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警察官クビになってからブログ

ダークファンタジーブログ

健康食品という名の宗教の話

 

これはあまり大声で話せる事ではございませんが・・・。

 

いまから数年前、

私は飛び込み営業をしながら、

「如何わしい健康食品」を売り歩いておりました。

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ピンポン!ピンポン!とチャイムをならします!

 

その日は一人ではなく、

契約がとれなくなった従業員再教育の為に、

後ろにゾロゾロと引き連れて、飛び込み営業をしておりました。

 

それも後ろに二人。

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計3人で、RPGのように一列にゾロゾロと歩きます・・・・

 

順番に民家のチャイムを鳴らし、

出てきた奥様に営業をかけます。

 

「私たちは、こんな商品を扱っております。」

「とても良い商品です!」

「お一ついかがでしょうか?」

なんてね。

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するとある奥様が、

「大丈夫大丈夫!」

「何せわたしは◯◯◯◯使ってるから!」

と自信たっぷりに答えてきました。

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※◯◯◯◯の伏せ字はとある健康食品の名前でありますが、

無用なトラブルになるので今回は名を伏せさせていただきます。

 

奥様の言う「それ」は・・・

私にとっては初めて聞く名前の健康食品でした。

 

(よくわからない)

 

なので「なるほどー」と私が聞き流すと・・・・

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その言葉に、

奥様が過剰に反応しました。

「アナタ!!◯◯◯◯を知らないの!?」

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何か嫌な予感がしました。

 

なので、

その瞬間、

サッと一歩後ろに下がり、

 

丁寧にお礼を述べて、

キレイに引き下がり、

次の家に向かおうとすると・・・・・

 

「あんたチョット待ってなさい!!!」

と奥様が家の奥へ、

駆け足で消えていってしまいました。

 

「あっ・・・・」

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早い・・・・。

 

そして出てきました・・

ナゾの健康食品ドリンク「◯◯◯◯」

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見た目はワインのような大きなボトル

少し紫がかった黒い液体が入っています。

 

(うん・・・確かになんか凄そうだ・・・・)

 

そして奥様の第一声は

 

「これが◯◯◯◯!奇跡の飲み物よ!」

 でした。

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(おおっ・・奇跡・・なんという神々しい飲み物だろうか)

 

いきなり「奇跡」という強力な単語が飛び出したので、

思わず圧倒されてしまいます。

 

奥様はその後、

数十分間に渡り、

奇跡の飲み物◯◯◯◯について熱く語りました。

 

話の内容は大体・・・・

ダイエットにスゴイ!

色んな病気とかにもスゴイ!

なんちゃらの3倍スゴイ!

スゴイ!

こんな感じでした。

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なかでも一番印象的だった話は・・・・

「芸能人の◯◯さんは◯◯◯◯を毎日お風呂に入れて、

 全身を浸かっているから、あんなに健康的なのよ!」

という話です。

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たしか◯◯◯◯は1本5000円位するらしいのですが・・・・

芸能人ってスゴイ!!!!

 

・・・というか飲み物じゃなかったんですかね?

どうやらカラダを浸かっても良いらしいです。

 

とりあえず契約してくれなさそうだから、

(早くここから離れよう)と考えていると・・・・。

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奥様が勢い余って

「あなたの売っている如何わしい商品とは違うのよ!」

などと言い出しました。

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コチラの健康食品は如何わしいとは言っても、

一応は「大手メーカーが開発した新商品」です。

 

まぁ効果があるのかどうかは知りませんが・・・・。

 

何より後輩の手前ですので、

これを認めるワケにはいきません。

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「いえいえ!そんな事はありませんよ!」

と私も丁寧に反論します。

 

ここでお互いの意見がぶつかりあいます。

 

こうして・・・・・

世界一どうでも良い

「健康食品バトル」が勃発したのです。

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しかし奥様は

「◯◯◯◯はとっても!安全な成分で出来ているのよ?」

と余裕の笑みを浮かべます。

 

そして、なぜかワイングラスに◯◯◯◯を注ぎ始めます。

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ドバー

 

そして・・・・・なんと・・・・

奥様は指に◯◯◯◯のを付けると、

右目にグリグリと塗り始めたのです。

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「◯◯◯◯を塗ると視力も回復するのよ?」

なんて事を言いながら・・・・

自分の眼球に何度も塗りつけています。

 

(ヒィイ・・・・・)

もはや私には恐怖しかありませんでした。

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(痛くないのだろうか?)

 

私の驚いた顔を見ると、

なぜか奥様は「こんなの平気よ!」と言わんばかりに

今度は左目にも◯◯◯◯を塗り始めたのです・・・・・。

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奥様の目から・・・・ドス黒い液体が・・・・

涙のようにポタポタと流れ落ちます・・・・。

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それでも奥様は笑みを崩しません。

奥様が萎縮する私にこう囁きます。

 

「さぁアナタも目に塗ってみなさい・・・・

 使ってみないとワカラナイでしょぉ・・・・・?」

 

これは・・・・奥様からの挑戦状だ・・・・

この勝負・・逃げるワケにはいかない!!

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私は迷わず◯◯◯◯のたっぷり入ったワイングラスに

指を突っ込みました。

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心配そうに見つめる後輩達・・・・・

(やってやるぞ・・・・!!)

 

眼球にピトッ・・・・・・

 

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ああ・・目がぁあああああああああっ

 

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・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・こうして私は・・・・

人生で数万回目の敗北を喫する事になりました。

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強くなりたい・・・・・