高齢化社会により介護問題が私達の生活により身近な問題となってきています。
そして実際に介護疲れの末の自殺者数が去年より増加しています。
親の介護は本当に本当に大変です。
仕事で色々な認知症患者さんと関わることが多いのですが、正直「私だったら家でみれないな。」と思ってしまうほど重い介護状態の人も沢山います。
なので自殺や虐待、無理心中にまで至ってしまった人が、どれほど追い詰められていたかと想像するととても胸が痛みます。
今回は介護疲れであなたや家族の人生をボロボロにしないための対処法についてまとめました。
介護疲れの原因
介護は「大変大変」といっても、実際に何が「大変」なのか。
介護疲れの原因について説明します。
体力的な疲労
介護の対象は大人です。
なので自分より大きい人が相手になる場合もあります。
少しでも自分で立てる場合はまだいいのですが、全く自分で力が入れられない場合もあります。
そんな大の大人をベッドから車いすに移すというのは本当に大仕事です。
また寝たきりの場合であっても、おむつ交換ひとつ行うにも何度も体の向きを変えるなど大仕事になります。
体の大きな患者さんの場合は看護師でも2人がかりで行っています。
それを在宅で一人でしなければならない場合は体力的に相当の負担がかかっているかと思います。
また認知症で
・徘徊がみられる
・大声でさけぶ
・夜中に暴れ出す
といった症状がある場合や、人工呼吸器等を使用しており夜中も2~3時間おきに吸引などの処置をしなければならない場合、家族はまともな睡眠時間も確保できません。
実際に介護している人の45.7%が睡眠不足を訴えています。
このように介護による体力的な負担はとても大きいです。
精神的な疲労
また介護というのは精神的な負担も大きいです。
まず自分の親がどんどん悪い方に変わっていき、自分のことが自分でできなくなっていく姿をみるというのは家族にとってとてもショックの大きなことです。
とくに身体的な衰えよりも認知症による人格の変化などの方が大きなショックを受けます。
・優しかった父が病院の看護師にセクハラをしている
・几帳面な性格だった母が便をなじっている
など、もとの性格とのギャップが大きければ大きいほどショックを受けます。
また介護の場合は明確な終わりが見えません。
子育ての場合は徐々にできることが増え手が離れていきますが、介護の場合は逆です。
どんどん衰えていくので、さらに手がかかるようになっていきます。
また子育ての場合は子どもの成長をみて達成感や喜びを感じることができますが、介護の場合はそのような達成感を感じることも少ないです。
しかも何年、何十年この生活が続くのか見当がつきません。
なので介護をしている家族は精神的にも大きな負担を抱えることになります。
情報不足による疲労
介護をサポートするための制度は色々あるのですが、介護している家族たちにその情報が届いていない現状があります。
一度病気などで病院に入院する機会があると、それを期に介護申請の説明を受けることができますが、そのような機会がない場合はだれも教えてくれません。
なので介護を自分たちだけで抱え込んでしまっている現状があります。
その結果、正しいケア方法を知らずに腰を痛めてしまったり、介護休業を知らずに退職し金銭的に困ったりといったことが起こります。
このように情報不足が生活そのものを追い込んでいってしまいます。
介護疲れを予防する方法
介護疲れは様々な要素から生じますが、介護している以上すべての要素をゼロにするのは困難です。
しかし様々な工夫をすることで、その要素を減らしていくことは可能です。
なのであなたもこれから説明する内容を取り入れながら、介護ストレスと上手に付き合っていきましょう。
介護保険を申請しよう
まだ介護保険を利用していないという人は、まず介護保険を申請しましょう。
介護保険を利用することで様々なサービスが利用できます。
例えば
・デイサービスで平日の昼間預かってもらう(入浴や食事の世話もしてくれます)
・訪問介護(家に来ておむつ交換や食事の準備、食事介助などをしてくれます)
・訪問看護(家に来て医療処置をしてくれます)
・訪問リハビリ
・訪問入浴
・ショートステイ(数日間施設に預かってもらえます)
・介護用品の貸し出し
・自宅をバリアフリーに改装
などが含まれます。
介護保険を利用すると担当のケアマネージャーさんがつき、あなた達家族に合ったサービス内容を用意してくれます。
また介護する上で困った際の相談相手にもなってくれます。
介護申請はお住まいの市役所窓口でできます。
レスパイトケアを利用しよう
ショートステイというのは、施設に数日間だけ家族を預かってもらうサービスです。
このショートステイは家族の用事や仕事の時以外にも、休養目的で利用することも可能です。
そして家族の休養やリフレッシュ目的でショートステイなどのサービスを利用することを【レスパイトケア】といいます。
介護というのは長い場合、数年、十数年にわたることもあります。
なので無理せず、適宜休養を取り入れていきましょう。
レスパイトケアを希望したい場合も担当のケアマネさんに相談することで調整してもらえます。
適切な介護の方法を知ろう
寝たきりの人のおむつ交換やベッドから車いすへ移乗をする際、腰に負担をかけないためのコツというものがあります。
それを知らずに力ずくで行っていると腰を痛める原因になります。
また認知症患者への対応方法に関しても、誤った関わり方をすることで余計パニックになったり、不穏になる場合があります。
そのため適切な介護方法を習得しましょう。
様々な自治体で介護教室が開かれています。
介護教室では色々な介護の方法を教えてもらえるので、ぜひ参加してみましょう。
自治体のホームページで検索するか、役所に聞いてみましょう。
家族や親戚にも協力してもらおう
介護の負担が一人の人にすべてかかってしまっている場合が多いです。
しかし一人で全て抱えるのはとても大変であり、介護者の体や人生までも壊す可能性さえあります。
そのため配偶者や子、兄弟など色んな人に協力を依頼しながらみんなで介護に取り組みましょう。
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家族の会に入ろう
同じ境遇の人と話すことで精神的に楽になったり、有益な情報交換が行えたりします。
なので介護している家族の会などに参加してみることをお勧めします。
認知症介護の場合は【認知症の人と家族の会】というものがあります。
こちらは全国に支部があり、定期的に勉強会や集いを開いています。
また様々な自治体でも介護中の家族が集まれる場を設けています。
例えば
兵庫県西宮市
家族を介護している人も、介護の仕事に就いている人も。皆が集まる「つどい場さくらちゃん」 | 西宮 介護ライブラリ
などが挙げられます。
一度自治体のホームページか役所で聞いてみましょう。
さいごに
介護疲れを抱えないようにするために、様々なサービスを利用しながら介護のストレスと上手に付き合っていきましょう。
こちらの記事も介護負担の軽減に繋がります。
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