は濃褐色だが,成貝では殻頂部は腐食され白色の地が出る。内面は白色だが,中央部が濃褐色で,縁に褐色帯が出ることがある。北海道以北に分布する。潮間帯の岩礁に棲む。
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サラサシロガイ 『更紗白貝』
Lottia radiata
殻長27㎜
産地 小平,釧路
解説 殻は中型で厚く,堅固。一般に殻高は低く,殻頂は前方に寄る。弱い放射細肋があるが,殻表はほぼ平滑。殻表は濃褐色だが,放射状の白斑を散らし,成貝では殻頂部は腐食され白色の地が出る。内面は青みがかり,中央部は褐色だが,通常縁に褐色帯が出る。日本海北部・三陸沿岸以北に分布する。潮間帯の岩礁に棲む。
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コモレビコガモガイ 『木漏日子鴨貝』
Lottia tenuisculpta
殻長13㎜
産地 礼文,小平,留萌,小樽,新ひだか
解説 殻は小型で厚く,堅固。円形で一般に殻高は高く,殻頂は殻のほぼ中央に位置する。殻表には均一な太さの明瞭な放射肋がある。殻色は黒褐色で,放射白帯か白斑が出る。内面は白色だが,中央部は黄褐色で,縁に褐色帯があるが,殻表の放射帯によって不連続になることが多い。北海道(稚内・襟裳以南)~沖縄,小笠原,瀬戸内海に分布する。潮間帯の岩礁に棲む。
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オボロヅキコガモガイ 『朧月子鴨貝』
Lottia lindbergi
殻長16㎜
産地 小平,留萌,小樽,蘭越,島牧,上ノ国
解説 殻は小型で厚く,堅固。楕円形で殻高はやや高く,殻頂は殻の前方に寄る。殻表には放射細肋があるが弱く不明瞭で,成貝ではほとんど消失する。殻色は黒褐色で,細かい白斑を散らす。内面は白色だが,中央部は黄褐色で,縁に褐色帯があり,帯上にも細かい白斑が出る。九州~北海道の日本海,高知県~北海道南部の太平洋に分布する。 潮間帯の岩礁に棲む。
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コガモガイ 『子鴨貝』
Lottia kogamogai
殻長14㎜
産地 留萌,蘭越,島牧
解説 殻は小型で厚く,堅固。円形で一般に殻高は高く,殻頂は殻のほぼ中央に位置する。殻表にはやや太い放射肋がまばらに出て,成長線と交わり弱い結節状となる。写真の個体は無斑型だが,多くの個体は殻表に白斑か白色の放射帯が出る。内面は白色だが,中央部は黄褐色で,縁に褐色帯があるが,殻表の色彩に応じて白斑が出ることが多い。奄美諸島~北海道に分布する。潮間帯上部の岩礁に棲む。
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カモガイ(ケリガイ,キクガモ) 『鴨貝(鳧貝,菊鴨)』
Lottia dorsuosa
殻長32㎜
産地 礼文,小樽,蘭越,岩内,島牧,上ノ国
解説 殻は中型で厚く,堅固。楕円形で一般に殻高は高く,殻頂は前方に寄り尖る。殻表には多数の太い放射肋があり,成長線と交わり肋上は鋭くとげ立つ。放射肋は突出し,殻縁をギザギザに縁取る。殻表は緑褐色だが,内面は青白色で,不明瞭な放射白帯が出る。中央部は青色になり,縁には青色帯があるが,縁部ま で放射白帯が延長し,帯は不連続になる。沖縄~北海道北部に分布する。潮上帯の岩礁に棲む。
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ツボミガイ 『蕾貝』
Patelloida pygmaea form conulus
殻長8㎜
産地 せたな
解説 ヒメコザラ(P.pygmaea)の1型。殻は小型で厚く,堅固。殻頂は殻のほぼ中央に位置し,やや前傾する。円形で一般に殻高は著しく高い。殻表には微細な放射肋があり,成長線と交わって弱い布目状となるがほぼ平滑。殻色は褐色で,放射白帯をもつものや白斑を散らすものがいる。内面 は中央部が褐色,縁に褐色帯があり,帯は不連続になることが多い。北海道南部以南に分布する。主に内湾の砂礫やウミニナなどの貝殻上に付着する。
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殻口部の湾曲は付着面に合っている。
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アオガイ 『青貝』
Nipponacmea schrenckii
殻長24㎜
産地 留萌,小樽,島牧
解説 殻は中型で厚いが壊れやすい。楕円形で背は著しく低く,殻頂は前方に寄り尖る。殻表にはまばらな弱い顆粒が列を成す。褐色の地に白斑を 散らす模様の個体が多い。内面は水色だが,中央部は褐色で,縁に褐色帯が出るが,帯は不連続になることもある。九州~北海道南部・西部に分布する。潮間帯 の岩礁に棲む。
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サクラアオガイ 『桜青貝』
Nipponacmea gloriosa
殻長21㎜
産地 釧路
解説 殻は中型で薄く壊れやすい。楕円形で背は低く,殻頂は前方に寄り尖る。多数の弱い放射細肋があるが不明瞭で,殻表はほぼ平滑。殻色は紅褐色で細かい白斑を散らす。内面は白紅色で中央部は薄褐色になるが,殻表の色彩に応じて細かい白斑と褐色斑を散らすことがある。九州~北海道南岸に分布する。潮間帯下部の岩礁に棲む。
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コウダカアオガイ 『甲高青貝』
Nipponacmea concinna
殻長30㎜
産地 稚内,小平,留萌,小樽,島牧,新ひだか
解説 殻は中型で厚質。楕円形で殻高はやや高まり,殻頂は前方に寄る。殻表には顕著な顆粒をそなえた放射肋がある。一般に殻色は褐色で無斑の固体が多く,色彩変異は乏しい。内面は水色だが,中央部は褐色で,縁に褐色帯が出るが,帯は不連続になることもある。九州~北海道に分布する。潮間帯中部の岩礁に棲む。
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アオガイと比べ殻高は高い。
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クモリアオガイ 『曇青貝』
Nipponacmea nigrans
殻長20㎜
産地 小平,留萌
解説 殻は中型で厚質。楕円形で殻高はやや高まり,殻頂は前方に寄る。殻表には明瞭な放射肋があり,肋上には粗い顆粒が並ぶ。一般に殻色は緑色を帯び,細かい白斑を散らす。内面は水色だが,中央部は褐色で,縁に褐色帯が出るが,帯は不連続になることもある。九州~北海道に分布する。真潮間帯の岩礁に棲む。
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クサイロアオガイ 『草色青貝』
Nipponacmea fuscoviridis
殻長26㎜
産地 留萌,島牧,乙部
解説 殻は中型で厚いが壊れやすい。楕円形で殻高はやや低く,殻頂は前方に寄る。殻表には弱い顆粒が列を成すが,平滑に近い。一般に殻色は緑色を帯び,細かい白斑を散らす。成貝の内面は濃青緑色になり,縁に褐色帯が出るが,帯は不連続になることもある。沖縄~北海道南部・西部に分布する。潮間帯上部の岩礁に棲む。
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カスミアオガイ 『霞青貝』
Nipponacmea habei
殻長20㎜
産地 留萌
解説 殻は中型,厚いが壊れやすい。円形で殻高は高まり,殻頂はやや前方に寄る。放射肋は発達せず,弱い顆粒が列を成すのみ。殻色は赤褐色で,多くの白斑を散らす。内面は青みを帯びず白色で,中央部は褐色で,縁に褐色帯が出るが,帯は不連続になることもある。新潟~北海道北部の日本海,伊豆半島~北海道南部の太平洋に分布する。潮間帯の岩礁に棲む。
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ベッコウシロガイ(ベッコウシロガサ) 『鼈甲白貝(笠)』
Tectura emydia (=Collisella testudinalis emydia)
殻長24㎜
産地 留萌,小樽,乙部,えりも,厚岸
解説 殻は中型,厚いが壊れやすい。楕円形で一般に殻高は低く,殻頂は前方に寄る。殻表には微細な放射細肋があり,肋上には弱い顆粒をそなえる。殻色は赤褐色~紅色で,多数の大きな白斑を散らす。内面は白色~赤褐色で光沢が強く,中央部と縁は濃褐色で,縁の褐色帯は不連続になることもある。東北地方以北に分布する。10m以浅の潮下帯の岩礁に棲む。
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