麻生太郎財務相は5日、金融危機時に最大4兆円規模の円資金を供給する新たな金融安全網の創設を東南アジア諸国連合(ASEAN)に提案した。米利上げを見据え、危機への備えを厚くする。日中韓3カ国とASEANは同日、財務相・中央銀行総裁会議を開き「保護主義を含む政策の内向きシフト」が世界経済のリスクとする共同声明を採択した。
アジア開発銀行(ADB)年次総会にあわせて開いた会議で提案した。柱は外貨不足に陥った国の通貨と引き換えに米ドルを供給する2国間の通貨交換(スワップ)協定の拡充。危機時に円を確保しやすくし、相手国のドル依存を解消する。
麻生氏は自らの提案について「域内安定へ金融のセーフティーネットを強化する。関心を示す国と個別に協議する」と記者団に説明した。
日中韓 | 地政学的な緊張の増大に対応 |
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あらゆる形態の保護主義に反対 | |
日ASEAN | 日本が最大4兆円規模の通貨融通枠の創設を提案 |
日本がタイ、マレーシアとドル建ての通貨スワップ協定で合意 | |
日中韓 ASEAN | 保護貿易を含む政策の内向きシフトが世界経済のリスクに |
多国間の貿易・投資体制を支持 |
日中韓の財務相と中銀総裁は同日、北朝鮮情勢を念頭に「地政学的な緊張の増大から金融の不安定性に対応する」との共同声明を採択した。保護主義にも反対を表明。この後の日中韓とASEANの財務相・中銀総裁の会合でも「多国間の貿易・投資体制を支持する」とし、世界貿易機関(WTO)を軽視する米トランプ政権をけん制した。
財務省は同日、米ドルを供給する従来型のスワップ協定締結でタイ、マレーシアと合意した。