読売新聞の記事です。
安倍首相(自民党総裁)は読売新聞のインタビューで、幼児から大学などの高等教育までの教育無償化を憲法改正の優先項目にする考えを示した。
「教育無償化は維新と連携…首相、改憲論議に期待」読売新聞 2017年05月03日 06時00分
高等教育だけでなく、すべての教育の無償化のために憲法改正が必要だと安倍首相(自民党総裁)は言っているわけですが、以下の異邦人さんのツイートに同感です。
異邦人 @Medicis1917 これだけは言っておきますが、教育無償化や環境権は立法政策で実現出来ます。安倍政権はこれらをダシに改憲の必要性を喧伝していますが、自分達の立法不作為を憲法のせいにするのは即刻やめて頂きたい。市民の権利自由を拡充させる為に、我々は憲法に基づき国会に立法権を与えているのですよ。
異邦人 @Medicis1917 民主党政権が公立高校無償化を実現した際には散々反対した挙句、政権交代後にすぐ所得制限を設けたのは他でもない安倍政権なのに、今更「高等教育も全ての国民に真に開かれたものにしなければならない」と言って高等教育無償化をダシに改憲を主張するなど自己欺瞞も甚だしい。だったら今すぐやれよ。
実際、安倍政権は2014年4月から高校授業料無償化を廃止してしまいました。今でも自民党のホームページを検索すると、高校授業料無償化に反対する歴代の自民党の政策を、以下のように多数確認することができます。
▼自民党のホームページから
▼自民党のホームページから(※今回のテーマとは違いますが、最低賃金1,000円や製造業への派遣禁止がアンチ・ビジネス政策ってのも酷い)
▼自民党のホームページから
上記を見て分かるとおり、高校授業料無償化は、「将来に責任を持たない政策」、「将来の子供たちにツケを廻すもの」、「ただのバラマキをしているだけ」、「選挙目当てのバラマキ政策」、「(高校授業料無償化を続ければ)財政破綻国家に転落することは間違いない」と自民党は断言してきました。そして、「過度の平等主義や均一主義を排」する「私たち自民党の基本的な考え方は『自助』を基本(※ようするに「教育は自己責任」が基本だと言っているわけですね)」とすると自民党は一貫して主張してきたわけです。
こうやって、公立高校の授業料無償化についてだけでも、自民党は「教育は自己責任」の立場から強く反対してきました。だからこそ、「大学など高等教育への日本の公的支出は6年連続でOECD最下位、33カ国平均の半分以下と突出して低い大学への公的支出」で、「安倍政権が狙う国立大学費93万円の異常、今でも学費45倍増に対し賃金2割減、日本の私費負担はOECD平均の2倍」に日本は実際になっているのです。これが自民党の教育政策の実績です。
加えて、稲田朋美防衛相の言葉どおり、子ども手当を付けるぐらいなら軍事費を増やせとやってきたのが安倍政権であることは、軍事費の推移を見れば一目瞭然です。
そして、「大学など高等教育への日本の公的支出は6年連続でOECD最下位」ですが、以下のように軍事費は世界8位と主要国と肩を並べているのです。
教育無償化についての予算は「バラマキ」だと口汚く批判して世界最低にまで削減し、軍事費だけは世界有数の規模を確保してきたのが自民党です。日本を「高等教育予算は世界最低、軍事費は世界8位」にしたのが自民党なのです。
突如として、「幼児から大学などの高等教育までの教育無償化を憲法改正の優先項目にする」と言い出した安倍首相には、民主党政権下で憲法改正なしでも高校授業料無償化を推進してきたことに強く反対してきた自民党の言い方をそのままお返ししたいと思います。「改憲目当てに教育無償化をただ利用しているにすぎない」と。
(井上伸)